洒落怖超まとめ

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大雨の夜

   

289 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:03/11/03 07:08
長文になってしまい申し訳ない。

俺が小6の頃の話。
その日は露の時期特有の大雨の日で、朝からずっと雨だった。
夜になっても雨は止まず、テレビでは警報なんかも発令されていた。
俺の家は割と低い土地に建っていて、近くには川もあったので、
心配になった母親が、近くの高台にあるスーパーの駐車場まで
車を置きに行くことにした。

俺と母親とまだ幼稚園生の妹3人でスーパーの駐車場まで行き、
無事車を置いてから、親子3人で傘を差しながら家迄帰っていた。
バケツの水をひっくり返した様な雨で、妹は母と、俺は一人で傘を
差して歩きにくい家路を急いでいた。

すると前から一人の人が傘を差し、俯きながら歩いてくる。
よく見るとその人は真っ赤な傘を差し、白いワンピースを着た
髪の長い女の人だった。
夜も大分遅かったし、普段あまり人通りも多くない道。
そもそもこの大雨である。俺らの他にもこんな日に出歩く人が
いるんだなぁ。と不思議に思いながらも、その人からなんとなく目が
離せないでいた。だんだん俺らとの距離が縮まってくる・・・・。

- 続く -

290 名前:289 投稿日:03/11/03 07:09
- 続き -

これでもかって位真っ赤な傘。辺りにはあまり明かりがなく、暗かったにも
関わらず、その人の傘は異様なほど赤く光っていた。その人が着ていた白い
ワンピースとのコントラストも相まって、不気味な感じさえ受けた。
更に奇妙だったのは、その人の足元も白いワンピースの肩口も全く濡れていない。
俺らは傘を差しているとは言え、さすがに服も靴もぐしょぐしょで、
母も妹も肩口から髪にかけて水滴が伝っていた。
一方女の人はと言うと・・・全く濡れていない・・・。
ストレートの長い髪がサラサラとしている。俯いているため相変わらず
その表情は見えないが、距離が近づいてくるにつれ、俺も母も段々と嫌な
感じがしてきた。

俺「ねぇ・・・あの人・・・。」
母「うん・・。なんか変だね。」
俺の家系は霊感持ちが多く、母はかなり霊感が強かった。
俺も小さい頃から少なからず嫌な体験をしてきていたので、
そういった空気と言うか雰囲気がなんとなく分かった。
俺「なるべく見ないようにして通り過ぎよう・・・。」
母「そうね・・・。(妹の名)も見ないようにね・・・。」
等と小声で話しながら足を速めた。

- 続く -

291 名前:289 投稿日:03/11/03 07:10
- 続き -

速足の俺ら。女の人は相変わらず俯いたまま、滑るようにゆっくり向こうから
歩いてくる。
そしていよいよお互いすれ違うその時、俺も母もなんとも言えない寒気と言うか、
悪寒と言うか、上手く言葉に出来ないがとてつもなく嫌な感覚に襲われた。
と同時に、
「ぎゃーーーーーーーっっっ!!!!」
突然母に手を引かれていた妹が金切り声を上げて泣き出した。
俺は訳が分からず呆気に取られていると、いきなり母が俺の腕を掴み、
妹を抱えて土砂降りの雨の中走り出した。
そのまま家の玄関に転がり込む様にして帰り着いた俺ら。
どうしたの?と尋ねる俺に母は息を切らしながら、
「あ、あの人・・・普通じゃない!人間じゃなかった・・・。」

気丈な人で、胆の据わった母には珍しい取り乱し様に、
俺は只々言葉を失っていた。妹は大分落ち着いた様子だったが、
その後も何度か何かを思い出した様に突然泣き出し、その日は結局
泣き疲れて寝てしまった。
妹が眠りに着き、改めて何があったのか問いただした俺に母は、
「私たちからは見えなかったけど、(妹の名前)は傘の下から俯いた
あの女の人の顔をみちゃったんだよ・・・。だから泣き出したのよきっと。
それにあのひと・・・私たちとすれ違った後すぐ曲がったんだけど、
あんなとこに道無かったじゃない・・・?
あそこには家が何軒か建ってて隙間なんか殆ど無かったし・・・・」

- 続く -

292 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:03/11/03 07:11
- 最後 -

あの時俺は突然泣き出した妹に気を取られて、その後の女の人を見ていなかったのだが、
母は通り過ぎた後の女の人を見ていたらしく、一部始終を見た後、とてつもない恐怖に襲われて
その場から一秒でも早く離れたい!と思ったそうだ。
後日母と一緒に、スーパーに停めた車を取りに行った帰り、
女の人が曲がったと言う所を確かめたが、そこには二軒の家が建っているだけで、
隙間などは30cmも無かった様に思う。
それを確かめて、母と俺は改めて背筋がゾッとして、そそくさと
その場を離れた。
妹は次の日に熱を出して寝込み、後になってあの日のことを尋ねても
全く覚えていないと言う。

そして、これは俺が中学になってから分かった事だが、
俺らが恐怖体験をしたあの大雨の日、忘れもしない6月の26日。
その日は丁度数十年前の同じ日に、記録的な豪雨による川の氾濫で、
俺の地元では何百人もの犠牲者が出た大水害が起きた日と、全く同じ日だったのである・・・。

ー 終わり ー

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