洒落怖超まとめ

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扉の隙間

   

464 本当にあった怖い名無し sage New! 2006/12/03(日) 01:04:41 ID:E8FXz0B/0
現役教員です。
この時期は生徒の成績記入で忙しいです。
今月は22日が終業式と、例年に比べて早いのでなおさらです。なので先週あたりから残業が続いてます。
今までのテストの成績をまとめたり日誌を読み返して生活態度の評価判定したり、そんなこんなで帰りは8時くらいになります。
その日も職員会議が重なり「あー、こりゃ遅くなるかな」と覚悟して教室(自分の担当は4年生っす)で作業をしていました。
この頃は日の落ちるのが早く、それを意識してペースを早めに取り組んでいました。

ようやく男子の半分くらいまでいったので一息つけるか、と職員室にお茶をもらいに行きました。
四年生は三年生とともに校舎の2階にあるので1階の職員室に行くのはわけないです。
そこで気が付いたのですが、廊下に出て左を見ると階段があります。ところが階段といっしょに音楽室とかある別棟への通路もあるので、シャッターが下りていました。
仕方なくその奥にある、非常階段から降りて1階に行くか、と思ったわけです。非常階段をかつかつと下りていき、ちょっと不安になったものの1階の扉はすんなり開きました。
後は職員室へ行くだけです。
そこからが、自分自身わけわかんねー状況にハマるわけですが。
467 本当にあった怖い名無し sage New! 2006/12/03(日) 01:14:46 ID:E8FXz0B

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職員室に着くまでに3つの部屋の前を通ります。1つめが宿直の先生や用務員さんの泊まる部屋。
2つ目が生活指導室。と言っても使っている所を見たことはほとんど無いですが。3つ目は職員室の隣の、印刷室。
それらはこんな時間では開いているはずも無く、ただ職員室に明かりがついているのでまだ私のほかにも何人か残っているんだな、とぼんやり思っていました。
ところが、いきなり最初の宿直室の扉が少し開いていました。もちろん明かりはついていません。鍵をかけ忘れたのか? でも今日は宿直ないよな(明日は土曜日)と思い、それでも用務員さんが最後に点検して閉めるから別にいいや、と通り過ぎようとしました。

468 本当にあった怖い名無し sage New! 2006/12/03(日) 01:17:39 ID:E8FXz0B

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それでも気になるこた気になるし、第いち自分は臨時教員なもんでそこを利用した事も無く、ちょいと興味はありました。
ま、電灯ついてないんだし暗くてワカンネよなと、チラッと扉の隙間を見た時でした。
469 本当にあった怖い名無し sage New! 2006/12/03(日) 01:24:46 ID:E8FXz0B/0

すき間に、眼が。
しかも片目ではなく、ひたいって言うか、眼と眼の間、中途半端なエリア。鼻筋もほんのり見えました。
言葉もありません。なんか、ぽかーんとして凝固してました。

ビシャン!!

扉が閉まったんです。でも、私はまだよく分かってなくて、「へ?」な気持ちでした。
すぐに、職員室から2人、先生が飛び出してきました。6年生の先生と、学年主任の先生です。2人ともさっきの音にびっくりしたようで、私を見るとすぐに声をかけてきます。
「あ、○○(私)先生! 何ですいまの!」
「あ、えーと、そこ」と私が指差した宿直室の扉を見て、2人が

471 本当にあった怖い名無し sage New! 2006/12/03(日) 01:38:38 ID:E8FXz0B/0

無表情になったんです。
口がとんがっていたのがすすす、と閉じて、ちょっと間が空いて、私の手にある湯飲みを見て
「お茶ですか? 淹れてきます」と2人して職員室に戻ろうとします。
おいおい、こっちはどうすんの。中に中は誰か今日は何か使ってたでも中電灯ないし今も暗いし…。
見苦しいですが、その時の心境はまさにこんな感じでした。
とりあえずもう1度チラッと見て、職員室に行きました。6年生の先生は自分の机に向かっていますが、帰り支度を始めています。
主任も湯飲みを持ってきて、「それ飲んだら帰ろう。先生電車だよね? 駅まで送るよ」
「はあ。てか、あの、さっきの」
それを手で制し、「後で。な?」とうなずきあう2人。今更ながら気付いたのですが、職員室には他に誰もいませんでした。
仕方なくお茶をすすったのですが、間が持たないんですよ。熱いの苦手だし、差し向かいで私だけが湯のみ持ってズズズってどう考えてもツライ。
半ば無理やりにお茶を流し込むと、待っていたように湯飲みをとって流しに置き、そのまま電灯のスイッチに手が伸びる主任。
「ち、ちょっと待ってくださいよ。まだ閉めてない」
「いいから!」まるで「閉めて」が禁句かと思うほど激しい反応に、何も言えなくなりました。

