洒落怖超まとめ

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手招き

   

417 本当にあった怖い名無し 2005/05/15(日) 14:38:24 ID:UjUCOtgK0
この話は、私が小学生の頃。そうだな3年か4年生の頃のお話。起こったこと事態は大して怖くないんだけど、
まあ、聞いてください。

私が居間で一人、本を読んでいた。正午を少し過ぎたくらいの、暑い、暑い夏の日だった。
今はその家は取り壊して影も形もないんだけど、築130年くらい経っていた
古い家(錆付いた槍とか、すぐ隣に土蔵もあった)。玄関を開けると細い通路があって、
そこを通るともう一つの障子が張ってある、直接居間に繋がる玄関(というか入り口)がある。
本を読んでいた私は、何気なくその障子の方を見た。

そうしたら、見てしまった。

障子の下の方から突き出ている人の手の影を。その手は、手招きするかのごとくゆっくりと動いた後
スッと下のほうに消えていった。障子の下は人が入れる隙間は存在しない。
その時どんな感情を抱いたのかはもう覚えていない。覚えているのが障子を開けるか否か、この葛藤だけ。
もちろん好奇心も強かった。誰かの悪戯か、それとも・・・?
その一方で恐怖心もあった。ほら、よくあるでしょ?ドアを開けたら目の前に・・・!
ってやつが。それが怖かった。もし、開けて「見ちゃったら」どうしようか。私は死ぬんじゃないか。

で、結局開けなかった。恐怖心のほうが強かったんだね。数分だか数十分たった後、意を決して開けたんだけど
何も無かった(当たり前か)。

実際その体験をしている最中は恐ろしかったんだけど、終わった後湧き上がってくる恐怖心とかは一切無かった。
なんていうか、幻想を見ていたような気分。不思議で不思議でしょうがなかった。余りにも非現実的で且つ
余りにも現実的だったから。

何故、こんな風に感じたのか?それはやはり上記した通り古い家で、蝉の声も煩い。そして茹だるような夏の日。
そんな要素の一つ一つが重なったからこそ、幻想のように取れたんだと思う。もしこれが夏でもなく、古い家でもなく、
蝉も煩くなかったら、只単に怖がった後時が経てば忘れるようなことだったと思う。
でも、それは今でも私の記憶にとどまり続けている。あの家と夏の暑さと共に。

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