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シェルター

   

60本当にあった怖い名無し sage 2009/01/16(金) 05:38:37 ID:7kLBT/qy0

ある中国の研究チームが家庭用のコンパクトな地下シェルターを開発した。
それはすべてのエネルギーをスタンドアローンで賄え、食料なども、4人家族分なら完全に
自給自足できる、という物だった。

そして、研究所のエリート研究者が妻とともに1年間すごすという最終実験を行った。
完全に外界からシャットアウトすることで、シェルターとしての機能をアピールする目的もあったので
緊急信号を除いたすべての情報の交換が遮断され、実験は開始された。

研究者がシェルター生活を始めてまもなく、彼の勤め先の研究所で火災が発生し、シェルター開発室は
運悪く煙に巻かれ彼の開発チームの他の研究者は死んでしまった。
さらに、その火災が原因となり、追い討ちをかけるように研究所自体が潰れてしまった。

しかし、彼は研究所がなくなったことを知ることなく、何不自由ないシェルター生活を満喫していた。
そんなある日、問題が発生した。シェルター下部に作っていた下水処理装置が故障し、汚水があふれ出たのだ。
彼は自分の力で修理を試みたが、溢れ出る汚水は作業を困難にした。
地上にでれば、簡単に助けを呼べるが、彼はこの偉大な実験を失敗で終わらせたくなかったので、最後まで諦めないつもりだった。
だが、溜まった汚水が発電機を壊してしまったので、彼は修理を諦めて地上に出る決心をした。
ところが発電機が壊れてしまっては、シェルターの蓋を開けることができないことに気がついた。

結局彼は緊急信号を発し、研究所に助けを求めることにした。
その緊急信号を受けるはずの研究所がないことを彼は知らない。
助けは一向に来ない。
電気もなく、浄水システムも故障し、食料もほとんどない。
闇と焦りと不安と空腹で妻との仲も険悪になっていった。

シェルターの建築関係者により、この実験のことが外の世界で思い出されたのは、1年後のことだった。
外部からのシェルター内部へと呼びかけをしても、返答がない。
しかたなく、シェルターの蓋をこじ開けると中から人ほどの大きさの猿が、作業員に対して襲いかかってきた。

その猿はミイラになった赤子を抱き、そのまま逃げ去ってしまった。
残されたシェルターは、大半が汚水で水没しており、辛うじて人が一人座れる程度のスペースに人骨がばらばらと転がっていたという。

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