洒落怖超まとめ

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偽物

   

415 S ◆XgAEzfsW8U sage 04/11/03 13:21:32 ID:m3qkKQfY
こっくり事件以降皆Sのことを避けており、
恥ずかしながら私もあまり関わらないようにしていたのですが
Sの方からこれまで以上に絡んできてさらに僕の友達を減らしてくれました。
そんなSいわく私はあまり霊を見る事はないが呼び寄せてしまうことが多々あるという
無意識の自傷行為のような体質だそうで、こっくり事件のときもどうやら私が騒ぎのかなり大きな要因だったそうです。

416 S ◆XgAEzfsW8U sage 04/11/03 13:22:45 ID:m3qkKQfY
確かに私は昔から体調を崩しやすくよく原因不明の高熱を出していましたが、
そんな裏話聞きたくありませんでした。
しかもこれは自覚するとより呼んでしまう類のものだそうで今後さらに顕著になると
Sはいいました。じゃあ何でそんな話するんだよ、と半泣きで詰問するとにやにや笑いながら
「君の困り顔が面白いから。」といってのけました。このとき彼女に殺意を覚えていないと言うと嘘になります。
実際この後は今まで以上に体調不良が増え、今でも年に七、八回は体を壊します。
(それも時期などに関係なくたいてい家を離れた旅行先などで) 

417 S ◆XgAEzfsW8U sage 04/11/03 13:23:59 ID:m3qkKQfY
そんな私は恐がりなくせに好奇心は人一倍あるという
映画では主役のはれるような性格だったので、
残り少なくなった友人の一人から幽霊の出る廃屋に行こうと話しがかかったとき、
付き合いを悪くしてこれ以上友人を減らしたくないというのと
あんなことがあったのだからもう恐いものなんてないというやけくそのような開き直りでOKをだしました。
後で力いっぱい後悔しましたが。

418 S ◆XgAEzfsW8U sage 04/11/03 13:25:18 ID:m3qkKQfY
こうやって書き込みながら思い出しているとSは私からどんどん友人を減らすのが目的だったんじゃないかというな気がしてきた。

その廃屋は元はスーパーで新しい団地に人が移動して場所が不便になったとかで私の記憶にある限りずっと廃屋でした。
どういうわけかいつまでたっても取り壊すどころか片づけすらしておらずショウケースや棚などが
そのまま残っておりその雰囲気から昔ここで昔人が死んだだのトイレから声が聞こえるだのそういう他愛のないうわさが多く、
面白半分に私も含め三人で出かけました。
既にこっくり事件から半年近くたっておりあの時のことは既にリアリティを失って久しかったのです。
学校が終わってから着たので廃スーパーのところに着いたのはもう夏の日が沈む寸前で、
こういう肝試しの好きなN沢は非常にハイになっていました。
自転車を止めて中に入ろうとすると突然廃スーパーから人影が出てきました。

419 S ◆XgAEzfsW8U sage 04/11/03 13:26:53 ID:m3qkKQfY
Sでした。
「やあ待ちくたびれたよ。K崎君いくらのどが乾いたからって途中二度も寄り道しちゃ駄目だよ。
待つ方のみにもならなくちゃ」
確かに道中K崎は熱いからと二度自販機からジュースを買ってはいましたが何故先にここにいたSが知っているのか。
この手のSの予言者じみた言動は皆聞きながして深くは考えませんでした。
よくあたって恐いから。
当然普段からSを嫌っているK崎は
「うるせぇっ!だれも待ち合わせなんぞしてねぇだろうがっ!T(私)、
お前か?こいつにここに来ること教えたのは!」
当然私も何も知りません。
結局私たちは怒りのあまり顔を真っ赤にしたK崎をひきずって中に入ることにしました。
Sは中に入ろうとせず笑いながら私たちを見送りました。

