洒落怖超まとめ

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おんぶお化け

   

421 オンブお化け6/1 New! 2006/11/14(火) 17:11:35 ID:pAPPFor/0

ひと月ばかり前の話。
昼寝をしていた。夢の中で俺は、蛍光灯が灯いていない薄暗い部屋にいる。
今寝ている自分の部屋のようだが、出窓のある西側の壁に向かって卓袱台上に設置してあるMacの17インチフラットパネルが
夢の中では南側にあって、唯一ほのかに白い光を放っている。
そのPCディスプレーが置かれた卓袱台をとり囲んで4~5人の子供がいる。なんとなく全員3歳から5歳のようだ。
顔はわからない。というよりノッペラボウのように個性というものが感じられない。全員男児のようだ。
全裸か腰布を纏っているだけの賽の河原の子供たちか又は角の無い小鬼のような彼らの内、PC前面の場所に陣取っているのは二人である。
エロ画像のPC画面を食い入るように見つめながらオナニーに励んでいる。

422 オンブお化け2/6 New! 2006/11/14(火) 17:14:31 ID:pAPPFor/0

画面はどの位置からでも見えるのだから各自勝手に楽しめばよいのだが、そこは彼らなりのルールがあるようで、
PCの前面にいる者だけが性器をしごいて善いのである。
順番待ちの子らが痺れをきらして「まだあ!?」だの「はやくしてよお!!」だのと泣かんばかりに叫ぶが、
ことに及んでいる二人の内左側の一人などは小振りのオチンチンをしごきながらブリッジのように海老反ったりして
ここを先途と欲望全開である。
下品でエロチックな騒ぎのわりには奇妙な静謐感が漂っている。。

423 オンブお化け3/6 New! 2006/11/14(火) 17:16:56 ID:pAPPFor/0

昼寝中多くの夢を見たようだが、それが目覚める寸前の最後の夢だったようだ。
俯せで寝ていたのだが、夢から覚めた途端に金縛り、と言うより、金縛りとともに目が覚めた。
金縛りは年に一度くらいは体験するが、真昼の明るい部屋のなかでは初めてのことで、それはそれでまた格別な焦りを感じさせた。
左の視界1メートル位先に50センチ位の半裸の子供がいる。夢から出てきやがったか。俺の様子を伺っている。
顔と表情はやはり分らないが、なんとなく俺を嘲っているようだ。しかし見えたのは一瞬で、直後もう一人が背後から背中に覆い被さってきた。
子供とは思えない重量感を、俺の背中にジンワリと楽しむかのように徐々に染み込ませてくる。
「オンブお化け」。何故かそう思った。

424 オンブお化け4/6 New! 2006/11/14(火) 17:22:01 ID:pAPPFor/0

それが幽霊であろうが生身の人間であろうが、俯せの状態で何者かに背中に乗られて自由を拘束されるのはイヤなものである。
隣の部屋にいる家内に助けを求めようとしたが、例によって声が出ない。
経験でこのような場合になんとか声を出す「コツ」を知っているので大声で家内の名を呼んだ、
つもりが実際には押しつぶされたガマガエルのような情けない小声である。聞こえないのだろう、家内はやって来ない。
金縛りに遭遇したら、どこでもイイから体の一部分、例えば足の親指を動かせば瞬時にそれが解ける。
何かの本で読んだ知識だが、これも俺がそうした時に使う「コツ」である。それで金縛りからは解放されたが、
子供に乗っかられた圧迫感がしばらく背中に残っていた。

425 オンブお化け5/6 New! 2006/11/14(火) 17:24:13 ID:pAPPFor/0

今起こったことを家内に話そうと隣の部屋へのドアを開けると、彼女は寝ていた。
起きてきてから話すと、情けない俺の声が彼女を呼ぶのは聞こえたのだが
夢だと思ったのでそのまま寝続けたということであった。「座敷童だったらイイのにね。」
座敷童というのは田舎の旧家に住み着いてその家に繁栄を齎すものだから歓迎だが、生憎ここは去年越してきたばかりのマンション、
しかも場所は大阪のど真ん中である。望むべくもないが、俺たちはそんなことを言いあいながらその場はそれで終わった。
そのことがあってから数日後、家内が「今ヘンなの見ちゃった。」とこんな話をしてきた。

426 オンブお化け6/6 New! 2006/11/14(火) 17:26:49 ID:pAPPFor/0

昼間彼女が自分の部屋にいると、いつもはそんなことはしないのだが何かフと気になったのでドアの方をみたという。
オーク材で出来たドアには縦に二枚の磨りガラスが嵌め込んである。そのドア越しの向こうのリヴィング、即ち俺がオンブお化けに遭遇した部屋だが、
そこを玄関に向かうドアの方に歩くように横切る白い影が見えたと言う。はじめは当然俺か、または飼っている犬のラッキーだと思ったらしい。
だが俺にしては小さいし(だから俺がふざけて這って移動しているか若しくは俺の下半身だけ見えたと思ったらしい)、ラッキーも白い犬ではない。
磨りガラス越しに、霊のような影というよりは生身の子供が普通にドアを開けて出て行こうとするように見えたという。
きっとこの前の子供に違いない、ということになったのだった。
以後、別にこれと言った異変はないが、俺がMacでエロ動画を見ている時には、いつもあの子供達が俺の肩越しにPCの画面を覗き込み、
一緒に楽しんでいるのではないか、そんな気がするのである。

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