洒落怖超まとめ

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一人にしないで

   

93 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:03/08/12 01:48
学生の頃知人から聞いた話。
そいつの家から車で小一時間ほど走った山中に、一件の洋館があった。
もう大分以前から人は住んでいなく、荒れ果てたその様は
いかにもと言った感じで、実際様々な噂が絶えなかった。
地元では有名な、いわゆる心霊スポットだった。
知人は友達の二人と、ある日の深夜にドライブを兼ねて、ホンの軽い気持で出かけていった。
灯一つない山奥の砂利道をほどなく走っていくと、
うっすらと、月明かりに写し出されたその洋館についた。
虫一匹鳴かない静寂のなか、三人は意を決して車をおりた。

94 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:03/08/12 01:50
中略

30分ほど敷地内を歩いた。
かなりビビったが特に何があるわけでもなく、
結局は途中で飯でも食って帰ろうということになった。
来た時と同じ砂利道をのんびりと緩やかに下っていく。
前に友達の二人、後部座席に本人。
やがてアスファルトに変わり1キロも走っただろうか、車は静かに路肩の草むらに停まった。
どうやら運転している友達の様子がおかしい。
停止してもなおハンドルをしっかり握り締め、
かすかに震えているのが後部座席からも見てとれる。
助手席の一人もただならぬそいつの横顔を、ただ凝視している。

95 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:03/08/12 01:52
震えるそいつの口許から、声にならないような声が漏れている。
「…どうした…?」後ろから声をかける。助手席も
「なによ…何で停めたの?」
暫し沈黙。
「おい、どうした、大丈夫か…?」やっとそいつは絞り出すようにかすれた声を発した。
「お、俺を…一人にしないで…くれ、く、くれるか?」
「???…だからどうしたの?何があったの!?」
「俺を…置いて…いかないでくれ、くれるか?」
「何言ってるの!?」
「や、約束してくれ、俺をお、置いてかないで、逃げないと…」
「…わかったよ。で、どうしたのよ、何か見えるのか?」

96 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:03/08/12 01:54
「約束してくれ…」
「わかったって!で、何があったの、どうしたって言うのよ」

そいつは唇を震わせながら言った。

「今…、誰かが…俺の足首を掴んでいる…!」

約束は簡単に破られる。
そいつを残し、二人は車の外に飛び出した。
暫くして恐る恐る車に戻ると、そいつは失神していた。おまけに失禁までして…。

もう二十年も前の出来事だそうだ。

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