友達のU君の話(1/2)
10年ぐらい前のこと。
U君はその日珍しく残業した。
仕事を終えて南武線の最終電車に乗り込んだ。
U君のアパートは川崎方面なので車内には殆んど人が乗っていなかった。
椅子に座ると仕事の疲れからつい、うとうととしてしまった。
そこで、ちょっとした夢を見た。
夢の中で、彼はやはり電車に乗っているのだが、その隣で
子供が二人、楽しそうに話しているのだ。
「何人くらい?」
「うーん、7人でいいよ」
「全部で13人だよ」
「じゃあ、9人?」
U君は子供達が何かいらずらの相談をしているのだと
なんとなく分かった。
「ひとりも駄目!」
U君はそういうと、はっと夢から覚めた。
そのとたん、電車内の照明が一斉に消えた。