洒落怖超まとめ

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こっくりさん

   

488 本当にあった怖い名無し sage New! 2006/03/24(金) 22:57:02 ID:QZX2PC5k0

心霊話ではなく怖くもないんですが20年近く心に残っていることがあるので書き込みます。
春なので長文駄文も含めてお許し下さい。

腕の怪我で入院した私は、日ごと痛みが薄れるにつれて病院生活に退屈するようになり、夜中に
トイレに立ってはロビーや廊下、屋上などをひそかに行き来して探検ごっこをしていました。
物音を聞いたり何かを見たりしたことはなく、一度、屋上で看護婦さんが誰かと逢引しているのを見ただけ。
(中学2年生の女の子にとってはそっちのほうが「見てはいけないものを見た気分」でしたが)

ある夜、真っ暗なロビーに、見覚えのある中年女性が一人座っていました。
昼間は私服のままで患者さんのヘルパーのようなことをしている人でした。
正確な職種は知りませんが、特定の患者さんに付いていたわけではないようです。
無視する理由もないので「こんばんは」と言うと、「少しお話をしませんか」と言います。
隣に座ると、世間話から始まるでもなく突然「コックリさんのやりかたを知っていますか」と聞かれました。

489 488 sage New! 2006/03/24(金) 22:58:02 ID:QZX2PC5k0

中学生と言えば誰もがオカルトめいたことに熱中する時期です。私も学校の仲良しグループでコックリさん遊びに
はまっていました。4人で机を囲んでいたある日、コックリさんが「教室の四隅に一人ずつ横になれば誰か一人に憑いてみせる」
と言ったので、好奇心に勝てなかった私たちは教室の床に言われるまま寝転びました。(今思えば何やってるんだか)
しばらく経つと一人が急に立ち上がり、顔を両手で覆ったまま教室内を駆け回り始めました。
驚いて「○○ちゃん、どうしたの?(おいでなすったか?!)」と聞く私達に「来た・・・」と答え、卑猥な言葉を叫ぶ
その声は男のように低く、顔を覗き込むと、指の隙間からギラッとこちらを睨み、顔色もまさに「面変わり」という様相でした。
私達は彼女(に憑いた誰か?)を刺激しないよう丁寧な言葉で「あの世はどんな場所なのか?」などの質問を数回しましたが
そのうち彼女は再び教室内を駆け回り始め、突然床に倒れると、起き上がった時には元の彼女に戻っていました。
彼女は何も覚えていなかったようです。
私達は、誰一人あれが心霊現象だとは思いませんでしたが、それ以来コックリさん遊びをやめました。
人間は簡単に暗示にかかるものであり、自分でも止められない行動や集団ヒステリーなどは
決して長時間追い詰められた人だけのものではないと感じたからです。
「なぜ大人がコックリさん遊びを必死でやめさせたがるのか」の理由はその辺にあるのだろうと思いました。

490 488 sage New! 2006/03/24(金) 22:58:41 ID:QZX2PC5k0

話は夜中の病院に戻ります。
私は学校での経験を思い出しながら「やったことはあるけど何も起きませんでした」と答えました。
中年女性は、言葉は静かながら「方法を教えて下さい、今ここでやってみましょう」と乗り気でした。
変な人には見えませんでしたが、だんだん不安になり、早くこの人から離れたいと思いました。
私は自分の知っているやりかたを教え、彼女は熱心にメモをとっていました。
「やりかたは分かりました」と言った彼女に、私は「遅いので・・・」と言い訳をして自分の病室に戻りました。
なぜその女性が病院に泊まりこんでいたのか分からないままでしたが、その後も昼間には姿をちょくちょく見かけました。
夜中の探検は続きましたが、もう誰にも会うことはなく、なにも見聞きしませんでした。

退院後、どこで調べたのかその女性が自宅に来ました。私は学校に行っていて不在でしたが、母に
「コックリさんを教えてくれたお礼」と言って何かを置いていったということでした。
平たい包みを開けると、小さな額に一枚の絵が入っていました。ペンで書かれた花の細密画でした。
どことなくグロテスクな絵で気味悪かったので、すぐに捨ててしまいました。
いきさつを正直に話すと母は私の無防備さに怒りましたが、さいわいその後女性が関わって来ることはありませんでした。

私の体験はそれだけです。なんのオチもなくてすみません。
でも、彼女が電波予備軍だったとしたら「コックリさん」など教えるのではなかったと後悔しています。

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