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思い出のじいちゃん

   

694本当にあった怖い名無し sage 2010/07/23(金) 22:00:41 ID:KKgn6yjP0

ついさっきの話です。

 晩御飯を食べながら母親と、今度同じ集落の近所の家が建て替えをするって話をしていました。
私が住む集落はN県の山奥の小さな集落なので、そういった事は伝わるのが早いです。
その家は私が小学生のとき(もう10年以上前)まで、100歳を超える方が住んでいて、市長から表彰されたり
集落の小学生が訪ねて話を聞いたりしていました。当然、私もたまにお邪魔してしておりました。
現在では亡くなり、そこの倅が今度嫁をもらうため建て替える、というのが母の話でした。

母「あんたあそこの家のじいちゃん覚えてる?」
私「覚えてるけどあんまり好きじゃなかったな。何喋ってるかよくわからなかったし。年寄りなら
  村はずれの○○衛門(屋号)のじいちゃんの方が好きだったな、いつ亡くなったんだっけ?」
母「はあ?誰のこといってんの。あそこの家は昔から誰も住んでないよ。」
私「そんなことないだろ。俺小学生の頃よく行って話したり菓子貰ってたよ。」

 私の記憶では集落にはもう一人100歳を超えるお爺さんがいました。名前は覚えておりませんが
屋号をとって「○○衛門のじいちゃん」と呼んでいました。その家は集落の一番端、別の集落へ続く
道の脇にあり、学校帰りに寄ってはよく昔話なんかを聞いていました。おじいちゃんは私によくしてくれました。
行くと笑顔で迎えてくれて、お菓子もくれるし、正直自分の家の祖父よりも好きでした。

母「あそこの家はあんたが小学生の頃にはもう誰もいなかったわよ。」
私「いやいたよ、100歳超えてて、顔しわくちゃだけどハッキリ喋るじいちゃんが。いっつも杖ついてて
  でっかい鯉飼ってたじゃん。」
母「なんで知ってるの、確かにそういうおじいちゃんいたけどあんたが生まれる前にはもう亡くなってたわよ。」
私「亡くなったのは知ってるけど俺が小学生の時はまだ絶対生きてたよ。」

695本当にあった怖い名無し sage 2010/07/23(金) 22:01:37 ID:KKgn6yjP0

そこからは生きてた亡くなってたの堂々巡りで噛み合いません。そこへ父が帰ってきました。
父に経緯を話すと、母と同じで私が生まれる前に既に亡くなっていた、との事でした

父「俺あそこのじいさんの葬式出たから間違いない。結婚前だった。」

 父によれば、○○衛門の家はおじいさんを残して家族は皆病気や災害で亡くなり、
一人で住んでいたとの事でした。鯉飼育が趣味で、子供にお菓子をあげたりする優しい人だったそうです。
さすがに100歳近くなるにつれ元気とはいかなくなりましたが、歩けなくなったりということは無く、
最期の時まで生きたそうです。

 言われてみれば、私は友人や親兄弟と一緒に訪ねた覚えもありません。
いつからじいちゃんの家に行くようになったかは覚えておらず、いつから行かなくなったかも
覚えていません。確か高校生位の時にその家の前を通り、廃墟になっているのを見て、
漠然と亡くなったんだと感じたんだと思います。
 死んだ人と話したのか、ただの大きな勘違いなのかはわかりません。
しかし私には確かに○○衛門のじいちゃんと話した記憶があります。集落に伝わる昔話や
ちょっと怖い話、戦争の話、鯉の話、いろんな話を聞きました。声も笑い方も覚えています。
それだけは確かです。

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