洒落怖超まとめ

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べたべたべた

   

570 名前: オナ仮面 04/07/11 13:31 ID:YjfRDss0
田中(仮名)は深夜車で帰宅する途中だった。
自宅は職場から山を隔てた所にあり
そのため、急でカーブも多い山道を通らねばならなかった。

田中はいつものように峠に差し掛かると
道から少しそれた茂みの中にテールランプが光るのを見た。
事故車かと思ったがそうじゃないみたいだった。

田中は何か嫌な予感がしてきた。
それというのも、この山道は自殺や事故が多く、
ここで幽霊を見た、という人も少なからずいたからだ。

田中はそのまま車を走らせた。
だんだんと停車した車が近づいてくる。
怖くて仕方ないのだが、何故か目が釘付けになって
視線を逸らせなかった。

572 名前: オナ仮面 04/07/11 13:34 ID:YjfRDss0
田中は少しスピードを上げた。
そして、車の横を通過した時、
「ベタベタベタベタベタッ」
スモークガラスに人の手がいくつも張り付いた。

田中は危うくハンドル操作を誤るところだった。
あまりの恐怖に猛スピード飛ばした。
バックミラーすら怖くて見れなかった。

田中は次の朝、警察の知り合いから
電話がかかってきた。
「お前の帰り道の山道、あそこでさ、
夕べ自殺があったんだよ。それも3人同時、車内に排気ガス入れてさ。
お前何か見てねえ?」

573 名前: オナ仮面 04/07/11 13:35 ID:YjfRDss0
田中はまさかと思いつつ
何時頃のことか、と訊いた。
知り合いは
「ああ、死亡推定時刻は…午前0時から2,3時間てとこだな。
え?お前何か見たの?」
と訊いた。

田中は何も見ていない、とだけ答えると受話器を置いた。
その道を通ったのはちょうどその時間だった。
あの手が死の苦しみに悶える生きた人の手でも
…そうでなくても、どちらにしろ
恐ろしいものを見てしまったのには変わりなかった――――

574 名前: オナ仮面 04/07/11 13:36 ID:YjfRDss0
田中はその日も遅くなった。
またあの道を通っている。
そしてあの峠に差し掛かった。
…また車がある、
…あの車だ、
…いやだ、もうやめてくれ

田中は・・・

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