420 S ◆XgAEzfsW8U sage 04/11/03 13:29:28 ID:m3qkKQfY
中は夕暮れ時とはいえ妙に薄暗く、
埃っぽい空気にむっとした熱気がこもっていました。
適当に中をぶらつきつつ私はk崎の声を聞き流していました。
「だからあの女と関わるな。お前のためを思って言ってんだぞ。
ああいうタイプは思わせぶりな子として人の気を引こうとしてるだけなんだからな。
実際あいつ中に入ってこねぇじゃねえか。口ばっか達者だけどあいつ恐いんだよきっと。」
それはないだろうともはや夢よりもぼんやりとした記憶を救い出しながら思った。
あいつは何か恐いものあるんだろうか?
「なあ・・・おいN沢っ。おいっ!・・あいつ・・」
振り返るといつのまにかN沢がいなくなった。
心配はしていない。ここは所詮元スーパー何だから迷うはずがないし、
それよりもこちらを脅かそうとして先回りしたというのが
N沢の性格上妥当だろうと思いました。
しかし首を戻すとさっきそこにいたはずのK崎もいなくなっていました。
地面は砂利が撒いてあり、何の気配もなく隠れるということは不可能です。
背骨のラインに沿って融けかけた氷がゆっくり滑り落ちたような気分でした。
とっさにパニックに陥らぬようあえてゆっくり出口に向かって歩きながら強烈に
こっくりさんのこととSの言っていたことがよみがえりました。
出口の明かりに走り出そうとしたとたんに肩をつかまれました。

421 S ◆XgAEzfsW8U sage 04/11/03 13:33:14 ID:m3qkKQfY
内臓が液化した。恐る恐る振り向くと必死で笑いをこらえるN沢でした。
「くくくっうひゃひゃひゃひゃ。ひっかかったなT。なにびびってんだよ。」
入り口の方にもK崎が現れました。やっぱりにやにや笑っています。
なんだやらせだったのか。
液化した内臓がまた固体にもどるのを感じながら私もよわよわしく笑い返しました。
N沢がまだ笑いながらk崎のほうに回って肩を組みました。
「うぷっぷぷぷじつはちょっと漏らしたんじゃねえの?」
言い返そうとしてふと妙な点に気づきました。
K崎がまったくしゃべっていない。
表情の在庫がこれだけしか残っていないとでも言うようにただ笑っているだけだということ。
この二人はいわば私が間にいるから一緒にいるだけで普段は肩を組んだり共謀したりするほど
仲がいいわけではないこと。
なにより

二人はこの暑さの中汗をかいた様子がまったくないこと。

こわばった私を見て二人が近づいてきました。
過剰なまでに顔をよせて「Tどうした?もしかしてまだ恐いのか?
俺たちが俺たちじゃないような気がして?」
妙にかわいた埃くさい息が顔に吹き付けました。
それを聞いたK崎がにやりと笑い、私は何故彼がしゃべらなかったのか分かりました。
彼の歯は隣同士と癒着して一枚のとろけたプラスチック板のようになっていました。
とっさに二人を突き飛ばしてスーパーの奥に走り出しました。
後ろから私の友達によく似た二人が怒号を上げるのが聞こえましたが振り返る余裕もなく全力で走りました。
突然Sが棚の影から飛び出し、
「T、こっちだ!」と手をつかんで引き込みました。

422 S ◆XgAEzfsW8U sage 04/11/03 13:35:06 ID:m3qkKQfY
そこはどういうわけかコの字型に棚が並んだ窪みのようになっていました。
二人でできるだけ荒い息を抑えながら潜んでいるうちに
また妙なことが浮かびました。
Sはいつも私をTクンと呼ぶのに今彼女は私を呼び捨てにしていた。
とっさのことでのでなんでもないことなのかもしれないが
妙にそこが気になった。気取られぬようそっとSを盗み見ていると
「Tどうした?私の顔に何かついているのか?」
と顔をぬぐいました。
とっさにものすごい勢いで窪みから走り出しました。
あれは絶対にSではない。
Sなら必ずとげのついた皮肉をあとにつづけるはずだし、
何よりあれは笑っていなかった。
窪みから出ようとしたとたん隠れていた二人に
両側からタックルされて転びました。
もはや二人の顔は二人をよく知らない人間が描いた水彩画のようになり
しかも崩れているようでした。
悲鳴を上げながら必死で身をよじっても二人は手を離しません。
さらに奥からはSに似た奴もやってきます。
もはやパニックのあまり体も動かなくなり、
あううあううとうめくだけになっていると
急に上から砂のようなものがふりそそぎました。

