洒落怖超まとめ

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犬が見たもの

   

622 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:03/06/08 05:57
私が5歳くらいの頃の話を。
母の友達が家を新築したので、遊びに行った(車で、ちょっと遠かったのを覚えている)。
そこの家には大きな犬がいて(今にして思えば中型犬くらいなんだけど)、子供心に凄く怖かった。
しかし、犬は人懐っこくて怯える初見の私にもフレンドリーだった。
ちょっと慣れてきたせいもあり、母親達が家の中で話し込んでいる間、私は庭で犬に遊んでもらっていた。
小一時間もたった頃だろうか、何故か急に犬が吠え出した。低く唸ったりもして、とにかく怖い。
私に向かって吠えてるのだと思いこみ、怯えつつコンクリの塀みたいなとこに登って逃れた。
犬は吠えつづけるんだけど、「あれ」と思った。犬は、私を見ていない。
不安定な塀の上で「あれー?」と、子供心に違和感を覚えた。途端になんだか腕を引かれるような感覚。
バランスを崩して塀から外側に落ちそうになった瞬間、庭側から母にぐいと腕を引かれて抱きとめられた。
犬はまだ私の立っていたあたりに向かって吠えていたが、飼い主である母の友達に宥められた。
でも、犬はしばらく視線を外そうとしなかった(遊んでくれてた時と目つきが違うのも覚えている)。
私は犬を怖がって塀に登っては危ない、と二人に怖い顔で説教された。
洒落にならないのは、塀の外側が崖だったということ。そして、犬は何を見ていたんだろうか。

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