洒落怖超まとめ

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エクソシスト

   

784本当にあった怖い名無し sage 2010/04/26(月) 16:36:11 ID:vs7mpovf0

俺が留学していたときの話。

或るバックパッカー(自分探し旅行者みたいなもん)のホテルで白人男性と知り合った。
彼はカナダ出身の旅行者で歳も近く(20歳くらいの頃)かなり気があい、数日行動を共にした。
もちろん、会話は英語。

ある日、彼とバックパッカーの小さいコテージ型のホテルを借り一緒に泊まった。
その日は近くのビーチを歩いて見に行った帰りだったのでかなり疲れており、彼と飲み明かす予定だったが
11時ごろには二人とも眠ってしまった。

夜2時ごろ、変な音で目が覚めた。音、というより声。最初は空耳か?彼の寝言か?と思ったが、コテージのすぐ外から声が聞こえる。
彼は2段ベッドの下で寝ていた。俺は上。音はドアの向こうから・・・
治安は良い国だけど、日本に比べては全然物騒だから「やべーな~鍵はしてるよな~」とか思っていた。
下からは寝息が聞こえる。完全に寝てるようだ。

とそのとき、コテージ外のデッキの部分を歩く音が聞こえた。
「ミシッ」「ミシッ」
ドアの前から窓(俺の足元側にある)の近くに移動しているのが直感で感じ取れた。
「やべえ、強盗かも・・・日本から持ってきた防犯ブザーは下のかばんの中だ・・・どうしようどうしよう」と軽くパニックってた。

その時だった。下で寝ていると思っていた彼がムクッと起き上がり胸の前で十字を切り、かばんから聖書を取り出して窓に近づいた。


785本当にあった怖い名無し sage 2010/04/26(月) 16:44:33 ID:vs7mpovf0

彼は窓を勢いよく開けた。
窓の横1mあたりに何かいたのか、彼は一瞬たじろいだ。
だが、彼は小声で何か言って、窓から離れ彼のかばんに手を突っ込み、ウイスキーの小瓶を取り出しまた窓に近づいた。

「Fuuuuuuuuckoooooff!!!!」

そう叫ぶと彼はウイスキーを口に含み豪快に口から噴き出した。

叫び声と彼の行動に驚いた俺はすぐにベッドから降りて電気を点けた。
すると、彼は俺にこういった。
「ああ、起きてたのか、さっきの見てたのか?あれはなんていうか・・・低級な悪魔だ、気にするな」(英語で)

そして、10分ほど興奮しきっていて彼に色々質問した、悪魔?どういうことだ?お前はエクソシストか?とか、笑いを含めつつ色々聞いてた。
そのうち興奮も冷めて、また寝ることになった。その晩はそれから何もなかった。

そして次の日のことだった。

787本当にあった怖い名無し sage 2010/04/26(月) 16:57:25 ID:vs7mpovf0

次の日、何気なくコテージ周辺を散策してたら、近くでウォンバットが死んでるの。
殴られたみたいな感じ口から血をふいてて、でも野生動物に襲われたにしては外傷がない。
彼がそれをみて「昨日のあいつがやったんだ・・・ごめんな・・・」とかその死体に謝ってた。
後々聞くと彼はカナダのとある教会の跡取り予定らしい。

その夜現れた何かは、俺を狙ってるわけじゃないから心配するな、と言っていたが、通り魔的に動物を殺してるのは笑えなかった。
数日後、彼と別れる町に来たとき、彼は俺に聖水が入っているというボトルと十字架をくれた。
俺はお礼にと、以前彼が欲しがってたので安物の腕時計(G-Shock)をあげた。
十字架と腕時計、遠く離れても俺と彼が繋がる接点だった。

それから帰国し、彼は数年間、月に一度くらいメールで連絡を取り合っていた。
数年後のある日、彼は「教会で神父することになった」と連絡をくれて、教会の写真も添付されていた。
教会を背景にして少しやつれた彼が写っていた。
そしてその写真の彼の足元になにか厭な靄が写っていた。
彼にそれを指摘したら「ああ、気付いちゃったか。今飼ってるんだ」みたいな返答が返ってきた。

それから数ヶ月、突然彼からの連絡がなくなった。
体を悪くしたのか、死んだのか・・・今でも連絡はない。
俺は足元のあの厭な感じの靄、あれの仕業だろうと思っている。

ちなみに彼がウイスキーを噴き出した時、酒をかけるのは万国共通なんだな、って思った。

790本当にあった怖い名無し sage 2010/04/26(月) 17:02:45 ID:vs7mpovf0

後日談ですが、彼から貰った十字架は帰ってすぐに引き出しに入れて保管してて、聖水のボトルは棚の上に飾ってたんだが
連絡が途絶えて1年ほどして、つい聖水を落として割ってしまった。
ただの水のような無臭の液体が飛び散ってしまい、普通に掃除した。
「彼に悪かったな~」と思いつつ、久々に十字架を見たら、十字架の上が取れてしまっており、
短い棒にチェーンがついてて、その下にTがある状態になってた・・・

それから、あいつ今でも生きてるかな~と時々想いにふけるよ。

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