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死神

   

742死神 sage New! 2007/08/19(日) 01:44:17 ID:RlZMVhLr0

目の前で、人が死ぬ所を見た事ある?

会社に中途採用で入ってきたN君。うちの会社って忙しい時には
それこそ毎晩深夜まで残業が続き、最終電車なんてざらだし、
下手すりゃ泊り込みなんて事も有る。
そんな中で二晩泊り込んでやっとこさ仕事も一息ついて、N君と二人で
帰宅の途中の事だった。
その日は9時くらいに会社を出られたのだが、こういう徹夜を連続した事
の有る人なら分るかもしれないけど、それまでの眠気がウソの様に
スッキリとする瞬間が有る。その時も二人ともそんな状態だった。
「Tさん。ちょこっと一杯引っ掛けて帰りますか?」とN君が誘ってきたので
駅へ向かう道を外れて国道を渡る歩道橋へ向かった。
「おれ、前の会社の時に目の前で人が死ぬのを見た事あるんですよ」とN君が言った。

それはN君と同僚が、やはり徹夜続きで仕事を仕上げて帰る時の事だった。
よく私鉄の郊外とかにある線路が半分地下にある様な駅で、二人は
線路を越える道路を渡って向かい側の駅へ向かって歩いていた。
『いやいや、疲れたね~』『全く冗談じゃないぜ。うちの会社は奴隷会社かよ』
などと軽口を叩きながら、やはり駅前の赤提灯で一杯どう?などと話していた矢先
に、なんの前触れも無くその同僚は
『それじゃ、さようなら』と言ったかと思うと、後ろ向きに線路へと堕ちていった
そうなのだ。目の前で起こった事がしばらく把握出来ないほどあっという間の
出来事だったらしい。

確かに気味の悪い話である。今まで冗談言いながら飲み屋へ行こうと連れ立って
歩いてる奴が次の瞬間、あっという間に目の前で死へのダイビングをするんだからね。

居酒屋でビールの乾杯をしながら、N君が言った。
「いや、怒らないで下さいよ。さっき何となく思ったんですよ。この人、歩道橋から
飛び降りたりしないだろうなって」
「状況があまりに似てて、フッと思っちゃったんです」だって。
バカ野朗。お前は死神かよ?気持ちの悪い話すんじゃねぇよ、ほんとに。

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