信号機男
子供の頃、裏山に信号機みたいなお化けが出るという噂があった。
なんだよ、信号機みたいなお化けって、と笑っていたが、本当に見てしまった。
その日は、夕方遅くに、みなで裏山で遊んでいた。
冬だったから、六時過ぎるともう真っ暗だった。
そろそろまずいだろ。あれ、がでるよ。
と一人が言って帰ろうとしたので、
なにいってんだ。そんなのいるわけないよ。
と、わしはもっと遊んでいようと主張した。
で、しばらく遊んでいたんだが、一人が
わっと、声をあげて走っていった。
なんだと思って振り返ると、
画像の悪くなったビデオ画面のように、
三色に分かれてもわーっとグラデーションを描いている
サラリーマン風の男が立っていた。
前身の輪郭ははっきりしなかった。
出たあ、信号機。
とみなあわてて走り出した。
あれはー、なんだったんでしょうかねえ。