ホーム > 洒落怖 > Part 1-100 > Part 51-60 > Part 55 > 似顔絵 2016/05/15 83 名前:スレ腐隊1/4 ◆wLi7J3Uhsw 投稿日:03/09/27 13:30 どこかで地震あると阪神震災思い出す。 そのせいか、こんな夢を見た。 大地震災害直後の混乱が過ぎ、 食料の配給も何とか皆受けれるようになった。 方々で上がった火の手も治まり、 霊感的に目星をつけて、瓦礫を掘る事も無くなった。 もう、生きる為に我武者羅に生きる必要は無く、 以前のようにとまでいかなくとも、まともな社会が戻りつつあった。 84 名前:スレ腐隊2/4 ◆wLi7J3Uhsw 投稿日:03/09/27 13:30 僕は避難所に腰を下ろして、ぼろぼろに皮の剥けた両手を見て、 絵が描きたくなった。 ぼんやりと、木の枝で砂地の地面に絵を描いていると 後ろから、ボランティアで指揮を執っていた人に声を掛けられた。 「君、絵描けるんだったっけ?丁度良かった。 悪いんだけどもう一仕事頼みたいんだ。」 僕は、そんなに上手くないとか何とか言ったものの、 ボランティアの人の顔を見て、『あぁ、人の役に立つ事だな』 そう直感して引き受けることにした。 「似顔絵を描いて欲しいんだ」その人は少しばつの悪そうに言う。 はぁ、と頷く僕。 「実は身元不明の人たちで・・」そう言い掛けて見慣れたテントの前に案内された。 このテントは良く知っている。 小学校の学校の運動会とかでPTAの人の席にある白屋根のテントで、 それらをいくつも連結して、やはり白い防水シートで壁を張り巡らせたものだ。 85 名前:スレ腐隊3/4 ◆wLi7J3Uhsw 投稿日:03/09/27 13:31 災害直後の今は、僕たちが昨日まで掘り出した人を横たえてある。 中に入ると、何人かの人が胸の上に番号札を置き メモを取っている。 独特の異臭が鼻に付いた。 「知っての通り、殆ど身元不明でね。」 「似顔絵を描いて、ポスターにするのですか?」と僕。 しかし、見渡すと多くの人が顔に著しい欠損がある、 写真で呼びかけるには、流石に厳しいだろう。 それにしても丸焼けな人もいる。 その様子を察したのか 「ん、そうゆう訳ではないんだ。だから、物凄く似ている必要は特に無い。」 状況が良く飲み込めない僕。 「実は、皆をもう此処に置いておけなくなったんだ。 だから集団葬儀することになった。」 86 名前:スレ腐隊4/4 ◆wLi7J3Uhsw 投稿日:03/09/27 13:33 正直、僕達は此処に人を運んだとき、死体である、という認識が無かった。 かなり後ろ向きだけど、生きていた人、 いや実は何もかも悪夢で、明日にはやぁとかいって挨拶が出来る人たち、 そんな甘い認識でいた。 だから、葬儀なんて出すと・・・ 「死んじゃうじゃないですか!」思わずそう漏らした。 ボランティアの人も、辛そうな顔をして言った。 「・・・だから、君には悪いんだけど彼らの似顔絵を描いてもらいたい ・・・飛び切りの笑顔の遺影にしてくれ。」 87 名前:スレ腐隊あとがき ◆wLi7J3Uhsw 投稿日:03/09/27 13:33 目が覚めたら、僕は泣いていた。 B! LINEへ送る - Part 55, 洒落怖