洒落怖超まとめ

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不審者

   

777本当にあった怖い名無し sage 2010/02/18(木) 00:46:35 ID:BYAux3nP0

あれは僕が高校2年生の頃だった。
僕の知人で霊感があるという男が居た。
そいつは自分が預言者であるかの如く
何かにつけて予言のようなことを言っていたが
悉く外れていたし、何か霊を見ただのこんなことがあっただのを
一切言わなかったので
そいつのそういうものは信用していなかった。

でも、そいつが言っていたことがてんで外れていたわけでもなかったし
そいつに霊感があるというのも本当だった。
それがそいつととある体験をしたときに分かった。
僕は高校生であるというのもありバイトをしていた。
そのバイト先は自宅から電車で40分ほど掛かり
電車自体も30分に1本という少なさだった。

その体験をした日、学校終わりにバイトに行く事になっていたので
その知人とバイト先へと向かう電車に乗った。
その知人も僕と同じバイト先で働いているので
一緒に向かうことが多い。

778本当にあった怖い名無し sage 2010/02/18(木) 00:47:17 ID:BYAux3nP0

電車の中は人が多く5時半ということもあり
学生が多く乗っていた。
僕は知人と話していたのだが、
知人が変な話を始めた。
それは僕達がこれから行くバイト先で変なことが起きてる
というものだった。

僕達の働いているバイト先はよくあるスーパーで
僕達は裏で商品の準備や準備できた商品を
陳列棚に出したりするのが仕事だったのだが、
あるとき知人が裏で商品の準備が一段落して
掃除を始めようとしていたときに変な人影が奥の冷蔵室で動いていた
というものだった。

そのときは知人の所属している部門の裏には知人以外誰もおらず、
見たのは知人だけだったそうだ。
そのことを不審者の可能性もあると思った知人は
誰かに報告したほうが良いと思い、その部門のチーフに
話したところ、チーフはそれをなにかの見間違いで片付けてしまい
知人も納得していないがその場はそれで終わりにしたそうだ。

そのときのチーフはなにか知っているような様子だったし、
知人の感触では霊的ななにかだと思ったようなので
それを一緒に調べないか?と誘うために僕に話したという。

僕は基本的に霊的なものとか怖いものは大嫌いで
TVで心霊特集の番組を家族の誰かが見ていたら、
自分の部屋に逃げ込むほどチキンなので、その話を断わろうとしたが
調べないことには、自分でも働いているバイト先のことである以上
安全だということも危険だということも分からないので、
仕方なくOKした。

779本当にあった怖い名無し sage 2010/02/18(木) 00:48:38 ID:BYAux3nP0

それを聞いた知人は早速、今日のチーフや他の従業員が居ない時間に
知人の所属している部門に集まることを決めた。

そして、集まると決めた時間になり、僕は自分の部門の仕事を
速めに片付けて、知人の部門に向かった。
因みに、知人が働いている部門は精肉の部門で、
所謂、牛や豚や鳥の肉を塊の状態からスライスして、
よくスーパーで見かけるパック詰めにするなどの部門。

裏の部屋に入るとまだ仕事中なのか、
知人がスライスされた肉の入ったトレーをラッピングしていた。
僕が話しかけると、ラッピングをやめ、
バイト前に聞いた人影がどの辺りで動いていたかなどの
説明を冷蔵室に入りながら始めた。
冷蔵室の中には棚が壁側に並んでおり、肉の塊が多数置いてある。
さらに奥には冷凍室に向かう扉が見える。

知人が見たとき人影は冷蔵室に入って左側の棚の辺りにくっつくように
動いていたと言う。
動き方から、肉を物色しているように見えたので不審者だと思った、
だから最初は霊的な何かだとは思わなかったという。
しかし、くっつき方がおかしかったのとチーフの思わせぶりな
反応が知人の霊的だと思わせる要素になったようだ。

一通り説明した後、冷蔵室から出てきて知人が人影を見た場所へと
移動した。
知人が見たと言う場所は部門の部屋の扉から向かって左側の奥にある
流し台の辺り。

今日の今の時間も人影を見た時間だというので、
とりあえず人影が見られるか待ってみることにした。

780本当にあった怖い名無し sage 2010/02/18(木) 00:49:23 ID:BYAux3nP0

ただ待っているのも暇だったし、僕は元々知人のそういう話を
信じていなかったので、軽い気持ちでいたという事もあって、
バイトの話をしていた。
すると流し台に移動してから10分ほど経った頃に知人が話を中断して
冷蔵室のほうを凝視していた。