423 S ◆XgAEzfsW8U sage 04/11/03 13:36:28 ID:m3qkKQfY
その粉は私の目に入って激痛を味あわせた後
しがみついていた二人に熱湯のような効果を表したようで
私から二人を遠ざけました。気配で三人目もひるんだのが分かります。
目をぬぐって立ち上がるとSが手に粉の入ったビンを持って
にやにやしながら私を見下ろしていました。
「顔もぬぐった方がいいね。涙とよだれでとても見れたもんじゃない」
と言ってやけにごわごわした布を手渡してくれたので、
顔をぬぐった後ふとその布を見ると雑巾でした。
「そら、早く出るよこんなとこ。何も面白いものはないんだから」
と言って手にした小ビンからさらに粉を撒き散らしましたが
既にあの三人はいなくなっていました。

424 S ◆XgAEzfsW8U sage 04/11/03 13:39:36 ID:m3qkKQfY
外に出てSは小ビンの中身を出入り口に全部撒き散らし
空になったビンを無造作に放り捨てました。
ラベルからするとどうやら家庭用卓上食塩だったようです。
「前も言ったはずだけどね。
君はああいうのをずいぶんと寄せ付けてしまうんだから
不用意にこんなところに着ちゃいけないって。
せっかく忠告したのに・・・
まったく君は耳が悪いのか頭が悪いのかいったいどっちなんだい?」
幸い二人の友人はスーパーの裏で気絶していただけのようで
後で聞いてみたところ何があったのかも覚えていないようでした。
「変な女に目移りしないでくれよ」
と言って彼女は気絶した二人とまだ腰の抜けた私を放ってさっそうと
帰ってしまいました。
後に何故助けに来たのか聞いてみたところ
「前も言ったけどね、君のその顔が面白いからさ。」
と言ったので感謝の念は一気にうせました。
そして私は着実に友人をなくしていきました。

426 S ◆XgAEzfsW8U sage 04/11/03 13:41:07 ID:m3qkKQfY
長文のうえくだらないと思う人もいるかもしれませんが、
これは私の記憶する中で最も恐い記憶です。
今でこそ冗談交じりに書くことができても当時はしばらくのあいだ
血が出るまでつ爪を噛みつづけ、
今でも夢で見ると汗びっしょりで飛び起きます。
Sいわく寝ながら絶叫することもあったらしいです。

436 S ◆XgAEzfsW8U sage 04/11/03 14:46:38 ID:m3qkKQfY

ほんとに芝居がかったそんなしゃべり方をしていました。
リアルで聞くとかなり不自然で不気味です。
でも大学に入ったぐらいから普通の口調になり、
かえってそっちの方が恐かった記憶があります。

馴れ初めと言われても同じ高校同じ大学でて
ずるずるとなぜかいつも一緒にいただけで・・・
求婚は向こうからしてきました。
理由は「その顔が面白いから」
としか言ってくれません。

高校ではテストで赤点をとったメンバーで補習がありました。
私はよく数学で引っかかり残っていたのですが毎回Sは
多いときには3教科も引っかかったりしていたのにいつも
余裕全開で課題を放り出して漫画を読んだり寝たりしていたのですが
たまーにさっと漫画をしまいこみ
びしっと机に向かうと直後必ず先生が教室に見回りにやってきました。
そんな時だけSを重宝していました。
当時はなんとなくそんなもんだと思っていましたが
今思うとほとんど超能力の域です。
本人は女の勘ハイパーだと言っています。

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