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火葬

   

455 名前:淫槍ぐんぐにる 投稿日:03/12/13 15:58
火葬

金属製の扉を閉め 脇にある 緑色の大きなボタン式のスイッチを押すと
強烈なバーナー音、ダクトの排気音が 狭い この部屋に響き渡る。
傍らには 喪服の女性がすすり泣いている
いま 荼毘(だび)にふす この男性の奥さんだろう
男性は突然の心臓麻痺で亡くなったらしい
火葬が終わるまでの間 親族の方に 待合室へ 葬儀業者の女性が誘導している
親類の紹介でこの仕事についてから 幾度となくこのような光景をみている
慣れとは恐ろしいもので今では ただの作業として職務をこなしているだけだ
火葬終了のブザーが鳴ると 親族を部屋に呼び込み遺骨を拾ってもらう準備をする
金属製の扉を開け 寝台を引き出した
「あっ」 室内の居た 誰もが 同じ声をあげた
火葬したはずの遺骨がそこにないのだ
バーナーで熱くなった 炉内がさめるのを待って
炉内をしらべたが やはり遺体も遺骨もなかった
炉は全部で3基あって ひとつの大きな煙突につながっている
もしやと思い煙突も調べてみることにした
暗い煙突内にライトを照らすと
そこに清掃用に取り付けたある手すりに
男性がよじ登ろうとしていた
「だいじょうぶですか?」
声をかけたが返事がない
しかたなく男性のそばまで よってみた
さきほどは感じなかったすえたニオイが鼻を襲った
「だっだいじょうぶですか」
再度 声をかけてみた
 だが 返事が返る訳がない
そこにあるのは 人間の燻製なのだから

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