洒落怖超まとめ

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親友の命日

   

一昨年の暮れに親友が亡くなりました。
私は彼女の命日と誕生日にはお墓参りをしていましたが、今年は彼女の誕生日に予定は入ってしまい、

どちらを優先させようか迷っていました。

親友だった人なので今でも忘れがたくはあるのですが、自分の生活からだんだんと彼女を思うことが少なくなり、その存在が薄くなっていくのは仕方のないことでした。

悩んだ末に今年は他の約束を優先させることに決めたある日のこと、仕事帰りの電車の車両でふと視線を感じ振り返ると私の方をジッと見つめる人がいました。
始めはなぜそんなに私を凝視するのか分からず怪訝に思っていたのですが、よくよく見ると驚いたことになくなった親友にそっくりな顔立ちをしていたのです。

朗らかだった彼女からは思いがけないほど無表情で、しかしとらえようによっては恨めしそうな印象も受けました。
一瞬で全身に鳥肌が立ち、足の力が抜けて崩れ落ちそうになりましたが、何とか持ちこたえることができました。
その時ちょうど電車が駅に着き、私は慌てて電車を下りたのです。

振り返ることもせずに改札へと急ぎましたが、背後にはその人が私を見つづけていることを肌で感じることが出来ました。

数日後予定をキャンセルした私は彼女のお墓参りへ行き、祈りました。
もしもあの世というものがあるのなら、もしも寂しさに耐えかねて姿を現したのなら、彼女が現世の私に執着せずに楽しく過ごせるようにと。

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