洒落怖超まとめ

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おしゃべり作業

   

122本当にあった怖い名無し sage 2008/08/11(月) 16:38:38 ID:LiSehe5J0

今からちょうど15年前の話。僕には霊感だとかそういうのは一切ありません。
怖い話ではないかもしれないけれど、ちょっとぞっとする話なのと、
ほかにこんな話を書き込めるスレがないのでここに書かせてください。

僕が15歳、中学3年のころの話。
当時は技術・家庭という授業があった。普通の公立中学校でね。今はどうかしらんけども。
普段は男女別れて、男子は技術で工作みたいなことをして、女子は調理実習やら縫い物とかを習っていた。
夏休み直前、なんでだかわからないが男女合同で授業があった。
内容は「本棚を作りましょう」。
普段は1週間に一日、その一日のうち2時間だけ使って技術・家庭の授業はあったんだけど、
そのときはなぜだか4時間ぶっ通しで本棚を作ることになった。

123122 sage 2008/08/11(月) 16:40:33 ID:LiSehe5J0 授業は男女の名簿順に並んで、男女1組づつペアを組んで、二人で2つのちょっと大き目の本棚を作る、という内容だった。
僕はクラスの女子の中でもとりわけ仲のいい(恋愛感情とかは全くなかった)、Tさんと一緒に作業をすることになった。
Tさんはクラスの中でもトップクラスに頭がよく、どことなくほかの女子とよりも大人びた子だった。
僕も自分で言うのもおかしいけれども、クラスの中ではかなり頭がいいほうで、僕も彼女も深夜テレビが好きだったり、
同じラジオを聴いていたり、マンガの趣味が共通していたりと、すごく気の合う子とペアになれたわけ。
授業は朝から、弁当の時間までぶっ通し。
普段なら10分休憩とかが入るのだけれども、技術の先生は非常におおらかな人で、
「疲れたら各自適当に一息入れなさい。トイレに行くときは手を上げること」
みたいな感じで、サボるヤツは勝手にサボれ、でも完成させないとダメだよ、って感じのことを言ってた。

124122 sage 2008/08/11(月) 16:41:04 ID:LiSehe5J0

授業が始まって、すぐに教室の中はざわざわしはじめた。
先生は私語なんか注意しないし、むしろ男女ペアで協力して本棚を作ることに意味がある、みたいなことを言ってたから、
みんな好き勝手していた。
僕とTさんはというと、普段なかなかゆっくり話をする機会がなかったのと、やっぱり気が合うのと、で、
もうものすごい勢いで雑談をしながら、でも二人ともマジメだったので、作業を進めていた。
1時間目、2時間目に材木に下処理をする間、僕とTさんは本当にしゃべりっぱなしで、テンションもどんどん上がっていった。
休憩する時間する時間すらももったいなくて、二人で好きなミュージシャンとか芸人とか、いろんなことを話し続けていた。


125122 sage 2008/08/11(月) 16:41:59 ID:LiSehe5J0

僕も彼女もマジメだったので、しゃべりまくってはいたけれども、作業の順序なんかはしっかり頭に入っていた。
3時間目くらいから、なにかが少しづつズレはじめた。
要するに、話をすることに夢中で、手は頭に入っている順序どおりに、自動的に作業をしているような感じになってきた。
彼女もそうだった。とにかくしゃべる。しゃべりまくる。テンションがおかしい。僕もおかしい。
でも手はちゃんと順序どおり動かしている。でも自分が今何をやっているのか、よくわからない状態だった。
話に夢中で、頭が2つのこと、雑談と本棚作成、を同時に進行させていた。
これは後からわかったのだけれども、そのときの僕も彼女も、妙な陶酔感にやられてしまっていて、めちゃくちゃに気持ちよかった。


126122 sage 2008/08/11(月) 16:42:34 ID:LiSehe5J0

時間的には4時間目、僕らは材木(なんか柔らかい、工作用の材木)をでっかい万力で固定して、
これまた巨大なカッター(?)みたいな刃物でガッシン!と切断する作業に入っていた。
僕とTさんはもちろん話に夢中のままで、休憩なんかしてないし、相変わらずマシンガンのように話し続けていた。
彼女は材木の切断するべき場所に線を引いて、万力に固定する。僕は万力をしっかり締めなおして巨大カッターのレバーを振り下ろす。
と、同時に、べらべら二人はしゃべりまくる。
木材は簡単に切断されて、カランカランと音を立てて床に落ちる。
こんな作業がずーっと続いた。

127122 sage 2008/08/11(月) 16:43:38 ID:LiSehe5J0

木材があと数本になったとき、彼女は自分の親指に鉛筆で線を引いていた

もちろんしゃべりっぱなしでテンションはMAX。彼女は万力に自分の親指を固定した

僕は彼女の指を万力でぎりぎり締め上げながら、好きな小説家の話をしていた

彼女は笑顔で相槌を打つ。彼女の親指は完全に固定された

僕は彼女の冗談に笑い声を上げながらカッターのレバーを下ろした

ガツン、という音とともにTさんが「きゃ」と声を上げた
僕たちは自分のしていることにはっと気がついてしばらく呆然としていた
幸いカッターが彼女の指を切り落とすことはなく、骨まで達して止まっていたようだ
彼女をすぐ保健室に連れて行ったが、なんでだか絆創膏一枚で済む程度の怪我だった
僕もTさんも顔色が真っ青だったが、先生に「どうしたの」と聞かれても答えようがなかった
僕たちは作業を再開し、本棚は無事完成した。

今でもなんだったのかわからないが、一応後日談もある。
もし聞きたい人がいたら改めて書きます。
文章とか改行へたくそで申し訳ない。

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