洒落怖超まとめ

厳選じゃない、完全網羅のまとめサイトを目指しています

こっくりさん

   

187 :funa@\(^o^)/:2016/10/04(火) 01:26:51.64 ID:tTf/r4vC0.net[1/6]

幼馴染みのトコとミイ、喫茶店のカナの話を書いたfunaです。
読んでくれた人ありがとうございました。
「黒い影」の話は2回目の書き込みです。最初はあまりの駄文で
怒られてドロップアウトしました。
今度も似たような話ですがよかったら読んで下さい。

「こっくりさん」

小6の2学期、学年中でこっくりさんが流行ったことがあった。
放課後になるとあいうえおを書いた紙と、10円玉を用意した
グループがそこら中に出来上がる。
質問することは決まって好きな人の話。一時は6年生全員が
こっくりさん状態だった。
とはいえ男子はすぐに飽きた。女子の大半もそれに続いたので
こっくりさんブームは恋愛ごっこ好きな女子と、そんな女子と
仲の良い少数派の男子だけが残った。
仲良しのトコとミイと自分はものすごく熱中し、知識を深めた。
そしてたぶん、いちばん最初にこっくりさんに飽きた。 188 :funa@\(^o^)/:2016/10/04(火) 02:55:48.61 ID:tTf/r4vC0.net[2/6] こっくりさんに飽きてからもグループに参加することはよくあった。
流行り始めに熱中したせいで、凝り性のミイがつきあわされたせいだ。
トコと自分は「ヒミコさま、本日のお告げを」とよくミイを怒らせた。
人に付き合わないトコと、トコに引っ張られる自分が先に帰る時も
ミイは塾に間に合うぎりぎりまで残っていた。
それが続いてた、ある日の塾の帰りミイが「何か変だ」と言い始めた。
最近こっくりさんがなかなか帰ってくれない、帰るまですごく時間が
かかるようになった、と。
「10円玉動かしちゃえば」トコがスゴいことを言い出したが、
ミイは首を振って「帰ってもらうまで待つしかないんだよ。
どうせみんなが動かしてるんだから」ミイもスゴいことを言った。
変なのは…ミイが言うには、なかなか帰ってくれない時に、
「どうしたら帰ってくれますか」と訊くようになってから。
すると「髪を切れ」とか「裸になれ」とか変な答えが返ってくる。
「はだか?」トコも自分もビックリした。
なんかもっとスゴいことになったと思ったが、みんな従うらしい。
「裸の時はあたし教室の外で見張りしてた」めちゃくちゃである。
「それで今日もずーっと、こっくりさんが帰ってくれなくて・・・」
お帰り下さい、お帰り下さいと繰り返していたら先生が来ちゃった。
そのまま教室を追い出された。最後に先生がドアを閉めたら、
ガシャン!っとドアにはまってるガラスが落ちて粉々になった。
トコも自分もさすがに怖くなった。
「あの子たちもう真っ青でさ、でもあの子たちにことだから、
ほかの子にも今頃電話してる。明日の朝、学校行くのやで」
現実の悩みも深かった。
「あとね・・・」ミイは校庭に出てから、教室の窓を振り返った。
すると、3階の教室の窓から白いふっさふさのしっぽが出てた、と。
「はあー? ふっさふさ?」ミイだけでなくトコと自分も明日は休みたくなった。

197 :funa@\(^o^)/:2016/10/04(火) 11:30:18.48 ID:tTf/r4vC0.net[4/6]

こっくりさん 続き

ミイの話はトコと自分に恐怖だった。正直に言えばこっくりさんの
怖さよりも「あの子たち」の「あの子」が嫌だった。
名字エチゼンヤ、呼び名もエチゼンヤ、その善人的な名前とは別に、
通称「エッチ」取り巻きは二人、「バカ」と「カバ」
サイトの人が何を疑っても構わないけれど、この3人のことは名前まで
真実です。親は内申書を金で買ったとか、男の先生を転がしたとか、
とにかく大嫌いだった。自分に従わない奴に意味の無い報復をする奴。
トコはやり返した、自分は時計を盗まれたので親が訴えた。
今度こそミイがヤられると思って登校したら、当然というか
エッチはこっくりさんの巫女さまになっていた。
ミイはこっくりさんからも、エッチたちからも逃げられた。

