洒落怖超まとめ

厳選じゃない、完全網羅のまとめサイトを目指しています

   

215 カルデラ ◆.UJJPla5/I 2006/06/11(日) 22:11:31 ID:JtTA6fQc0

誰にでも”影”はあると思います。もちろん生きていれば、
ですが。もちろん、あいつは”影”が薄い・・・とかの
”影”ではなく、常に自分と一緒について来る”影”です。

これから話す話しは、記憶がまだ新しい、数年前の
出来事です。僕が中学2年の時でした。
僕が通っていた中学校は、宮崎にあるH中学校で、
各学年3クラス程度の、生徒数も少ない学校でした。
そのためか友達も沢山出来て、学校終わりには
友達と毎日遊んでいました。
特に親しい友達に、A君とB君がいました。
A君とB君は、小学校からの付き合いなので、
何をするにも一緒で、そのせいか趣味や行動も
似ていました。

217 カルデラ ◆.UJJPla5/I 2006/06/11(日) 22:12:57 ID:JtTA6fQc0

当時、僕たちの間でエアガンが流行っていました。
学校ではエアガンを持つことを禁止されていましたが、
エアガンのカタログを持ってきては、これはカッコイイだとか、
これが欲しいだとか、もっぱらエアガンの話で盛り上がって
いました。
ある日A君がエアガンを買ったといい、A君の家に
エアガンを見に行くことになりました。
それほど大きくないハンドガンでしたが、すごくリアルで
一気に心を奪われました。
次いで影響されたB君もエアガンを買い、
僕もエアガンを買いました。
それからは、エアガンを持ち行って、毎日のように
的当てだとか、クモ打ちだとかして遊んでいました。

218 カルデラ ◆.UJJPla5/I 2006/06/11(日) 22:13:58 ID:JtTA6fQc0

それから夏休みが近くなった頃、自然と怖い話を
耳にする機会が増えてきました。学校の先生の
話す怖い話も怖かったのですが、クラスに霊感の強い奴が
一人いて、そいつもよく怖い話をしていました。
そいつの話す怖い話っていうのは、簡単に話すと・・・

219 カルデラ ◆.UJJPla5/I 2006/06/11(日) 22:15:26 ID:JtTA6fQc0

学校の近くに潰れた施設(実際にあります)があって、
友達と、友達の兄貴の3人で夜中その施設に入って、
肝試しをすることになったらしい。その施設は結構有名で、
心霊スポットになっている。施設のトイレにある鏡の前で
4秒間、目を閉じて、目を開けた時、鏡に女性の顔が
写れば良いことがあり、逆に男性の顔が写った時は
一生呪われるという噂があった。それを試すために
3人は行ったらしい。まず一人がトイレに入り、後の二人は
トイレの外で待つことになったが、最初に入った一人、
その次に入った一人、二人とも自分の顔以外何も
写らなかった。ところが、最後に友達の兄貴が
入って、二人が外で待っていると、急にトイレで
「ギャッ」と悲鳴がして、慌てて外の二人が駆け寄ると
兄貴の右足から血が流れていたという。
たいした出血ではなかったものの、3人は施設を
逃げ出した。結局なんで足から血が出た
のか分からない。という話だったと思う。

221 カルデラ ◆.UJJPla5/I 2006/06/11(日) 22:18:30 ID:JtTA6fQc0

その話を聞いた僕達は、興味本位で、その施設に行くことになった。
ただ僕達は、噂を試すのではなく、
お化け退治感覚で行くことになった。
実施日は土曜日の夜12時。それぞれ、親が寝た
頃に家を出ることになった。
持ってくる物は、エアガン、懐中電灯。
そして土曜日の夜12時。
A君もB君も集合場所に集まっていた。
A君「エアガン持ってきた?」
それぞれエアガンを持ってくる約束だったので、
忘れずにエアガンを持ってきた。
A君は、エアガンの他に塩を持ってきていた。
僕が何で塩を持ってきたのか聞くと
A君「呪われた時には、塩が効くっちゃが」
と自信満々に答えた。
僕もB君もふーんと、知識のあるA君がいることに
安心していた。
集合場所から施設までは近かったので、歩いて行くことに
なった。普段歩き慣れた道も、懐中電灯の光だけでは
別の道に見えた。

