洒落怖超まとめ

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写メに映るモノ

   

498 :ちょびエコ:2009/07/19(日) 02:12:04 ID:JOszMLbH0

「俺の兄貴に見て欲しい写メがある」成(なり)さんにそう言われて、兄貴と車で成さんの家に向かっている。
成さんも俺たちも一人暮らしだ。
兄貴と言っても双子で一卵性なので、顔もよく似ているし、なぜだか趣味も合う。違いといえば、兄貴には霊感があって俺にはない。
そういうことから、成さんが見て欲しいと言う写メがどういうものかは予想できる。
予想はできるけど写メ?写真じゃなくて写メか、俺は内心「写メなんかたいしたこと無いだろう」とたかをくくっている。
そんなことより、今日は成さんはバイト上がりだ。成さんは焼肉屋でバイトをしていて、余裕がある時は肉を持ち帰ってくれるときがある。
(楽しみだなぁ・・・肉・・・)そんなことを思いながら俺は車を成さんのアパートの前に止めた。
「お~い、着いたぞ」
俺は助手席で寝ている兄貴を起こすために声をかける。
兄貴はだるそうに体を起こし車から降りて、体を伸ばすと時間を聞いてくる。
「今、何時?」
「ん~22時30分くらいかな」
「ふ~ん、成さん帰ってるかな?」
「どうだろ・・ちょっと早かったかな・・まぁ居なかったら入って待ってればいいよ」
成さんの部屋の鍵の隠し場所は教えてもらっている。電気のメーターの上だ。
ドアを回してみると鍵がかかっていたのでメーターの上をごそごそ探る。
「お、あったあった。成さんまだバイトみたいだな」
俺はそういうと、部屋の鍵を開けて中に入る。

499 :ちょびエコ:2009/07/19(日) 02:13:27 ID:JOszMLbH0

中は入ってすぐの所が流しになってて、その向こうにワンルームの部屋がある。
相変わらずきれいに片付いた部屋だ。俺の部屋とは大違いだ。
「ん~相変わらずきれいな部屋だな」
俺は見たままを口にしてみた。
「お前の部屋が汚いからそう見えるんだよ・・・」
「・・・ふぅん、まぁそうなのかね。」
思いもよらない辛辣な意見に返す言葉も無い。確かにこいつの部屋もきれいに片付いてる・・。
成さんが帰ってくるまで、暇なので兄貴にゲームでもしないかと持ちかけてみた。
「ゲームより、なんか食べに行かない?腹減ったよ」
「あぁ~、俺は成さんが肉を持ってこないかと期待してるんだよね」
「ほ~意地汚いな・・まだ金あるんだろ?」
「あるけどねぇ・・カルビ食べたいなぁなんてね・・」
兄貴は「はぁ~」とため息を吐くと首を振る。
・・・やかましい兄貴だよ全く。俺はそう思いながら携帯を見る。23時だ。
ガチャガチャっと音がしてドアが開く。部屋の主が帰ってきたらしい。
「ただいま~、おー二人とももう来てたんだ。」
成さんはそう言うと、隅に荷物を置く。むぅ・・見た感じ肉は無さそうだ。俺はちょっとだけがっかりした。
それを兄貴がじーっと見てる。
「・・・なんだよ」
「いや・・別に。成さん夜飯食った?まだならなんか食べに行かない?」
「まだかな。じゃあラーメンなんかどう?新しい店発見したよ」
「おっ!いいねぇ~。そこ行ってみよう」
兄貴と成さんとで食べ物が決められていく。この二人はラーメンが好きだ。
(ラーメンか…カルビじゃなくてチャーシューか…)

500 :ちょびエコ:2009/07/19(日) 02:15:32 ID:JOszMLbH0

三人で車に乗り、俺が成さんの指示通りに車を走らせる。
店に着いて注文をして待っている間に成さんが携帯を出してきた。
「今日二人に来てもらったのは、これ見せたかったんだ」
そう言って出してきたのは壁かなにかを撮った写メだった。
「壁が見える・・・天井かな?多分壁かな・・」
俺が見たまんまの感想を述べてると、横で兄貴が顔しかめる。
「うわっこれ顔が見える・・いくつだ・・・1、2、・・6個か」
そういって気持ち悪そうな顔をする。兄貴は霊感はあるが、極力そういうことに関わろうとはしない。
「へ?顔が見える?どこ?」
俺は写メをしっかり見るが、壁しか見えない。成さんにも見えるか聞いてみると、見えるらしい。
そして兄貴に言われた。
「お前、これ見えないって相当霊感ないと思うよ。むしろ0か?」
「・・・うるさいよ!見えたってビビッて現地いけないんじゃ意味ないだろ!!」
「ばか、ビビッってるんじゃない!…あれだ、危ないところに近寄らないだけだ」
そういう兄貴の目は写メを避けてる。これはビビッてるな。間違いなくビビッてる。
そんな事を考えてると成さんが、
「これ、友達がカメラ付携帯を買って、部屋で試し撮りしてたら写ったらしいんだけど、そのコの部屋、最初から安かったんだって。
でも今までなにも無かったし、特に気にして無かったんだけど、こんな写メ撮っちゃって気持ち悪いから見て欲しいって頼まれて。
それで、二人にも一緒に来てもらえないかなって思って今日来てもらったんだけど。無理?」


