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ひしめ様

   

355本当にあった怖い名無し sage 2010/03/14(日) 23:57:31 ID:IhT9dayr0

俺が実際に小さい頃に経験した話です。

その当時俺は漁師町に住んでいた。
いつも学校から帰ると友達と近所の神社へ行って遊んでいた。
その神社は表向きは海難事故防止と、水難によって行方不明になった人物の供養のための神社だったそうだが
実際は余り良くないものを抑えるために建てられた神社だ。
夏の暑さが厳しいある日、いつもどおり友達と神社で遊んでいると奇妙なものを見つけた。
60cmほどの苔むした小さな石碑。 表面には漢字で何かが書いてあったけど子供だった当時には解るわけがない。
俺らはそれを冗談半分で倒してしまった。それがどんなものかも知らないまま…

次の日、家に帰ると祖母ちゃんが回覧板を持って俺に問いただしてきた。
「緊急の回覧板が届いた。神社の大事な石碑が壊されてたらしい。お前がやったんじゃないだろうな?」
と聞いてきた。俺は怒られるのが怖くて嘘をついてしまった。
祖母ちゃんは厳しい表情のまま
「あの石碑はな、『ひしめ様』をあの場所にずっとおらせるために建ててた石碑だ。もし目をつけられても知らんぞ。」
と言って回覧板を隣の家に渡しに行った。
もちろんそんなものを信じてはなかった俺なので(『ひしめ様』なんて怖がるなんてばあちゃんアホスww)ぐらいの考えしかなかった。
しかしその日から家から家鳴りがするようになった。しかも俺の部屋だけが異常に。
さらに怪我をしたわけでもないのに顔の右半分に大きな痣ができた。 その痣は爪で引っ掻かれた様な感じになっていた。
さすがにおかしいと思ったのだろう。 祖父ちゃん、祖母ちゃん、そして近所の寺のおじちゃんに正座をさせられて尋問された。
結局自分たちが壊したことを認めたのだが、祖母ちゃんは泣き出してしまい、祖父ちゃんは唇をかみそうなくらいギュっと閉じて俺を真正面に見据えた。
「いいか?あの石碑はな、『ひしめ様』をあの場所に居らせるために建てたんだ。 お前はそれを壊した。つまりひしめ様が自由になったんだ。」
と祖父ちゃんが語気も荒く説明してくれた。
「『ひしめ様は』良い神様じゃない。目星をつけた人間を殺していく神様だ。 今回はお前が選ばれてしまったんだ。」
と俺を揺さぶりながら祖父ちゃんは涙を流した。俺も怖くなり泣いてしまった。 まさか自分がした事で自分を死なせてしまうことになるなんて思いもしなかった。

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