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ラブレター

   

361 本当にあった怖い名無し 04/09/21 23:29:19 ID:trqX+vx1
A子さんには高校時代好きな男の子がいました。お互いの気持ちも知れていて、
淡い予感を秘めていた卒業前。彼は彼女を残して交通事故で死んでしまいました。

その5年後。A子さんは同級生のB子さんを連れて母校を訪れました。懐かしそうに、
しかし少し困ったような顔をしながら校内を見て回るA子さんと、それを不安気に
気遣うB子さん。

その時、廊下の奥を誰かが横切りました。A子さんの視線を捉えた先には、見覚えの
ある少年がありました。「…君!」
青ざめるB子さんを置いて、A子さんはすでに走りだしていました。
追いかけてはいけない!B子さんの制止を振り切って、A子さんは彼の姿を探しました。
階段を曲がったと思ったら、そこにはもう姿がなく、やっと目線の端で捉えられる
ような所に一瞬だけ現れるのです。二人はいつのまにか、以前自分たちが使っていた階に
いました。
その視線の先には、ひとつの教室がありました。ドアからひらひらと手招きする手を見て、
B子さんは鳥肌がたちました。あの教室の中に入れば、一体どこに繋がっていると
いうのか。しかし、A子さんにとってそんなことはもう頭の中にありませんでした。
例え、この先に何があっても、あの時掴めなかった手を今とれるなら。

A子さんがあと一歩という瞬間、B子さんが叫びました。
「お願い、連れて行かないで。A子結婚するの」
教室にA子さんが飛び込んだその時、教室には陰ひとつなく、一通の古びた
手紙が机の上に置かれていただけでした。彼の出しそびれたラブレターが
彼女の許に届けられたのは、5年の歳月を経た後でした。

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