洒落怖超まとめ

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山で・・・

   

493 名前:1 投稿日:03/04/22 03:05
僕の住んでいる町に標高の低い山があります。
その山は、海岸からチョット離れていて
頂上に登ると開けた空間があり
かなり拾い範囲の街並みと
太平洋が一望できます。
標高は低いですが一応、山脈の一部で
奥に進むと、木々の緑が欝蒼として
夏でも海から吹き上げる潮風で
肌寒さすら感じます。

ある日、気分転換に車で頂上に登り、暫く
小さな街を走る電車やキラキラと光る
海を眺めていました・・・・
すると雑草の茂ったハイキングコースの奥から
「カーン!カーン!カーン!」
と言う音が聞こえてきました。
その音は金属的な音ではなく
乾いた木と木がぶつかり合う様な感じでした。
「何だろう?」
そんなに遠くから聞こえてくる感じがしなかったので
音源を確かめたくなって、その方向に進んでいきました。
起伏のあるハイキングコースを10分ほど進んでいくと
そこから右に外れた奥から聞こえるようでした。
コースから外れてしまうのでどうしようか考えたのですが
緩やかな斜面だったので、足を進めました。
ですが、足元に気を取られながら進んでいるうちに
いつの間にか音が止んでいる事に気が付き足を止め、
もう一度、その音がするのを待ちましたが
再び音がすることは有りませんでした。

494 名前:1じゃ無く493でした 投稿日:03/04/22 03:08
少しの間、その場に身を沈め
周りを見渡すと、木々がザワザワと風に踊っています・・・
僕は、何故か異様な雰囲気に恐怖を覚え、戻ろうとしましたが
風の止んだ静寂の中に、今度は
「パキッ!パキッ!・・・パキッツ!」
と言う人の足音にしてはチョット軽い音で
何かが確実に、こちらに向かって来る感覚がします。
「野ウサギかな??」
その時僕は、人気の無い山の中で
自分以外の血の通った物に出会えるかもしれない?
と言う気持ちから、恐怖心よりも好奇心が大きくなっていました。
「パキッ!パキッ!」「パキッ!パキッ!」
音は、段々と近づいてきます・・・
「もうスグ見えるかもしれない」と思ったとき、足音は止まりました・・・
僕の気配に気が付いたのだろうか?残念な気持ちで様子を伺っていると
突然「わぁぁぁ!わぁぁぁぁ!」と、男の子の泣き声が聞こえてきました。
いいえ、聞こえて来るというよりも頭の中に響いて来る感じで
「わぁぁぁ!わぁぁぁぁ!」と泣き叫んでいるようでした。
姿は見えませんが、5才位で半ズボンに長袖のシャツ男の子が
顔に小さな手を当てて、泣いている姿が頭の中に
ハッキリと浮かんできます。
とたんに先ほどの恐怖心が蘇り、駐車場に向かって
夢中で走り出しました。

495 名前:1じゃ無く493でした 投稿日:03/04/22 03:09
その間も泣き声は止みません。
それどころか、背後に気配すら感じます!
僕は訳も分からず「ごめんなさい!ごめんなさい!」と
謝りながら走っていました。
ハイキングコースに出て、息を切らして走っていると
突然、足首を掴まれた感じがして
目の前が真っ白になり気を失ってしまいました。
転んで気を失ったのか、転ぶ前に気を失ったのか
それは分かりませんが、気を失っていた時間は
5分も経って無かったようでした・・・

気が付いた時には、もう声も気配も感じず
静かな木々の中から小鳥の声が聞こえるだけでした。

496 名前:1じゃ無く493でした 投稿日:03/04/22 03:11
僕は慌てて立ち上がって、車に戻りドアを閉めると
閉鎖された空間の安心感を感じて、少し落ち着き
気を失っていた時に聞いた声を思い出しました。
たしか、「お母ちゃん・・どこに居るの?」
そんな声を聞いた気がして・・・
現実か夢か分からなくなっていた僕は
掴まれた感じがした左の足首を見て
「あぁ、現実だったのかもしれない。」
と再び寒気を感じました・・・・

白い靴下に、しっかりと
泥の付いた手形のようなものが残っていたのです。

僕は急いで山を降りましたが
その後しばらくの間、車のバックシートに
人が座っている気配を時々感じました。

お祓いをしたので、今ではその気配も無くなりましたが
以来、その山には登っていません。

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