洒落怖超まとめ

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山の奇談

   

以前、原付に乗れるようになったばっかのころ、
どっか遠出したくって、適当に山岳地帯の道路を走ってったんです。
場所は、静岡県の南アルプス付近。(南アルプスではない)
道路の整備はかなり進んでいて、峠まで道路が通ってるようなとこもありました。
そんで、湖があるとこがあって、そのまま進むとどんどん山深くなってきました。
民家は湖があったとこには、公民館もあったりで、けっこうあったけど、
山の奥になると、ぜんぜんなくなってきた。
そんで、登山口があって、興味が沸いて、そっから登山しようと思ったんです。
ところが、時間を見たらもう4時過ぎで、まさか今から登山したら頂上につくころは夜だ。
と分かったのは、登山してしばらくしてからでした。
急遽、下山して、バイクで来た道を速攻で下りはじめました。
しかし、バイクでかなり時間をかけて奥地まできたので、
民家のあるとこまでは、ゆうに1時間はかかります。
しかも道は、舗装されてないとこも多く、またガードレールが無いとこもあって、
ハイスピードで下るわけにもいかない。
案の定、途中で日が暮れてしまいました。
当たりは、真っ暗でかない恐いです。

そんで、走り続けてたら、なんか道路が下りではなく、上向きになってるんです。
しかし、そう思うと道を間違えたことになり、それは恐いので、
たまたまだ。そのうち下りになる。と思いこんで、走ってたが、
やっぱり上り道でした。いつのまにか道を間違えてんです。
そっからまた後戻り。かなり焦ってたので、
デコボコな場所では、バイクが跳ねたり、地面とバイクが接触したりしました。
走ってると、向かいにライトが見えた。自動車のライトでした。対向車。
人がいるってことで、とっても安心した気分になりました。
対向車とすれ違うには、道路が狭いのでギリギリですれ違うわけです。
しかし、よく考えれば、こんな時間に山を上る自動車なんておかしいです。
それでも、人がいることに安心してました。
そして、その自動車とすれ違うとき、声をかけられたんです。
正直、かなり恐かったでんですが。相手「この道、どこに出ますか?」でした。
私は、「さあ。途中で引き返してきたので」
相手「道分かりますか?」私「いや。下れば下山できると思って(w」
相手「このまま下ると、また上り道になりますよ」
私「え」
この人も私と同じように、道に迷ってたんです。

そこで、一緒に下山道を探しましょう。ということになって、
まず、私が来た道を諦めがつくまで登ることにしたんです。
2人になると、かなり心強く感じて、とっても安心してきました。
そして、数十分進んだのですが、やっぱり上り道で、
自動車が停止したので、声をかけると「やっぱり違うな」でした。
そこで、また逆の方向に進むわけです。
私は、自動車の後をくっついていくんです。
で、ここで急にバイクの速度が落ちた。パンクかと思ったら、ガス欠。
もう相当走ってきたから。しかも、慌ててたので、気付かなかった。
それで、前の自動車に「すいません!」と言ったが、走行音と舗装されてない道路のジャリ音で、
聞こえないようで、自動車はそのまま行ってしまった。
夜の山道で、立ち往生。正直、泣きたかった。
そのうち自動車の人が来るだろうと思って、
バイクを引いて歩いて下っていったんです。
明かりは、バイクからでる僅かなライトと、ウインカーの明かりだけ。
そうこうしてるうちに、バッテリーが切れた。明かりは、木々から漏れる月明かりだけ。
どうしようかと思ったが、そこでじっとしてるのも意味が無い。
というより、動いてないと恐い。あたりは、静まりかえってる。
バイクをそこに止めて、あるいてった。もう半分、ひらきなおり。
しばらく行くと、前から「おーい」って声がしたんです。

自動車の人だと思って、駆け足でいったが、誰もいない。
すると、また前から「おーい」。やっぱりいると思ったが、誰もいない。
すると、またまた「おーい」。遭難者かと思ったが、常に前からなんで、変。ガクブル。
このとき、幽霊という考えが浮かんで、それを必死で否定し、
普通に歩いていった。声は聞こえなくなってたと思ったら、また「おーい」。
今度は、さっきよりも近い。誰かいると思って進むんでくと、前に明かりを発見。
小屋から出てる明かりで、民家ではない。
何かの作業小屋みたいで、道路の脇にある。
あの声の人かと思って、すいませーんと声をかけたが返事が無い。
無視して進もうかと思ったが、他に頼れるとこは無いので、
ちょっと中を覗くことにした。
中では、机に向かって新聞を読んでる人がいた。
すいませんというと、出てきた。相手「どうした」
私「バイクがガス欠で」相手「それは大変だな。中で休んでいけ」
私「すいません。あの、電話は無いですか?」
相手「おう。ここには無いんだ」
こんなとこで、何してるんだと思って、
私「登山の方ですか?」相手「いや。仕事でここに泊まるんだ」
私「ああ。そうか」
正直、仕事でこんなとこに泊まるのも意味が分からなかったが、
あまり疑問を持つのも恐いので、知ってるように振舞った。
小屋に入って、椅子に腰掛けた。
相手「どっから来た?」私「*県からです」
などと会話して、しばらくすると、相手「ちょっと出るからな」
と言って、どっか行ってしまった。

もし、あの人が殺人鬼だったらどうしようとか、
仲間を呼びにいったんだとか思ったりして、かなり恐くなってきた。
それは妄想ですけど、しばらくしたら外から、なんと話声がするんです。
なんと、道路の脇の山中の茂みの上で倒れてたんです。
息遣いは、ハッハッハッと激しい。
そんとき、完全に眼が覚めた気がした。
常識的に考えれば、あんな事は起こらない。「おーい」なんて変な声もしない。
普通にガス欠で普通に道路を歩いてただけ。
そう。これから歩いて下山する方法を探すだけでした。
いったい今までの出来事は何が何やらでした。しかし、恐いという感覚は無くなってました。

後は、もう恐いって気はしなくって、夜が明けるまで歩いてきました。
明け方になると、道路工事のトラックが通って、
手を振ると止まってくれたので、ガス欠だというと、
道路工事用のガソリンを分けてくれる言うので、トラックに乗って道路工事の資材置き場まで無事下山。

そう思えば、そうとしか答えがでない。

上りのトラックでバイクのとこまで送ってもらいガソリンを入れて、(400円払った)
道を詳しく聞いてお礼を言ってバイクで下山して帰った。  完

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