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電話

   

799本当にあった怖い名無し 2010/04/26(月) 23:40:20 ID:dy+yF4u40
 とある小売店のレジに並んでいたときのこと。

 俺の前に60歳台後半くらいの挙動不審の老婆がいた。
 地味で汚らしい服装をしており、猫背で、商品(毛染めだったと思う)を大事そうにもって、なにやらぶつぶつ言っていた。
 俺は昔からよく痴呆症の老人や精神的に病んでいる人にしつこく絡まれることが多いので、「また、絡まれたら嫌だなぁ。」と考えていた。
 レジが流れ、その老婆の番になり、レジの女の子がその老婆が持っていた商品をスキャンした。

 そして、レジの女の子が「○○○円になります。」と老婆に告げると、

   「電話したのにぃ~」

老婆は悔しそうに言い出した。

 レジの女の子が困った顔で「・・・電話ですか?」と一応聞いていたが、やはり、話は進展せず、老婆はまた「だから、電話したのにぃ~」とレジに手をつきうなだれていた。
 レジの女の子は誰か助けて~って感じで周りをキョロキョロしだすと、
 老婆のボルテージもだんだん上がっていき、下を向いて頭を振りながら「でぇんわぁあ~したぁのにぃいぃ~」と、泣きじゃくりだした。
 俺もそろそろヤバイと危機感を覚えそのレジの列から脱出しようと思ったが、俺の後ろに5,6人並んでしまっていて、この人らを掻き分けなければ脱出できない状態にあった。
 でも、脱出しなければ、この老婆に「電話したのにぃ~」と泣きつかれる!と思ったそのとき、
 下を向いていた老婆がゆっくりと頭を上げながら、俺のほうに目を向けた。
 俺は「やっぱり、絡まれる運命なのか…」と覚悟した。
 俺と目が合った瞬間、鼻水を垂れ流し恨めしそうな顔をしていた老婆が、ハッと正気を取り戻した顔になり一言。

   「電話した?」

 老婆の意外な質問に俺は一瞬固まってしまったが、すぐに横に首を振り、
   「いや、電話してない。」

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