洒落怖超まとめ

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トイレの落書

   

夕方7時。薄暗くなった空とアスファルトからの熱気。下水の臭い。不快な暑さの中、
東京の九段下駅から出張勤務先の三番町へ向かう道で突如便意をもよおし、
我慢するのも健康に悪いと思い、出張先の会社へ行く道から逸れて左へ曲がり、
千鳥が淵の戦没者墓地横のトイレで用を足すことにしたのです。
そのトイレは比較的新しく、個室内は明るく照らされ、トイレットペーパーも十分な量が
残っており安心して用を足すことにしたのです。

ズボンを下ろしさて集中しはじめた時に、正面にらくがきが飛び込んできました。
なんとも卑猥な言葉が書き記してあり、馬鹿ばっかりだなと思いつつも落書きを
眺め続けていると、何やら奇妙なことが書いてあります。「左を見ろ」
気になって左を見てしまいました。落書きの中にまた見つけました「上を見ろ」
上を見上げると左隅の天井にまたありました。「右を見ろ」右を見ました。落書きの中に
また見つけました。「後悔しないなら、後ろを見ろ」読んだとき、少し背筋が寒くなるような思いでした。
とりあえず後ろを見る前にさっさと用を足し終えようと思いました。水を流しズボンを上げ、
後ろを見るのをやや躊躇いましたが、後ろにトイレの出入り口があるので振り返らないわけに
いきません。ただの悪戯だと自分に言い聞かせ後ろを振り返りました。トイレの扉を見ましたが
何も書いてありません。なあんだやっぱりと思い、出ようとした時、ドアの右隅に小さくなにか
書いてあるのを見つけました。やはり気になり顔をよく近づけてみるとこう書いてありました。
「振り返ると死ぬ」振り返らずドアを勢い良く開け早足でトイレを去りました。
振り返ったら本当に死んだのかもしれません。

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