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335本当にあった怖い名無し New! 2011/07/06(水) 22:00:45.49 ID:eJUdnEYw0

俺がまだタバコを吸っていた頃の話だ。
俺はその日部下の尻拭いで出張してたんだな。
部下はすごくいい子で仕事もできるんだがその時はえらく大きなミスを犯したんだ。
その先方に謝りに行った後、部下と二人で呑みに行ったんだが大分遅くまで梯子したんだな。
で終電も逃しちゃって部下は歩いて帰れる距離だったんだが俺の家はなにか交通機関を使わないと帰れない距離なんだよ。
部下とはそこで別れて俺はタクシーを待つことにした。
10分くらいした時だろうか。前から二つの前照灯と上に光るタクシーという文字。ああ助かったと手を挙げた俺の前にタクシーが止まる。
ドアが開いて俺が乗り込もうとするとタクシーの運転手が「ああ、あんたじゃないよ」と言った。
「は?」と俺が聞き返すと運転手が「すまん、早く降りてくれ」と早口で囁いた。
俺が訝しみながら降りようとすると俺がさっきまで立っていた場所に夜だというのに日傘をさしている女が立っていた。
俺はもう唖然。しかし運転手が俺の肩を押すのに気付き、その女を避けるようにタクシーから降りた。
女の顔はよく見えなかったが見えなくてよかったのかもしれない。
あそこらへんを走るタクシーの運ちゃんの間では、夜あの女を見たら乗せないといけないルールみたいなものがあるのかも。
勝手にそう考えて俺はタバコをふかしながら「タクシーの運ちゃんも大変だな」とタクシーが走り去った道路で一人呟いた。
結局その日は携帯で電話して近くの後輩の家に泊めてもらった。

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