224 カルデラ ◆.UJJPla5/I 2006/06/11(日) 22:20:32 ID:JtTA6fQc0

施設の入り口に着くと、さすがに不気味さがさらに
伝わってきた。門は閉められていたものの、簡単に
乗り越えられる。扉は壊れて開いていたので、
そのまま入ることができた。
B君が「なんかやばくねぇ?」と、少し怖気づいていたが、
僕もA君も「大丈夫やがぁ」と言いながらも、B君の
背中を押しながら前に進んでいった。
施設は2階建てになっていて、とりあえず僕達は1階を探検
することになった。懐中電灯の光以外は、月明かりさえも
照らされず、視界はかなり狭かった。僕もA君も、B君の
肩に掴まり、身を寄せ合っていた。
たまにB君が「うわっ、何か踏んだっ!」と叫ぶと
僕もA君も「ちょ、おま、マジ脅かすなって」と言いながら
震えていた。
ある程度時間が経つと、少し暗さにも慣れ、
ふざけて、「何か後ろにいねぇ?」とか「お前、背中に
何かついちょるじ」とか言いながら、お互いを脅かしては
笑っていた。

226 カルデラ ◆.UJJPla5/I 2006/06/11(日) 22:23:22 ID:JtTA6fQc0

1階をとりあえず探検した後は、2階に行くことになった。
2階、例のトイレがある場所だった。
「お前先行けよ」と先の見えない階段を前に
譲りあいながらも、3人横一列になって進むことになった。
「やべぇよ、ぜってぇ何か出るて」とB君が急に怖がり出す。
確かに1階とは明らかに雰囲気が違い、壁も床もボロボロ
だった。
A君が「なぁ、今何か音せんかった?」
と急に呟いた。
「おい、マジそういうのやめろて」と僕もB君も怖さのあまり
神経質になり、少しキレ気味で言った。
それでもA君は
「いやマジだって」と反論する。それからしばらく
3人で口論になったが、次はB君が口を開いて、
「ちょいまて、ちょいまて!」と何か焦って話を止めた。
僕もA君も何事だと思ってB君を見た。
B君が「俺も聞こえた」と言った。
A君が「やろ?聞こえたやろ?」と疑いが晴れたように
目を丸くしていた。
B君「うん・・・何かカツカツって音じゃねぇ?」
A君「そうそう!何かたまぁにだけど聞こえるよな」
二人は意気投合したようだった。

228 カルデラ ◆.UJJPla5/I 2006/06/11(日) 22:25:15 ID:JtTA6fQc0

僕には全く何の音も聞こえなかったので、きっと二人が
またふざけてるんだと思っていた。ところが二人とも
なぜか焦りだして、ほぼ同時に「こっち来てねぇ?」
と口を合わせた。どうやら足音が聞こえているらしい。
とりあえず身を隠すために、僕達は近くに倒れていた
大きい机の裏に隠れた。
「やべぇやべぇ」と言いながらA君が塩を周りに撒いて、
僕達にも塩をかけた。さらに緊張が走って、
それぞれエアガンを握り締めた。いざという時は、
そのエアガンで戦うつもりだった。
「聞こえる?」とB君が聞いてきた。
「いや・・・お前は?」とA君が返した。
相変わらず僕には全く聞こえなかったので、首を振った。
「どうする・・・行く?」とB君が言った。
何も言わなかったけど、僕もA君も頷いた。
正直怖かった。机の影から身を出したとたん、霊がいるんじゃ
ないかと、いろんな妄想が頭に沸いてきた。
せーので身を出すことになり、エアガンを構えて、いっきに
飛び出した。懐中電灯を照らす。何もない。

