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卒業式

   

323本当にあった怖い名無し2022/01/24(月) 22:57:33.19ID:1TLUVqzl0
「私の高校時代の卒業式は最悪でしたね」

そう言った山口さんはこんな話を教えて くれた。

それは今から十年前......桜が満開に咲き乱れ、暖かい風が心地よいそんな日の出来事だった。 その日は山口さんの高校の卒業式。校門では卒業生達が写真を 撮ったり友人たちと話したりと各々自由に過ごしていた。

しかし、山口さんはそん な気分ではなかった。 何故なら、卒業式の数日前に親友の安立さんが自殺をしてしまったから......。
理由はいじめ。
当時は今ほどいじめ等に煩い時代ではなかった 為、日常茶飯事だったらしい。学校側もろくな対応をせず、安立さんが亡くなって も遺族に対して平謝り。対応などを一切しなかった。

山口さんは安立さんと一緒に 卒業式に出れなかったのは勿論だが、助けられなかった事、そしていじめられてい る時やその後の学校側の対応見て安立さんが思っているであろう気持ちを考えると悔しくて悔しくて......
とても卒業式に出ようという気分ではなかった。 しかし、出なければ卒業証書が貰えず大学の入学も駄目になってしまう。

(ごめんね)

そう心で謝り、山口さんは卒業式に出席した。 問題なく式は進み、ついに卒業証書授与。
山口さんの高校は一人ずつ名前が呼ばれる方式だった為、自分の番が来るのを待っていた。

「濱口 茜!」
担任が名前を呼ぶ。その名前は安立さんをいじめてい たグループのリーダー格の人間の物だった。
壇上に上がっていく濱口。

彼女がいなければ......そう思っていた矢先、山口さんは目を疑った。
(1/2)

324本当にあった怖い名無し2022/01/24(月) 22:57:57.77ID:1TLUVqzl0
濱口が貰った卒業証書 がまるで炭のように真っ黒になっていたという。
目を擦ったがやはり黒い。

次々と いじめに加担していた人達が呼ばれは壇上に上がる。貰う証書は全て黒かった。

「山口 彩!」
自分の名前が呼ばれた。

恐る恐る壇上に上がり、証書を受け取る。

「おめでとう」
そう校長先生に言われて、目を開けると普通の証書だった。
結局あれが何だったのか山口さんは分からないままに卒業式は終えたという。

それから間もなくして、安立さんのいじめに加担していた人達が次々と亡くなった事を山口さんは知った。

山口さんは最後にこう言っていた。
「あの卒業式は彼女達にとっ て“この世”との卒業式だったのね、きっと」

その言葉がとても印象的だった。

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