472 本当にあった怖い名無し sage New! 2006/12/03(日) 01:47:27 ID:E8FXz0B/0

車に乗って駅に向かう時になっても2人とも何も言いません。
なんなんだよ。これやばいだろ。あそこカギ閉めてねぇじゃん。どう…
「よかった。間に合って」とポツリとひと言。
後ろの6年生の先生が「ほんとに」
たまらず私、「なにがですか?」

「帰れなくなるとこだった」

こんなところです。いまだにあの眼が気になります。血走った、とかこの世のものではない、とかでもなく、かと言ってふつうかと聞かれたらどことなくおかしなような。
好評ならまた書きます。後日談(てか土曜日に主任に学校へ呼ばれた orz)があるので。
てか夜の学校でドアビシャンと閉めるなよ。すげえ音したんだから。まったく。
では

490 教員 sage New! 2006/12/03(日) 02:27:26 ID:E8FXz0B/0487改め教員です。がんばります。

次の日、朝早くに電話があって、学校来れる? と。10時から地元サッカークラブの試合があるから手伝いに来てとのことですが、絶対それ口実だよな、と思いました。
で、学校についてみれば昨日の2人。ああー、と予想してても嫌なもんです。
案の定校庭には出ず職員室へまっしぐら。すると教頭先生が。
「ああ、○○先生、すみませんね」
「いや、いいんですけど」 ?な私。
「おーい、ちょっとこっち」と主任が誰かを呼ぶ。出てきたのは男の子。3年生くらいと思うのですが、見かけない顔です。
あ、と。ピンときました。
「主任、この子昨日の」
「そうなんです」

なんだ、幽霊じゃなかったのか。
でも…。

491 教員 sage New! 2006/12/03(日) 02:33:05 ID:E8FXz0B/0「うあー、おーー、だーっ!」
飛び出る奇声。

心臓止まるかと思うくらい大きな声で私を指差します。
おいおい、なんだよこれ。
「この子はね、特殊学級の子なんですよ」
「そう。今4年生かな。うまくしゃべれないって言うかね、まあこういう子なんだ」
「それで、昨日はね、宿直室にいたってわけ」
「親御さんがね、夜の仕事だって言うから預かってて」
聞きもしないのにべらべらと話す人たち。
それを見上げてアーアーと言う子供。
なんだか、すごく気分が悪くなってきたんです。

でも、それはおかしい。
子供を預かっているのならなぜ何も言わない?
なぜ電灯を消す?
なぜ、昨日はほったらかしにした?

492 教員 sage New! 2006/12/03(日) 02:40:09 ID:E8FXz0B/0

「まあ、そういうわけだから、理解してやってくれな」
できるか。
とは言え相手が教頭先生では「ははあ、仰せのままに」と引き下がるしかないです。
男の子はどこかへ行ってしまい(多分サッカーの応援に行った)、じゃあ我々もと主任と6年の先生とで職員室に戻りました。

「先生、コレはどう考えてもまずいですよ。他の先生は知っているんですか?」
「うん…一部は知らない先生もいるけど。それよりさ」
声をひそめる主任。
6年生の先生は校庭へ。
またしても2人だけ。
にぎやかな校庭。
「昨日、ほっておいたのはね、あの子のためでもあるんだ」
はあ? 何だそれ。
「ご両親は夜の仕事ってのは本当。それから、電灯つけないのはあの子が落ち着くから。明るいと騒ぐんだ」
「でも、だからって。学校監督上問題あるでしょう」
「帰れなくなるんだ」
「へ?」

493 教員 sage New! 2006/12/03(日) 02:52:12 ID:E8FXz0B/0「夜はずっとあそこにいるんだ。日付が変わる頃、親御さんから電話が入る。用務員さんが門を開けて、送り出す」
「でもね、その間ずっと1人なわけだよ。寂しいかどうかまでは分からんけど、誰かが来たらかまってかまってとうるさくなる」
「結果的にその人にくっつきぱなしで、家に戻ろうとしなくなる」
「だから帰れなくなる、と言ったんだ。まあ君は勘違いしていたみたいだが」

何もいえません。絶対おかしい。聞いてはいそうですか、と納得いくもんじゃない。
でも、それ以上の説明はナシだ、とかたくなな態度をとられました。

あの子は、
ずっと以前から、
そしてこれからも、
真夜中の学校で、
じっと、あの部屋にこもっているのでしょうか?
あの、意思のない、黒いマルだけの瞳。
誰もいない暗闇の中で、なにを思うのでしょうか?
暗闇の中で、なにを見るのか?

何より嫌なのは、そういう事情を聞いて、遊び相手になってやろうかという気持ちが私の中にわいてこないんです。
まだ、隠している事がある気がする。教育委員会や行政など、その手の機関に相談するということも考えました。
だけど、つい先ほどの事なので、まだまとめる時間がほしいというのも事実です。

そしてまた、月曜日が来る。

ご清聴ありがとうございました。

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