229 カルデラ ◆.UJJPla5/I sage 2006/06/11(日) 22:26:51 ID:JtTA6fQc0

3人とも息が上がってハァハァ言っていた。
その時、A君が叫んだ
「おい!あそこ、トイレのほう!」
3人が一斉にトイレのほうに懐中電灯を向けた。
一気に明るくなるトイレ。一瞬だったが、影のような
黒いものが消えるのが見えた。
「いたよな?何か・・・」B君が口を開く。もちろん
僕にも見えていたので頷いた。
だがあまりにも影がはっきり見えたので
逆に恐怖はなかった。きっと僕達以外に、肝試しに来た
やつらがいるんだと、3人とも思っていた。
「おい!行こうぜ」とB君がエアガンを構えて走った。
もうその時は、霊的なモノを追う、というよりも、侵入者を
追いかけるような、映画のヒーロー気取りだった。
トイレの入り口の前まで来ると、SWATが突入するように
エアガンを構えて壁にもたれた。
B君が目で合図を送る。僕もA君も何も言わずに頷き、
一斉にトイレに懐中電灯を向けた。


232 カルデラ ◆.UJJPla5/I sage 2006/06/11(日) 22:28:24 ID:JtTA6fQc0

ところが何もいなかった。
「おい!誰かいるっちゃろ?出てこいて!」と
B君が叫んだ。何も反応が無かった。
トイレは男女共同で使えるような作りになっており、
男性がおしっこする用の便器が2つ並び、
男女で使える和式の便器が1つあった。
隠れるとしたら、その扉付きの和式の便器がある
場所だけ。ところが、扉は開いており、中にはもちろん
何もなかった。
「おい、見たやろ?」とA君が確認する。
もちろん見えた。他に隠れそうな場所を探すが、
あるわけない。一気にまた恐怖が襲ってきた。

235 カルデラ ◆.UJJPla5/I sage 2006/06/11(日) 22:30:28 ID:JtTA6fQc0

「これだよな?鏡って」
ふいにB君が鏡を照らしながら言った。
「4秒目閉じるやつだろ・・・」と、A君が周りを警戒しながら
言った。
「誰かやろうぜ?」とB君が言い出した。
僕もA君も例の”影”が怖くて、それどころじゃなかった。
「お前がやれよ。ここで見とくから」とA君が言った。
「お前らぜってぇ、ここにいろよ」とB君が念を押した。
「いかねぇいかねぇ。何かあったら助けるよ」と
A君がエアガンを構えていた。顔はにやけていたと思う。
そしてB君が目を閉じて、口に出しながら数を数えだした。
「1・・・2・・・」
後ろで見ていた僕に、A君が肩を押してきた。
口には出さなかったが、明らかにB君を置いて逃げようぜ
というような顔だった。僕は首を振っていたが、A君の押しに
負け、トイレから抜け出した。B君がいるトイレを後に、
一気に階段まで走る。逃げる足音に気付いたB君が
「おい!マジお前らやめろって!!待てって!」
とかなり焦った声で追いかけてきた。

236 カルデラ ◆.UJJPla5/I sage 2006/06/11(日) 22:32:31 ID:JtTA6fQc0

既に階段で待っていた僕達は、向こうから走ってくるB君
を懐中電灯で照らしながら待っていた。その時、
「!?」僕とA君が何かに気付いて叫んだ。
「おい!逃げろ!早くしろ!早く!」思い思いに
叫び、B君が来ると同時に階段を下りて、
施設を抜け出した。それから走って近くの公園まで走った。
3人でぜぇぜぇ言いながら、ベンチに座った。
「はぁ、はぁ・・・マジお前らありえんて」
B君が息を切らしながら言った。
「わりぃ、まじスマン・・・」とA君が素直に謝った。
「で・・・何かあったの?」
何も知らないB君があらためて聞いてきた。
落ち着いてきたころ、A君が話し始めた。

238 カルデラ ◆.UJJPla5/I sage 2006/06/11(日) 22:33:48 ID:JtTA6fQc0

「お前がさ、トイレから走ってきたやろ?そんときさ、
俺ら懐中電灯でお前照らしてたじゃん」
B君がうん。と頷く。さらにA君が続ける。
「そんときお前のでかい影映ってたんだけど・・・なぁ?」
と、急にA君が僕に目を向けた。僕は何も言わずに頷いた。
「お前の影の他にな、手がいっぱい写ってたんよ」
「はぁ!?」とB君が驚いていた。
「そのいっぱい写った手の影・・・何かお前を引っ張ろうと
してるように見えた」
「はぁ?ウソやろ!?だって誰もいなかったやろ、
何かあったらマジお前ら恨むからな」
とB君が睨んだ。

