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人食い熊

   

711本当にあった怖い名無し 2009/05/06(水) 18:59:31 ID:prHMy1U00


1915年に北海道留萌苫前村で起きたヒグマによる連続大量殺人事件です。
当時は開拓民と呼ばれる人たちが村を興し農業や狩猟に従事していました。
そこへ・・・。

【11月中旬、熊出現!】
大柄な熊が現れ、農家にあるとうもろこしを食べはじめた。
見つけた村人が4人の猟師を呼び、熊に発砲して命中させる。
熊は血痕を残して逃走した。仕留めることはできなかったが、
これで熊も懲りただろうと村人は判断した。

【12月9日、熊、民家を襲う】
冬季の備えもあって男たちは農作業に精を出していた。
そこに再びとうもろこしを狙って「太田邸」に熊が現れる。
熊は家屋の壁を体当たりで突き破って内部に侵入した。
不幸にもその時太田邸にいたのは、安陪まゆという女性とまゆに
預けられていた蓮見幹雄という子供だけだった。
熊は幹雄の首を爪で切り裂き、さらに頭に噛みついて即死させた。
まゆは薪を熊に投げつけて抵抗したが結局捕まり、そのまま家の外
へひきずられていった。
太田邸には幹雄の惨い死体と飛び散った血痕が残るのみだった。

昼食をとりに太田邸に戻ってきた寄宿人、長松要吉が惨状を発見、
ただちに村人たちに報告する。
村人たちは太田邸から少し離れたところにある「明景邸」に集まり
警察への通報や熊への対策を練った。

712本当にあった怖い名無し 2009/05/06(水) 19:00:26 ID:prHMy1U00

【12月10日、村の男たち、熊に出し抜かれる】

明景邸に集まっていたうちの明景安太郎と斉藤石五郎、両二名は
家長として、それぞれ警察への通報や熊を殺すための人手を
集めるために明景邸を出た。
残る男たちは行方不明となったまゆを捜すために森に入った。
そして150mほどの地点で熊と遭遇。
しかしながら遭遇と同時に熊が突っ込んできたために
即座には対応できず、また銃の手入れも万全ではなかったため、
効果的な反撃はできず散り散りにさせられるが一発だけ発砲する。
発砲にひるんだ熊が逃走したため、捜索を再開。
途中で雪に埋められかけたまゆの頭部と足を発見する。
まゆの遺体の一部が雪に埋められた理由は熊が保存食として
あとで役立てるためだと思われた。

村人たちはまゆの遺体を太田邸に運びこみ、そこで熊を待ち構えることにした。
自分の獲物を奪われたら取り戻そうとする熊の習性を考えての
作戦だった。村人たちの予想通り、夜の8時に太田邸に熊が突入
し襲いかかってきた。
予想していたにも関わらず熊の勢いに押され、現場はパニックに
なった。かろうじて銃で反撃したが弾は外れ、またも熊は逃走して姿を消す。
熊に逃げられてしまった村人たちは今から明景邸に集合して
再度策を練ろうと考えた。

だが、熊はただ逃げたのではなくそのまま明景邸に
先回りしていたのだった。

713本当にあった怖い名無し 2009/05/06(水) 19:01:46 ID:prHMy1U00

【明景邸での新たな惨劇】

その時の明景邸には、太田邸での惨劇を聞いた女子供が避難していた。
長松要吉を除いた男たちは太田邸にて熊を仕留めるべく
出払ってしまっていた。

熊は窓を破って明景邸に突入、そのまま囲炉裏の大鍋に
ぶつかって明りは消え部屋は真っ暗になる。
妻の太田ヤヨは逃げようとしたが、そこに次男の勇次郎が
しがみついた。そこへ熊が襲いかかり、ヤヨが背中におんぶ
していた梅吉に噛みついた。さらにヤヨも頭を噛みつかれる。
女たちを守るべき長松要吉はそれを見て戸口に向かって逃走、
熊は、飛び出した長松要吉に注目したため、その隙にヤヨは
勇次郎と梅吉を連れて明景邸から脱出することに成功した。
長松要吉はとっさに物陰に隠れようとしたが追いつかれて、
爪の一撃を食らい負傷。
要吉の悲鳴を聞いた熊は、部屋を見渡し標的を変えた。
他にもまだ女子供がこの家にいたのだ。
熊は明景家の三男である金蔵と斉藤家の四男である春義を殴り殺し、
さらに斉藤家の三男である巌に噛みつき床に叩きつけて致命傷を与えた。
それを見た母親の斉藤タケは悲鳴を上げた。その悲鳴でタケに
気づいた熊は彼女を捕らえ上半身から食い始めた。

