ホーム > 洒落怖 > Part 1-100 > Part 41-50 > Part 50 > 偶然の帰り道 2016/05/10 94 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:03/08/25 14:35 14年前、北陸へ旅行に行った。 車で越前海岸を走っていたが、あいにく快晴とは言えない天気のため、 そして前日に宿泊した旅館で夕食に出たカニを食い過ぎたせいか、 俺も彼女も体調不良で、海を見てもきれいだねという言葉も出ない ような状況で車を走らせていた。しかも、3台前を走っている マイクロバスがノロノロ運転しているせいでスピードも出ないし、 何というか調子が出ないとでも言うのか、ストレスを抱えたまま 走っている感じだった。 せっかくの夏の旅行なのになー。 そんなことを思っていた時、彼女が一言。 「ごめん、ちょっとそこに寄って」 海岸沿いにある土産物屋の駐車場に、ほったて小屋のように建てられていた トイレに寄って欲しい、と。 そうだね、少し気分を変えよう、ということで、トイレ休憩を取った。 ついでに隣にある土産物屋をぶらついて店から出てきた時だった。 ・・・雷? なんか、ズ~ンとした、腹にひびくような感じがした。 何だろう? とか思いながら車に乗り込んで、地図を確認してからいざ走り出そうとすると。 急に道路が混み出しているではないか。 おいおい、事故かぁ? 勘弁してくれよ~、せっかくの夏の旅行なんだぞー? ・・・その数日後だった。 越前海岸での崩落事故で、マイクロバスが完全に巻き込まれ、乗っていた 全員が死亡する、という事故の惨状を聞いて、俺は凍り付いた。 あのとき3台前を走っていたマイクロバス。 ズ~ンという、落雷のようなひびくように感じた音。 あの時、彼女が「そこに寄って」と言っていなければ、俺は今この世に いなかったのかもしれない。 今は俺の女房になっている彼女に、あの時ほど感謝したことはなかった。 B! LINEへ送る - Part 50, 洒落怖