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封印された事件

   

386 本当にあった怖い名無し sage 2007/02/08(木) 07:44:54 ID:Cq/7XAoL0
「お母さん、どうして僕ら、こんなところにいるの?」
「そうだよ、もう夜中だよ」
「帰ろうよ、お母さん」
「死ぬのよ」

貧困の重圧に押し潰された母親は、
新月の晩に子ども達を藪の中に呼び出した。
錆びた鉈を引き攣った笑顔で隠したのも、
全ては自分の子ども達を無かった事にするためだった。

一人目は実にあっけなかった。
戦慄く叫びは黒い風が、
迸る血は藪の網が遮ってくれた。

二人目も実に容易かった。
拙い逃走は自らの武器に、
悲しい懇願は貧困の重圧に縊り殺された。

三人目。見渡しても、何処にも居なかった。
さすがに、逃げる時間は十分にあったはずだろう。
探して、殺してあげるのが私の使命。

その翌日、巨大な岩に押し潰された女性の死体と、
鉈で切り殺された二人の子どもの死体が見つかった。
凶器を握り締めて果てていた母親が、子ども二人を手にかけた後、
今では行方知れずになった僅か五歳の幼児(恐らくは三人目の子ども)が、
その母親を殺した犯人と断定された。

ただ、成人男性の身の丈ほどもあるこの岩を、
彼の幼児がどうやって動かしたかなど、誰に分かる筈も無かった。

封印された事件の一頁。

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