ホーム > 洒落怖 > Part 1-100 > Part 21-30 > Part 27 > 電車 2016/04/18 654 名前:電車1 投稿日:03/02/16 17:47 ガタン! 「ッ!?」 俺は激しい衝撃を体に感じた…目の前には電車の床があった。 「そうか…眠っていたんだな」 そう呟いて俺は体勢を立て直した。 それにしてもこの電車は静かだ…。誰一人として喋らない。 それどころか、瞬きもしないし、ほんのちょっとだって動きやしない。 目は空を一点に見つめていて、口はあんぐりあけている。 …気味が悪いな。そう思った時だった。 「っ……あれぇーー?」 変な事に気付いた。乗客のおでこと、口と、胸に、お札の様なものがはってある。 おでこは赤、口は青、胸は黄色だ。 しかもそれは乗客全員はられていて、はられて無いのは俺だけだった。 657 名前:電車2 投稿日:03/02/16 18:31 「なんだよ…これ…」 俺は鈍感だが、そんな俺でもさすがに恐ろしくなった。 これじゃあ、まるでマンガに出て来る様な「死人の乗ってる電車」じゃあないか。 何とかして脱出せねばならぬと考え始めた時、 プシューッ! 車両のドアが開いた。そして車掌が立っていた。 「……!!」ゾォッとした。恐ろしい雰囲気が伝わって来る。 車掌はこの車両を見回し、そして俺の方を向いた。 「……まだはられてなかったのですね…」 低い声で呟いた。そして、車掌の制服のポケットから、例の三色のお札を出した。 (なんだあれ…!やばい、絶対やばい。アレをはられたら、死ぬにちがいない!) そう思った俺は、電車から脱出するために走り出した。 車掌はそんな俺を、恐ろしい顔でにらんだ。 659 名前:電車3 投稿日:03/02/16 18:42 (っこ…こっちを見るな!) 心の中で叫び、後ろの方にある隣の車両に繋がる扉を、強引に開けた。 やはり隣の車両も、同じ様に皆お札を貼られ、無表情だった。 後ろからゆっくりと車掌が追い掛けて来る。 俺はまた走り出した。 「っは…はぁ…っく…!この電車は何両あるんだっ!!」 そう叫んだ俺の目の前に、またもや扉が。 後ろをちら、と振返った。追い掛けて来る車掌は、バイオハザードのゾンビ みたいにわらわらと増えている。 「く…そっ!」扉を開けた。 ゴオォォォォ…………! 突然突風が吹いた。車両はさっきので終わりだったのだ! 電車は俺から見て後ろに進んでいる。ここから飛び下りて引かれる心配はない。 660 名前:電車4 投稿日:03/02/16 18:49 しかし物凄い早さだ。引かれなくても、骨折とかをするかもしれない。 「どっ…どうしよう……」後ろを向いた。 恐ろしい顔で追い掛けて来る車掌達がいた。俺は、意を決した。 「あんなヤツらに殺されるくらいなら、骨折がなんだ!」 バッ!「うわああああ!」ガタンガタンガタン……… 電車は通り過ぎて行った。車掌は追い掛けてこない。 俺は…助かった! しかしやはり、腕の骨が折れているようだ。激痛が走る。おまけに足から血が…。 俺はよろよろと立ち上がり、あの電車から逃れるかの様に歩き出した。 血が出る足をひきずり、腕をおさえ、よたよたと歩く。 「はぁ…はぁ…痛いな………俺…どうなるのかな……」 頭がぼんやりしてきた…死ぬのかな…。 そう思った時…! 662 名前:電車5 投稿日:03/02/16 19:01 「出口……?」 まぶしい光が目の前に現れた。俺は思わず目を覆う。 きっとこれで助かるんだ…。俺は、希望と安堵に満ちた顔で光に近付く。 「これで……きっと………」パアァァ……。 「そう思うのは早いぞ」「!?」車掌かッ!?俺は光のまぶしさに瞑った目を開けた。 眼中に入って来たのは、見るにもおぞましい光景だった。 串刺しにされた人…燃やされる人…ぐちゃぐちゃになった人…拷問を受ける人………。 「な、なんだ……ここは!?」 どこからともなく、低い地に轟く様な声が聞こえた。 「ここは地獄だ。男。お前は天国へ行く電車に乗っていたのに、神にあがらい 電車からおりた。よって罰として地獄に落ちたのだ!」 それを聞いて愕然とした。そして思い出した。 俺は事故にあって死んだ…。あの時の激しい衝撃は、事故の衝撃だったんだ! 「なに…?そんな…あれ……うそだ……うそだ……うわああああああああ!!」 俺の声は、地獄のかまどの業火にかき消されたのだった。 B! LINEへ送る - Part 27, 洒落怖 電車・駅