洒落怖超まとめ

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偶然の帰り道

   

94 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:03/08/25 14:35
14年前、北陸へ旅行に行った。
車で越前海岸を走っていたが、あいにく快晴とは言えない天気のため、
そして前日に宿泊した旅館で夕食に出たカニを食い過ぎたせいか、
俺も彼女も体調不良で、海を見てもきれいだねという言葉も出ない
ような状況で車を走らせていた。しかも、3台前を走っている
マイクロバスがノロノロ運転しているせいでスピードも出ないし、
何というか調子が出ないとでも言うのか、ストレスを抱えたまま
走っている感じだった。
せっかくの夏の旅行なのになー。

そんなことを思っていた時、彼女が一言。
「ごめん、ちょっとそこに寄って」
海岸沿いにある土産物屋の駐車場に、ほったて小屋のように建てられていた
トイレに寄って欲しい、と。
そうだね、少し気分を変えよう、ということで、トイレ休憩を取った。
ついでに隣にある土産物屋をぶらついて店から出てきた時だった。
・・・雷?
なんか、ズ~ンとした、腹にひびくような感じがした。
何だろう?
とか思いながら車に乗り込んで、地図を確認してからいざ走り出そうとすると。
急に道路が混み出しているではないか。
おいおい、事故かぁ?
勘弁してくれよ~、せっかくの夏の旅行なんだぞー?

・・・その数日後だった。
越前海岸での崩落事故で、マイクロバスが完全に巻き込まれ、乗っていた
全員が死亡する、という事故の惨状を聞いて、俺は凍り付いた。
あのとき3台前を走っていたマイクロバス。
ズ~ンという、落雷のようなひびくように感じた音。
あの時、彼女が「そこに寄って」と言っていなければ、俺は今この世に
いなかったのかもしれない。
今は俺の女房になっている彼女に、あの時ほど感謝したことはなかった。

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