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夢遊病者

   

749 本当にあった怖い名無し 05/01/10 11:21:26 ID:EvU02LnD

10数年前のことだ。当時俺は武蔵中原の寮住まいだった。
土地勘のある者なら分かるだろうが、当時は駅の正面に
某F通の社屋が建っており、駅から寮までは、その社屋を
迂回しなければならなかった。
その社屋の側面の道路を挟んだ向かいには聾学校があった。
俺は仕事柄最終電車で帰宅することが多かったのだが
その日も最終電車で武蔵中原に着き、いつものように煙草を
ふかしながら寮へ向かっていた。
F通の社屋の側面の距離200M位の直線道路は街灯もあるんだが
両側が高い壁のせいか微妙に薄暗いと感じる道路である。

ん?なんか声が聞こえる・・・
ふと進行方向を見ると、白っぽいパジャマを着た女性が
ガードレールを触りながら「いひひひひひひひひひ~」と言いながら
こっちに小走りに駆けて来るのが見えた。
俺の身体は硬直した。
俺の脳細胞はこの場をどう回避するか一生懸命考えたんだと思う
が・・・脳細胞は答えをだすのをヤメたのか
「マジかよ」という呟きとともに、その場に完全に立ちすくんでしまった
その間にも俺とその女性との距離はどんどん狭まってくる
よく見れば25歳位の若い女性・・・
相変わらず「いひひひいひひ~」という奇声をあげつづけている。
しかもよく見ればその顔は笑っている
俺と女の距離がお互いの顔を認識できる距離に近づいた時
その女は俺に気がついたのか立ち止まりやがった

750 本当にあった怖い名無し 05/01/10 11:22:03 ID:EvU02LnD

俺はというと彼女との接近遭遇をやり過ごしたかったのか
F通の壁を背中にして何とかガードレールから1cmでも離れたい一心で
壁にへばりついていた。
その女は俺を一瞥すると、何事もなかったかのように
今来た方向にUターンした。
しかし今度はガードレールには触れているものの小走りではなく
トボトボといった感じの歩きである
俺はまだ硬直状態から脱出できない

その女が俺の視界から消えたとき、俺は歩道にへたりこんでいた
俺の脳細胞も活動を開始したのか我に返り立ち上がって
寮への帰り道を急ぐべく歩き出したわけだが、ここで問題に気がついた
その女は俺の進行方向へ消えたのだ
・・・ということは、また戻ってくるかもしれない・・・
かといって寮に帰らなければこの恐怖から逃れる術はない
意を決して俺は前進した
しかしその瞬間、危惧していたことが現実になった
あの女が戻ってきたのである
しかも例によって「いひひひひひ~」と奇声を発しながら小走りでだ
俺は逃げた。それはもう必死で走った。
かなりの時間走ったと思う
俺はかなり大回りをして寮まで辿り着いた。
次の日、寮の先輩にこのことを話したら
ここらでは有名な夢遊病者で、夜な夜な徘徊しているということだった
大回りして逃げたことも話したら、その先輩もそうしたと笑われた

今は転勤して地方にいる身だが、近所にお住まいの方で
この夢遊病者を知っている人がいたら続報を聞きたいものである

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