洒落怖超まとめ

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巣鴨の公衆トイレ

   

575 名前: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 04/02/05 05:40
 これは、私の母が体験した話です。
 10年以上前のことです。母の実家が巣鴨にあるのですが、
夏休みには、よく私と母で遊びに行っていました。
 母には5歳年の離れた妹がいて、当時まだ結婚していなかった
ので実家に住んでいました。母と妹はコーヒーが大好きで、
何かというと巣鴨商店街の喫茶店へと出かけてはお喋りに興じ、
数時間も帰らないこともしばしばでした。
 あの時も、いつものように、夕食後、二人してコーヒーを飲みに
行くと言って出かけていったのです。
 その日はたまたま近くの喫茶店が休みだったため、二人は
巣鴨のお地蔵さん(有名な棘抜き地蔵)の先まで出かけて
行きました。そして、いつものように長々とお喋りを楽しんでいた
ところ、気がつくと深夜の12時を回ってしまいました。
 流石に喫茶店も店じまいで二人は追い出されるように、店を
出たのですが、コーヒーを飲んだせいでしょう、母は突然尿意を
催したのです。とはいえ、この時間帯ではお店は開いていません。
 しかたがないので、母は、しぶしぶお地蔵さんの裏にある
公衆トイレへと向かいました。そこは、あまり綺麗なトイレでは
ありませんし、変質者等も出そうな不気味な感じがありました。
 ですので、母は自分がトイレに入っている間、妹にトイレの前で
見張りつつ待っているようにお願いしたのです。
 そして、母はトイレに入りました。入り口から3つめの一番奥の
ボックスに何気なく入ります。そこまでの2つのボックスは空で、
このトイレには3つしかボックスはありませんでした。

576 名前: 575の続き 04/02/05 05:41
 母が用を足した丁度そのころ…
 コン、コン
 とボックスのドアをノックする音がしました。
母は妹が来たのかと思い、「○○?」と声をかけましたが
返事はありません。代わりにもう一度、
 コン、コン
 とボックスが叩かれました。
 母はとっさに「おかしい」と思い、黙ったまま扉の方に
意識を集中させました。
 確かに、誰かいる…。
 そう、母は感じたそうです。そのまま暫く時間が経過しました。
今、開けてはいけない。そう思いながら待つ数分はとても長く
感じたそうです。
 そして、不意に気配が消えました。
 母はゆっくりとドアを開けると、何もいないことを確認して
そのまま外で待っている妹の元へ行きました。そして、妹に
中であったことを話したのです。
 当然、妹はノックなどしていません。それどころか、ずっと
入り口に立っていて見張りをしていたのです。誰かが入って
来たということもあり得ないと言うのです。
 妹の悪戯かとも思いました。でも、よく考えるとおかしいことが
あります。ノックが聞こえた前後、足音がしなかったのです。
もし、妹の悪戯なら、妹の足音がしたはずでしょう。仮に、
来るときの足音を聞き逃していたとしても、意識を集中させて
いた、帰るときの足音を聞き逃すはずはありません。

631 名前: 575ラスト 04/02/05 22:20
 その日、帰ってくるなり母と妹はこの話を私と祖母にしました。
明確に幽霊を見たというわけでもないこの話は、しかしとても
薄気味悪く感じたことを覚えています。
 あれ以来、10年以上の月日が経ちますが、母は二度とあの
トイレに入っていません。それは、妹も同じです。

 あの日、あのトイレでドアをノックしたのは誰なんでしょうか?

 人が死んだとか、何か事件があったという噂すらないタダの
トイレは、今でもお地蔵さんの裏にひっそりと立っています。
しかし、私は決して近づこうとは思いません。今でも、この話の
薄気味悪さが鮮明に感じられるからです。きっと、一生近づく
事はないと思います。
 以上で私の話を終わります。

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