洒落怖超まとめ

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不細工

   

695 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:02/12/01 13:14
(1/2)
彼女はとても綺麗な人で、それを自分でも良くわかっていた。
あまりに綺麗だったから、少し自信過剰ぎみで、鏡を見つめると、二時間でも三時間でも、自分の顔を見つめているような人だった。
その日の夜も彼女は、部屋の大きな鏡の前で行ったり来たりしていた。
今日、職場の同僚の女性の葬式があったそうだが、早く自分の美しい顔を見つめたくて、葬式をすっぽかしてしまった。
死んだ同僚の女性は、何年も付き合った男にふられて自殺したらしい。彼女は憐れに思う傍ら、その女性をあざ笑っていた。
死んだ女性の付き合っていた男を誘惑して、別れるようにしむけたのは彼女なのだ。
『馬鹿な女ね。男一人繋ぎ止めておく魅力も無いなんて。不細工だからいけないのよ。私のように美しくなければ』
彼女は赤い唇をつりあげて、鏡を見つめた。
『あら』
彼女は思わず声をあげた。一瞬だったが、鏡の中の自分が目をそらしたように見えたのだ。
『おかしいわね』
そんなはずは無いと、鏡をじつと見つめる。鏡の中の自分は相変わらず美しい顔で、じつとこちらを見ている。
彼女は首をかしげながら、口紅でも引こうと化粧台の方へ手をのばした。

696 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:02/12/01 13:23
(2/2)
『不細工』
突然、低い女の声が、部屋の中に響いた。彼女はぎくりとして顔をあげる。
『不細工』
『不細工』
重なるようにして、女の声がこだまする。彼女は混乱して、自分の美しい顔を見て落ち着こうと、鏡の方を向いた。
そこには、顔をひどく歪ませて、彼女を睨む死んだ筈の女性の姿が写っていた。
彼女は金切り声をあげると、鏡に向かって持っていた口紅を思い切り投げつけた。
鏡は粉々に割れて、鋭く尖った破片が、彼女の美しい顔めがけて飛んできた。
まるで、鏡の破片が意思を持っているかのように。
避ける間も無く、彼女の顔に、無数の破片が突き刺さった。
彼女の美しい顔は醜く崩れ、もう一生もとの顔に戻る事は無かった。
心がひどく不細工だった彼女は、美しい顔を無くし、本当にただの不細工になってしまった。

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