一人の坊主がいました。
その坊主は、坊主の癖に
「これは終末だ。世界は滅びる。悪魔が攻めてきた」
「悪魔に殺されると、穢されて極楽浄土に行けないから、自決しよう」
などと説教しだして、避難民数人が坊主に引き寄せられる様に付いて行こうとしたので
居合わせた自警団の人達が坊主を捕まえて、縛って転がしておきました。
それでもトンデモ説法を止めようとしない坊主に、
「悪魔」はキリスト教系
「穢れ」神道系
「極楽浄土」仏教系
あんたは一体何者なの?とからかわれると、口に泡を貯めながら
「私は間違っていない。ハルマゲドンだっ!」などと叫びだし、
あまりに鬱陶しいので、猿轡して、ビニールロープで厳重拘束し直してから
警察を呼んでくるまで、遺体の収容されている体育倉庫に放り込まれていました。
2人の警官がやってきて、猿轡のはずされた坊主は、
暴力を振るわれ、遺体と一緒に監禁されたと喚き出す始末。
自警団の人々が、その坊主を、静かになるまで『ボカッボカッ』と優しく拳で説得し、
目の前の警官に引き渡すと、その警官たちは真面目な顔で
「ご協力に、感謝します」
と言って、坊主を連れて行きました。
坊主よりも、自警団よりも、
目の前の暴力行為を、暖かい目で見守っていた警官が、一番怖かった。