244 カルデラ ◆.UJJPla5/I sage 2006/06/11(日) 22:36:11 ID:JtTA6fQc0

そしてその日は、A君から塩をそれぞれもらい、帰宅すること
になった。もちろん一人で帰るだけでも怖かった。
部屋でも明かりを消すことができず、ずっと塩とエアガンを
持って、ベッドの上に座っていた。
翌日、日曜日は何事もなかったように家で過ごした。
そして月曜日。いつもどおり学校へ行った。僕はいつも
遅刻ぎりぎりで行くので、教室に入ったときには、
先に来ている生徒でギャーギャー騒がしい。
その日はいつもと違い、一つのかたまりのような
グループができていた。何事かとそのグループに入ると、
「お、来た来た」とA君が僕を招いた。
「今さ、土曜日のこと話してたっちゃけど、お前も見たやろ?」
A君が、忘れようとしていたあの出来事を思い出させた。
どうやら”影の手”のことを話していたらしい。

245 カルデラ ◆.UJJPla5/I sage 2006/06/11(日) 22:37:25 ID:JtTA6fQc0

僕も参加して話していたら、霊感の強い、例の奴が口を
開いた。
「お前ら、4秒数えた?」
それにA君が答えた。
「いや、数えたのはBだよ・・・なぁ?」
僕を見てきた。うんと頷く。
「あの噂には続きがあるっちゃけどね・・・」
例の奴が続けた。あの噂とは先に述べた、
鏡の前で4秒間、目を閉じて、目を開いたとき
鏡に女性が写れば、良いことがあって、
男性が写れば、一生呪われる。というやつだ。
どうやらその噂には続きがあったらしい。例の奴が
さらに続けた。
「4秒数えて目を開けて、女性ならいいんだけど・・・
男性だったらやばい。だけど、もっとやばいのがある。
それは、4秒数え終わるまえに目を開けたときだ」
僕とA君はぞっとした。もしかしたらあの時、B君は
数え終わる前に目を開けたかもしれない。
B君は珍しく学校にはまだ来ていなかったので、
定かではなかったが、4秒数える前に目を開けたら
どうなるかA君が聞いた。それに答える。

246 カルデラ ◆.UJJPla5/I sage 2006/06/11(日) 22:38:38 ID:JtTA6fQc0

「うん・・・。4秒数える前に目を開けたら、鏡の中に
引っ張られる。あの鏡割れてたろ?だから、体も
バラバラになって引き込まれるらしい」
その時、教室のドアがガラっと開き、一斉に皆が見た。
そこには腕に包帯を巻いたB君がいた。
「どうした!?」と皆駆け寄る。
B君が言った。
「分からん・・・土曜の夜、家に帰ったら切れちょった。
たいした傷じゃなかったけど、血が止まらんかったからさ、
おおげさやけど、一応ね」
と苦笑いだった。
例の奴がはっとして、聞いてきた。
「お前らさ、塩かなんかもっちょらんかった?」
「俺が持ってたよ。Bにも振りかけてやった」
Aが答えた。例の奴が謎が解けたように、しゃべりだした。
「そういうことか・・・。俺がさ、前はなしたやん?友達と、
友達の兄貴で行ったってやつ。あれ、後から
聞いたっちゃけどね、何か友達の兄貴は途中で怖くなって
4秒数える前に目を開けたらしい・・・。それでな、
魔よけとして、塩をかぶってたって。だから足を切られた
だけで済んだのかもな・・・」

248 カルデラ ◆.UJJPla5/I sage 2006/06/11(日) 22:39:52 ID:JtTA6fQc0

あれから数年。忘れようとしても忘れられない体験は、
今も脳裏に焼きついて、今もこうやって鮮明にカキコできる。
以上、ひと夏の経験でした。みなさん、影には注意しましょう。

 - Part 132, 佳作, 洒落怖