僕も同じように冷蔵室のほうを見てみた。

冷蔵室の扉は上半分位の窓が付いているのだが、
何かもそもそと黒いものが動いているように見えた。

なんだあれ?と思っていると知人があれだと言い
冷蔵室のほうに近づいて行った。
僕の見た感触では人影に見えないし、冷蔵室の冷風で何かが
動いているようにしか見えなかったので、それがなにか怖いものである
という印象はなかったので、僕も同じように冷蔵室へと向かった。

それが間違いだったのがすぐ分かった。

黒い何かにしか見えなかったものが近づくにつれて人影のような
感じだったが、人の形がくっきりと見えてきてしまった。

心臓がバクバクし始め、ものすごい恐怖が沸いてきた。
見たくないと思い始め僕は目をそらし、知人のほうを見てみた。
知人はずっと凝視したままで僕に話しかけてきた。

「あれ、やばい。あれ見続けるとこっちに来るかもしれない。
だから俺も見たくないんだけど見ざるをえない状態に
なってる。」
僕「おい、離れようぜ、すげぇ怖い・・・」
知人「分かってる。分かってるけど動けないんだ」
僕は無我夢中で知人をその場から離そうと引っ張る。

781本当にあった怖い名無し sage 2010/02/18(木) 00:50:20 ID:BYAux3nP0

すると知人が
「やばい!こっちに気づいた!」
そこで僕は人影のほうを見てしまった。
人影が明らかにこっちを見ているのが分かった。
顔だ、顔がある。
影じゃないのか、目だ口だ鼻だ・・・
それは男だったのだが明らかに生きている人ではない顔で
こちらを見ていた。

僕は恐怖で動けないことに気づいたが時すでに遅く、
気づいたそれはこちらに向かって動き始めた。

やばい、やばいやばいやばいやばい
死んだ、絶対死んだ

そう思っていると、知人が動けるようになったのか、
僕を引きずりだした。

その間も僕の目は人影を捉えている。
人影は冷蔵室から出ていた。

今なら分かる、影じゃない。

影だと思うに至る黒は服だったんだ。
ぼろぼろの布を纏っただけ、黒い布。
次の瞬間には僕達は部屋の外に出ていて、
目の前には部屋の扉が今締まろうとするのが見えていた。

782本当にあった怖い名無し sage 2010/02/18(木) 00:51:12 ID:BYAux3nP0

その扉についている窓からはまだそいつが見える。
僕もいつの間にか動けるようになっていたようで、
知人とその場から必死で逃げた。

気が付いたら店の裏側の従業員専用の出入り口の外にいた。
僕は息を整えてから知人に聞いてみた。
「あれなに?あれホントに人?なんか凄いやばい気がするんだけど」
知人も分からないようで必死で考えていた。

そういえば、逃げながらも少し気づいたことがあった。
「逃げてるとき無我夢中だったから記憶にほとんどないんだけどさ
でもちょっと気づいたことがあるんだけど、
なんで僕達以外に人居なかったんだ?
この時間は社員は会議で居ないのは分かるんだ。
でもバイトのやつはまだ品出しで居るはずだろ?」

知人もそれには気づいていたようで
「分かってる。俺も逃げながらおかしいと思ってた。
逃げる途中、事務所覗いても見たんだけど誰も居なかった。」
そうしているうちに気持ちも落ち着いてきたので、
さっきの人影のやつがまだいないか確認しながら
仕事に戻るために仕事場へと向かった。

結局、戻ってもあれは居なかったし、その日はその後なにも無かった。

784本当にあった怖い名無し sage 2010/02/18(木) 00:54:32 ID:BYAux3nP0


次の日、知人とも話し合い二人で辞めるためにバイト先に
行き、辞める旨を話していたとき、
店長が
「あれを見たのか?昨日凄い勢いで外に出て行くのが見えた。」
それを聞いたとき二人であれ?と思った。
僕達が逃げていた時は誰も居ないはずだ。
どこに居たのか?それにあれを見た?あれを知っている?
いろいろと疑問はあったがそのときはあれの恐怖に
すぐに此処から立ち去りたい一心でその場でなにも言わず
お茶を濁した理由を話し、僕と知人はそのバイトをやめた。

後日談だが、後日談とは言えないが
とりあえずは、その後は何も無かったので、
あれに憑かれたりしていなかったようだ。

これで終わりです。
通りで最後短いと思った・・・

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