502 :ちょびエコ:2009/07/19(日) 02:16:50 ID:JOszMLbH0

成さんはそういって、チラッとだけ兄貴を見る。どうやら兄貴に来て欲しいらしい、まぁ俺は霊感ないからね!いいんだけどね!!
兄貴が無理と言おうとした瞬間、俺は
「いいよ~どうせ暇だし。なぁ?」
「え?いや・・おれは」
そういう兄貴の言葉を遮り、俺はもう一度OKの返事を返した。兄貴に日頃の恨みを晴らすチャンスだ!!
「助かるよ。じゃあとりあえず食べたら行くって友達にメールしとくわ」
成さんの話によるとその友達は、部屋に住んで1年ちょいで、写メを撮ったのは昨日、撮った後は気味が悪くて近所の友人のとこに居たらしい。
携帯と一緒に買った棚を置くために、元々部屋にあった大きな棚をずらしたら、変な紙が貼ってあったそうだ。
それが棚をずらした時に破れたらしく、それが気になるんだそうだ。今は部屋で待ってるようだ。
「ん~なんか、部屋の中で変な音とかするから、早く来て欲しいって返事来た」
兄貴はさらに嫌な顔をする。成さんは少し楽しそうだ。俺にはどうせなにも見えないだろうな。
俺たちは、出てきたラーメンを食べると成さんの友人の家に向かった。


503 :ちょびエコ:2009/07/19(日) 02:18:14 ID:JOszMLbH0

成さんに言われたところで車を止める。
パッと見た感じ結構きれいな所だ。部屋は4階にあるらしく、成さんは「こっち」と言って階段を次々上って行く。
俺は、男のくせにいいとこ住んでやがるなぁ、なんて思いながら成さんの後に続く。
兄貴は一番後ろを嫌そうに着いてくる。思う存分嫌がるがいい!!
4階の一番奥の部屋がその部屋らしい。成さんが呼び鈴を押すと「はーい」と言ってドアを開けたのは、同年代くらいの結構
かわいい女の子だ。お~、この部屋の奴の彼女か?一瞬そんな事を思う。
「あ、初めまして。私、麻生雅子(あそう まさこ)と言います。今日はわざわざ来てもらってすみません。」
そう言って、頭を下げる。
「ん?この人がここの住人さん?」
てっきり男だと思ってた俺は、思わず成さんに聞いてしまった。成さんは、うんと頷くと部屋に入っていく。兄貴はちゃっかり挨拶を返している。
えー!成さん女友達か!あまりの驚きに、俺はすっかり出鼻を挫かれ、ドアを開けて待ってくれているのに、
しばらくぼ~っとしてしまい、あの…と声をかけられ我に返る。
「あ、ははは。いや~ちょ、ちょっと考え事してて。すいません。失礼しま~す」
俺はそう言って部屋に入り、簡単な自己紹介をした。


505 :ちょびエコ:2009/07/19(日) 02:19:28 ID:JOszMLbH0

部屋はきれいに片付いていて、確かに大きな棚があり、その横に小さなかわいらしい棚が置かれている。
中は部屋に入って左に棚、右に窓、入って正面にベッドがあり流しは玄関からの通路にあるワンルームだ。
「こんなでかい棚、一人で動かしたの?」
「いえ、友達に手伝ってもらって。3人がかりでやっとずらせたんですよ」
そんなことを話しながら会話を楽しんでると、兄貴に服を引っ張られて、玄関に連れて行かれる。
「なんだ?今楽しい会話を」
「ここやばい。早く帰ったほうがいいよ。やばすぎるって」
「え?やばいの?ピンかキリどっち?」
兄貴のやばいはピンからキリまである。キリはやばすぎる。
「キリに近いかな。真ん中よりはキリ寄り」
「え?それって結構まずいよね?俺にも見えるクラスじゃない?」
「今は見えてないけど、出てきたら見えるだろうな。出てくる前に帰ろう。早く」
「じゃあ、とりあえず麻生さんにも話さないと」
そう言って部屋に戻ろうとすると、急に部屋が暗くなる。
ギクッと体が強張る。が、すぐに電気が付いたので、俺は部屋に飛び込んで二人を呼ぶ。
「成さん、麻生さん早く部屋を出よう。どっか外で・・・
そこまで言いかけて止まる。部屋には誰も居ない…そして、変わりに首が浮いてる。ふわりふわりと。
俺は、動けなかった。じーっと首を見ている。目を閉じたまま浮いてる首。
これやばいな・・こういうのって目合わすとまずいんだっけ。そんな事を思い出した瞬間、目が合う。

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