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古い家(師匠シリーズ)

   

185べるか 2008/06/29(日) 14:22:55 ID:M1fom2Jz0


題:廃トンネル
その先生は理科の教師で、自分から言いふらしたりはしないが霊感がある、
という噂が流れていた。
これからはその教師をK先生と呼ばせていただく。
一例を挙げると、そのK先生とNという生徒が
理科室で二人きりで話している最中、
K先生は全く別の方向、N以外の誰かを見ている様子だったという。
Nは不思議に思ったが、そのまま話を続けたそうだ。
そしてNが話し終わった後、K先生は
「今ストーブの方向を見るなよ。」
と言ったそうで、Nは気味が悪かったので
ストーブの方を言われたとおり見なかった。
しばらく緊張感のある沈黙が流れると、突然K先生が
「あ」
という声を上げ、それと同時にボッとストーブの火が消えたんだそうだ。
後で確認した所、灯油は十分に残っており、
先生の不可解な行動から「霊」を見ていたんじゃないか?ということになり、
それは校内にあっという間に広がった。
そしてこの話は教員にも伝わり、国語の教師Lと数学の教師Mが
肝試しに、幽霊スポットとして有名な、ある山のトンネルに行くことにしたそうだ。
そのトンネルは、今では廃トンネルだが工事の最中に多数の工員が死んだらしい。

186べるか 2008/06/29(日) 14:24:10 ID:M1fom2Jz0


緊迫感あるようにL先生視点。

俺とKは、Mの車に乗せてもらい例の霊のいる(駄洒落か)廃トンネルに行くことにした。
夏休みのある日曜日の話である。
都市伝説的な話だとは思うが、もし霊がいるなら
霊感のあるというKが見つけてくれるだろう。
山のくねくねした道を通り、例のトンネルに到着した時には
夜に待ち合わせたお陰もあってか、既に夜の11時を回っていた。
Mのいう話、このトンネルでは霊を呼び寄せる方法があるらしく、
「まずトンネルの中をしばらく進み、2つ目の非常口の前で止まる。
そして深夜0時、余分な明かりを一切つけず、クラクションを4回鳴らす。」
というのがその方法だそうだ。
無論車の正面のライトは禁止。
時間に余裕があったが、とりあえずは2つ目の非常口を探す。
見つけたが意外と奥にあり、出口(俺達の入ってきたところ)は真っ暗なせいでよく見えない。
この時点で11時15分。
俺達はしばらく雑談をして時間を潰した。
あと、座席を説明しておくと、
運転がM、助手席に俺、後部座席にKである。

187べるか 2008/06/29(日) 14:25:34 ID:M1fom2Jz0


11時55分になると、全ての明かりを消し、
いつでもクラクションを鳴らせる状態にした。
そしてLの時計が0時になった時、
クラクションを4回鳴らした。

188べるか 2008/06/29(日) 14:27:2 ID:M1fom2Jz0 ・・・・

沈黙が流れる。
1分が5分くらいに感じられる。
暑いことから流れるのではない、ひんやりした汗。
緊張が流れる。
5分が過ぎた頃、Mが言った。
「なあ、やっぱり何もいなかったん・・・」
言い終える前に、Kが言った。
「な、何を言ってるんです・・・?そ、そこら中に・・・・」
歯をガチガチと言わせながら、Kが辺りを見回す。
俺とMも周りを見るが、何も見えない。
俺達はKがふざけているんだと思って、逆に笑っていた。
だが、状況は一変した。
Kからの声が聞こえない。
さっきまで聞こえていたKの歯の音が消えていた。
「ん?」
俺はおかしいな、と思って車の天井のライトを探り当ててつけた。

・・・Kは失神していた。

「おいK!」
俺が呼びかけるが、Kからは返事はない。
「シッ!静かにしろ!」
Mが小さい声で俺を制した。
・・・何か音が聞こえる

189べるか 2008/06/29(日) 14:28:31 ID:M1fom2Jz0


・・・ベチ・・・。
・・・バチ、ベチ・・・
何かを叩きつけるかのような音。
流石に、ヤバイと感じる。
「おい、M、車・・・」
「ああ・・・」
車のエンジンをかける。
・・・かからない。
「か・・・かからねえ・・・」
Mが泣き顔になりながら言う。
ヤバい。何とかしないと・・・。
俺はまず明かりをつけた。
車の中の懐中電灯で辺りを照らす。
いざという時の為に持ってきた、電源が電池のランタン。
それが辺りを照らす。

・・・・

さっきまでの音は止む。
「ハア・・・ハア・・・。」
俺達は既に汗をびっしょりとかいていた。
Mがもう一度エンジンをかける。
今度はエンジンのたのもしい振動と音が伝わってきた。
正面のライトもつけ、出きるだけ明るくしながらトンネルを出た。

190べるか 2008/06/29(日) 14:29:25 ID:M1fom2Jz0


トンネルを出たら、俺はKの状態を見るために後部座席に移った。
Kは今は呼吸もしているし、大丈夫のようだ。
俺達は明るいところを求め、ガソリンスタンドに車を入れた。
とりあえず安堵のため息が出てくる。
「おい・・・L・・・」
Mが俺を呼びかけてくる。
「ん・・・なん・・・・」
言いい終える前にまた背筋が凍った。
車のガラスというガラスに、
つけた覚えのない、手形がベットリと無数に・・・・・・

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