悲しいことにタケは熊に対して、お腹に子供がいるからやめてくれるように
頼んでいたらしい。もちろん熊に通じるはずも無かった。

714本当にあった怖い名無し 2009/05/06(水) 19:04:18 ID:prHMy1U00

【遅すぎた援軍】

明景邸に帰路をとっていた男たちは、明景邸から逃げ出した
ヤヨたちと合流。明景邸で今起こっている惨状を認識する。
さらに間一髪で逃げ延びた要吉も保護し明景邸を包囲する。
だが明景邸は暗闇で突入はためらわれ、村人たちはタケのうめき声と
タケの肉を咀嚼する音を聞かされることになる。
たまらず男の一人が空砲を放つと、熊は家から出てきた。

だがその男が邪魔で村人は熊に発砲できず、熊はそのまま逃げてしまった。
たいまつを頼りに明景邸に入った村人たちは地獄を目にすることになった。

子供たちの無残な死体、タケもお腹の胎児を引きずり
出されており助からなかった。
だがタケの長男力蔵と長女ヒサノは惨劇の中でも声を出さずに
じっとしていたので熊の注意を引かず助かった。

・・・結果としてわずか二日間のうちに胎児を含めた
7人の人命が一匹の熊に奪われてしまった。
また、頭を噛みつかれた梅吉もその後遺症に苦しんだ挙句、
二年後に死亡することになる。

負傷者はさらに離れた辻邸に移され、男たちは分教場に移動した。
そして村に戻ってきて惨状を聞いた明景安太郎は熊殺しの専門家
の家に足を運び、今、村を襲っている熊の話をした。
話を聞いた熊殺しの山本兵吉はその熊の手口から、
そいつはかつて近辺で女性3名を殺害し「袈裟懸け」と
あだ名された人食い熊かもしれないと話した。

715本当にあった怖い名無し 2009/05/06(水) 19:14:25 ID:prHMy1U00

【12月11日、袈裟懸け許すまじ】
自分たちの留守の間に妻や子供たちを殺された明景安太郎と
斉藤石五郎の怒りと哀しみは凄まじく自らの手による復讐を決意。
彼らは「袈裟懸け」討伐隊を組織して明景邸の屋根裏で
待ち伏せした。だが、この日、結局「袈裟懸け」は現れなかった。

【12月12日、待ち伏せ】
警察から派遣された新たな増援が明景安太郎らと合流。
「袈裟懸け」を逃がさないために村の各所を固めることになった。
また、熊をおびきよせて復讐を果たすために、明景安太郎らは、
自分の家族の遺体をおとりに使うことを決意、熊殺しの山本兵吉
をはじめとする有志6人が遺体の周囲に隠れ待ち伏せした。
狙い通り「袈裟懸け」は現れたが、殺気に感づいたのか
遺体に近寄ろうとせず、また逃げられてしまう。

【12月13日、袈裟懸け、暴走する】
増援合流の結果、手持ちの銃は合計で60丁にもなり、
袈裟懸けの運命もこれまでかと思えた。
一方、「袈裟懸け」は空腹と傷の痛みからかこれまでの
慎重さを失っており、この日は無人の民家を狙って次々と
押し入っては部屋を荒らしまわっていた。
被害にあった家は8軒。女性の枕に異常に執着する痕跡が
あったため、熊殺しの兵吉は、標的が非力な女性を狙う
「袈裟懸け」である確信を強めた。

そして橋を固めていた警官隊のところに「袈裟懸け」が出現。
しかしながら時刻は夕闇で確認しにくく、警官が誤射を防ぐために
言葉で警告した後、発砲。
だが、狙いは外れ「袈裟懸け」をまたも逃がすことになる。

716本当にあった怖い名無し 2009/05/06(水) 19:22:31 ID:prHMy1U00

【12月14日、悪夢の終わり】
「袈裟懸け」の血痕と足跡を警官隊が発見、追跡に入る。
熊殺しの兵吉は、利口な「袈裟懸け」にこの動きを気取られ、
再び逃げられてしまうことを恐れていたため、単独で追跡を開始した。

そして兵吉は「袈裟懸け」をついに捕捉する。「袈裟懸け」は木につかまり
体を休めていた。意識は警官隊に向けられ兵吉には気づいていなかった。
すかさず兵吉が発砲。一発目は「袈裟懸け」の心臓を、二発目は頭部を
撃ち抜き、「袈裟懸け」は即死した。

銃声をきいた村人たちはそこに殺到し、村を恐怖のどん底に
叩き込んだ悪魔の死体を見つけた。袈裟懸けの体重は380キロ、
身長は2,7メートルもあった。胃袋からは犠牲者の残留物が確認され
人々は悲しみを新たにした。この悲惨な事件の後、六線沢の村人はひとり
またひとりと去り、最終的に集落は無人の地に帰した。

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