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「それ」を置いていけ

   

463 本当にあった怖い名無し New! 2005/08/02(火) 00:43:43 ID:yEnx4ywb0
昔テレビかなんかで見たような気がするんだが、
こんな話知りませんか?

山かどこかで、女だけでで働いている職場がある。
仕事が終わって、女たちが雑談していると誰かが山の中の祠に化け物が出るという話をしだした。
そのときそれらの女の中のAが、そんなことがあるものかと笑った。
それなら、Aさんは今からその祠まで行けるのかと別の女のBが言った。
Bはさらに「もし行けたら自分の今日の給金を全部やる」と言い出した。
Aは赤ん坊を抱えていた。赤ん坊を抱えて山を上るのはきついはずだが、気丈なAは「いけるとも」と言った。
Aは女手ひとつで赤ん坊を育てていかなければならなかった。Bの今日の給金がもらえれば、少しでも生活の足しになる。
話が盛り上がって、行った証拠に祠の賽銭箱を持って来ることになった。
賽銭箱は小さくて女でも抱えられるほどの大きさだ。Aは赤ん坊を背中に背負いなおして、祠まで行くことにした。
真っ暗な山の中の細い道を登っていくのは、きついばかりでなく、おどろおどろしく不気味で心細かった。
やっとのことで祠についたAは、「やっと着いた、これを持って帰ればBの今日の給金がもらえる」と、どっこいしょと賽銭箱を抱えた。
すると、山の奥のほうから「女、それを置いていけ~」と声がした。Aはぞっとしたが、賽銭箱を置いて帰れば
Bの今日の給金がもらえなくなると、ひしと賽銭箱を抱えて、一目散に山を駆け下りた。山の中の声がAのあとから負いかけて来た。
「それを置いていけ~」「女、それを置いていけ~」とどんどん追いかけてくる。
声がAのすぐ真後ろまで迫ったと思ったら、急に声は消えてしまった。
やっとのことで、皆のところに帰り着いたAは、Bに賽銭箱を差し出して、
「さあ、あんたの給金は私のもんだよ」と言った。Bも皆も口々に「よくやったねえ」
「大変だったねえ」とAを誉め、ねぎらった。「さあ、赤ん坊もつきかつただろう」
と、Aの背中から赤ん坊を下ろそうとした女が、「ぎゃー」と叫んだ。Aの背中は真っ赤な血に染まり、赤ん坊の首はなくなっていた。

 - Part 105, 洒落怖