そのせいかBの話には支離滅裂な部分が目立つようになり、薄気味悪くなったAはBとの連絡を絶った。
数ヶ月後、一通のメールがAに届いた。差出人は政府公安の研究部からだった。
それによると、その部署は昨今急増する異常者による犯罪を未然に発見、防止を目的とし
その為の研究と実験に取り組んでいて、その一環としと作成したのが『むこうがわ』だった。
あれは異常者を見つけ出すための”エサ”で、アクセスした者はIDを洗われ監視される
更に『むこうがわ』への進度、閲覧したページの内容等により"10"から"0"までのランク付けがされる
そのランクに応じて対象者への処置が行われるという。Aはそれまでの経過に加えて
アクセスを止めたこと、警察へ通報したこと等により"5"という評価だった。
メールには、今回のことはあくまで実験であり、実生活への影響が無いことと
実験への協力への感謝の言葉で締められていた。監視されていたことに驚愕するA。
だが、何より気になったのはランク評価に対する処置に関する記述だった。
"4"以下には特に処置無しだが、"3"より要注意人物とされ、"2"では監視が付くようになり
"1"で強制入院となる。そしてその上の"0"については一切記述されていなかった。
胸騒ぎのしたAはBと連絡を取ろうとした。しかし、如何なる記録を検索しても、
連絡先はおろか、Bという人間は存在すらしていないこととなっていた。
Bのランクは果たして何番だったのだろうか・・