わからなかったのは、こっくりさんのやり方に
「どうしたら帰って くれますか」なんて犠牲を強いる
帰し方はない筈だった。誰が言い出したのかミイも知らなかった。
とはいえエッチが巫女さまになってそれはエスカレートした。
それとミイが見た「ふっさふさのしっぽ」も怖かった。
ミイがエッチに知られるのをすごく嫌がったので、
3人だけの秘密にした。でも丸ごと信じることも出来ず、
ミイはそれでイライラし始めていた。
しばらくしてミイが何かの用で音楽室に呼ばれたことがあった。
おまけにトコと自分も付いて行き、ミイが先生の話を聞いている間
楽器倉庫で遊んでいた。何気に見た採光用の高い窓のところに
真っ白なふっさふさのしっぽがあった。
ひっ 、と無言で二人とも音楽室から飛び出してへたりこんだ。
「何してんのよ」ミイが出て来た。「見た」「ふさふさのやつ」
「だから言ったじゃん!!」ミイは一瞬喜んだらしいが、その後の恐怖は倍増になった。

283 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2016/10/05(水) 02:08:16.34 ID:xfGoySxw0.net[1/4]

こっくりさん ラスト書き込みます。
読んでくれた人ありがとうございました。

白いしっぽを見たのはそれきりだった。
でもトコもミイも自分も二度とこっくりさんに近寄らなかった。

こっくりさんはまた流行り始めた。
今度は恋愛ごっこじゃなく怪異を求めるようになっていた。
髪を燃やしたり、血をたらしたり、完全にたがが外れた状態になりつつあった。

冬休みも近い日の、5時間目の授業の時だった。
う~、うう~
変な声を聞いたような気がした。ぞっとしたが
また授業に向かおうとすると、今度ははっきり聞こえた。
う~、うう~う、あう~
ひっ というような皆の声が上がった。「せ、せんせい・・・」
いちばん後ろの席の女子が隣の席を指差していた。
皆にカイちゃんと呼ばれている男子が机に突っ伏していた。
こちらを向いていた顔はものすごく怖かった。目がつり上がり、
大きく開けた口からでろりと舌が出ていた。
華奢だけど、頭が良くて優しいカイちゃんには思えなかった。
先生が駆け寄って声をかけたが、カイちゃんは床に倒れた。
きゃーっと悲鳴が上がった。一部の生徒は教室から飛び出し、
校医の先生や教頭先生を呼びに走った。
クラス中がパニックになる中、カイちゃんは救急車で連れて行かれた。
「こっくりさんだ!」「こっくりさんのたたりだ!」
大騒ぎは中々治まらなかった

284 :funa@\(^o^)/:2016/10/05(水) 03:26:50.23 ID:xfGoySxw0.net[2/4]

カイちゃんは2日くらい休んで登校してきた。
前と変わらないカイちゃんだったけど、クラスのみんなの気持ちは治まらなかった。
明日は終業式という日の放課後、半分くらいのクラスメートがカイちゃんを神社に連れていった。
カイちゃんを守るためだと言いながら。

年が明けて昭和64年1月4日 昭和という時代が終わった。
自粛という言葉の下に、運動会も文化祭も中止になった日々、
じっと身をひそめているような時間が終わった。
3学期のスタートは明るく始まり、こっくりさんも消えて行った。

卒業式の直前に、カイちゃんが関西に引っ越すのを聞いた。
単身赴任のお父さんのところに行くのだと。
カイちゃんは皆と同じ中学に上がるとずっと言ってたのに。
お母さんが決めたんだと、カイちゃんは寂しそうだった。

それから時が経って、カイちゃんの消息を聞いた。

平成7年1月17日 阪神大震災 死者6,434人
カイちゃんは神戸で死んだ。

今なら知っている。
あの時カイちゃんが倒れたのは癲癇の発作かも知れないと。

けれど偏見のある人も居たかもしれない。
カイちゃんのお母さんは、カイちゃんがいじめにあうことを恐れたのかも知れない。
だから神戸に行くしかなかったのかも知れない。

こっくりさんなんかやったから
こっくりさんなんかこわがったから
こっくりさんなんかやらなかったら・・・

 - Part 341, 洒落怖