森の中の家
76 38 sage New! 2005/08/05(金) 23:56:26 ID:a2IxKp+1O
反応が薄くて悔しかったので、私が体験した中でも洒落にならなかったお話でも...。
これも高校生の時体験したお話。
私は前回怖い体験をしたにも関わらず、またTを心霊スポットに連れていくことにしました。
今回は一緒に帰ると騙して連れていったのですが、少し日が落ちたそこに"ソレ"はありました。
森と言ってもいいくらいに覆い茂った木や草。その周りには進入禁止の看板とフェンス。奥のほうに焼け爛れた家があります。
この場所は、私が小学生の時によく傍を通り、後に噂を聞いた場所です。
噂の内容は『昔その家で火事があり、逃げ遅れた子供が中で死んだ。その時何かの拍子で千切れた指を探して徘徊している』というもの。通学路だったこともあり、子供ながらに震えたものです。
高校生になって再び訪れて、あの頃とは異質の恐怖が私を蝕みました。
しかし、ここまで来て引き返すのはつまらなかったので、Tを引き連れてフェンスを越えて入っていきました。
森の中はかなり暗く、昼間でも怖いと感じるほど。恐る恐る進んでいくと、すぐに家まで辿り着きました。
そこは外から見るよりも更に無残な光景でした。家はそこら中が焼けて炭になっており、窓はほとんどない状態でした。
扉はもう付いていないに等しかったので、すんなり入ることができました。
77 38 sage New! 2005/08/05(金) 23:57:56 ID:a2IxKp+1O
一歩踏み込むなりTが「…引き返さないか？」
これはTなりの警告だったらしいのですが、私はそれに気付かず奥へと歩いてしまっていたんです。
その時はなぜかまったく恐怖もなく、部屋という部屋を覗き込んでいました。
と言っても、ほとんどの壁は焼け落ち、部屋が繋がっているようでしたが。
私はふと思い出したようにTのほうに振り向くと、Tはびっくりしたような、恐怖したような顔で私を見ていました。
実際には『私の後ろ』を見ていたらしく、何事かと振り向いた先には、さっき見た時にはなかったはずの染みがありました。
赤黒い何かが、べっとりと。私がその染みを認識すると、キーッという黒板を爪で引っ掻いたような音が聞こえてきました。
「これ以上いると危険だ！」Tがそう叫んで先に出口へ。私も数秒遅れて全速力で森の外まで走りました。
息を整えて家を振り返ると、２階の窓の部分がぼんやりと赤く染まっていました。
今はもう木は切り倒され、家は壊されて住宅街になっています。あそこに住んでいる方々は大丈夫なのでしょうか…