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バイク乗りの話

   

147 名前:転載1 投稿日:03/08/25 20:28
バイク乗りの友人の話

その友人を仮にA(男)としよう。
Aはどっちかというとリーダー的存在だった。みんなを引っ張っていくというより
飄々とした感じの性格で、自然とまわりに人が集まるような感じの奴だった。
そんなAのバイク仲間の一人に、Bという男がいた。
Bはちょっとマイペースな性格で、ツーリングでも時々自分勝手な走りをして
Aやみんなを困らせるような人だったらしい。
しかしどっちかというと気の弱い方で、根は悪い奴ではないので、
仲間としてそれなりに付き合っていたという。
A曰く、
「クラスに一人くらいはいるじゃん、悪気はないけど自分で気付いてないっていうか、
天然っていうか・・・それほど仲いいってわけでもないけど悪いってわけでもない、そんな友人の一人」
だそうだ。

148 名前:転載1 投稿日:03/08/25 20:28
ある日、いつものように仲間とツーリングして、その帰りのこと。すっかり日は暮れていた。
途中で自由解散となって、Aは帰りの方向が同じBと一緒に走っていた。
しばらくすると、前を走ってたBがいきなりウインカーをだして、
一軒のファミレスに入っていった。
Aは(・・・またか、しかたねーなー)と思いつつ、Bについていった。

Bは、トイレから出てくると、
「ごめん、なんか喉乾かねえ?」と笑いながら席に座った。
Aは(お前トイレいってんじゃん)と苦笑しつつ、店員を呼んだ。
えらく無表情な店員がやってきて、「いらっしゃいませ」と、
テーブルの上の、オススメが描いてある紙の立て札を見せつける。
それにはパッションフルーツドリンクが描いてあった。
Aはめんどくさかったので、「ああ、じゃあこれ一つ」と言うと、
Bも「あ、じゃあおれもそれ」と続ける。
「パッションフルーツドリンクお二つですね」と店員は冷ややかに答える。

149 名前:転載3(上は2ね) 投稿日:03/08/25 20:29
Aは、なぜかやけに眠気を覚えていた。
Bは、そんなAにお構いなしに、たわいもないことを話しかけていた。
いつもはそれほどおしゃべりな方ではないそのBの態度が少し怪訝に思えてきた。
いつの間にか、目の前には、真っ赤なパッションフルーツドリンクが来ていた。
少しうとうとしながら、Bの話に適当に相槌をうってると、
「おいA!ちゃんと聞いてるのか?」
Bの思いがけない口調にAは驚いた。
「き、聞いてるよ」
いつもの気の弱そうな彼とはうって変わった厳しい口調で続ける。
「Aはいつもそうだ。おれのいうこと全然聞いちゃいない。おれのことなめてるだろ?」
「そ、そんなことねえよ・・・」なぜか眠気はやまない。
「嘘付け!お前らいつもおれの陰口を言ってるんだろう?!」
Bはどんっ!とテーブルを叩いた。
その反動でドリンクがぶちまけてしまう。
ジュースが服にかかって真っ赤に染まる。が、冷たくない。むしろぬるいくらい。
Aはジュースを拭こうとするも、あまりにもの眠気で体が思うように動かない。
見ると、Bの服も真っ赤に染まってしまっている。
Aは、必死に眠気に抗いながら答える。
「陰口なんか言ってねえよ!仲間じゃねえか!」
事実、Aは性格上そういう陰口とか大嫌いだった。
「ほんとか?仲間なんだな?」
「あたり前だ!今日も一緒に走っただろ?」
「じゃあ、帰りも一緒に走ってくれるんだな?」
その時Aはなぜか、(やばい!)と思った。
次の瞬間、Aの携帯が鳴った。
さっき別れた別の仲間からだった。
眠気の中、必死に携帯に出ようとする。
「・・・走ってくれるんだろ?」
Bは、目をかっと見開き、、すさまじい形相でAを見据えながら聞く。
「お前もこいつ(携帯の相手)も仲間だ!」
Aは思わず叫ぶ。やっとの思いで携帯の通話ボタンを押す。
携帯からは、何故か、両親が自分の名前を呼んでいる声が聞こえた・・・

150 名前:転載4 投稿日:03/08/25 20:29
・・・Aは、病室で目覚めた。

ツーリングの帰り、AとBのバイクが接触し、転倒したらしい。
下りの坂道で、二人からまって道路から落ちるような形だったそうだ。
二人とも生死の境をさまよう程の大怪我を負い、
Aは奇跡的に生還し、Bは、Aが目覚める前に息をひきとったという・・・

終わり

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