洒落怖超まとめ

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双眼鏡

   

646 双眼鏡 sage New! 2005/10/21(金) 07:37:54 ID:xssMHXmn0
ある日友人と二人でドライブをしていた時の出来事

その日は二人共暇をもてあましぎみで、特にあてもなくブラブラとしていたところ
夕日はすでに沈みかけ、そろそろ寒さのキツイ季節であることも手伝い、
もう今日は帰るかと夕闇の中、家路の途についていた。

途中で友人が、この道のほうが早いと海に面する道路に出た。
俗に言う、湾岸道路ってやつだ。
辺りはすっかり暗くなっていて、もうしわけ程度にでた月が
夜の暗い海をうっすらと照らしていた。
俺はそんな薄暗い海をぼんやりと眺めていた。

その時、ん?となにか白いものが、ぼんやりと海の上に浮かんでいるのに気づいた。
ただここから見てかなり遠い位置にあるので、それが何なのかはまったく見当もつかない。
なにかゆらゆら動いてるような、だがそれも車の中にいてるせいなのか、よくわからない。
俺は疲れてるせいもあってか、別段そのことを友人に報告するわけでもなく、
やはりただボーッと、その白いゆらゆらを見ているだけだった。

ふと、俺はドアのしたのポケットに、
小さな双眼鏡が入っているのに気づいた。
こんなものあったっけなぁー?と思いつつ、
なにやらこれを使わなければならないという使命が、
俺の体を躊躇なく動かせた。俺は双眼鏡を手に取ると、
少し不気味に思いながらも、ヒョイっと双眼鏡を覗いた―

647 双眼鏡 sage New! 2005/10/21(金) 07:53:15 ID:xssMHXmn0
「うわっ!」

俺はあわてて双眼鏡を元のポケットに放りなげた。
一瞬しか見ていないのではっきりとはわからないが、
何か白い顔のようなものが、目の前に映ったのだ。
…ただ表情とかはわからないが、顔は真正面のようだった。

俺は怖くなり、もう海の方は見ず、前を向いてぶるぶると震えていた。
運転している友人に、このことを言おうか迷ったが、
せめて家に着いてから言おうと黙っていた。
友人も疲れているのか、こっちに見向きもせずに、
ただ黙々と前をむいたまま運転に専念していた。

意味解らん。

649 双眼鏡 sage New! 2005/10/21(金) 08:07:26 ID:xssMHXmn0
俺も友人もおし黙ったままで、
すぐに湾岸道路も抜け、そうこうしているうちに、
友人の家に着いた。

俺は初めて、ここであれっと思った。
いつもなら俺の家の前まで送ってくれるのに。
「おい、今日は送ってくれないのか?」
俺は友人に聞いてみた。久々の言葉だ。

だが友人は何も言わず、チョイチョイと
降りろと言うみたいなジェスチャーをして、
俺を無理やり引っ張っていった。

652 双眼鏡 sage New! 2005/10/21(金) 08:23:23 ID:xssMHXmn0
友人は俺の腕をつかんだまま、ずんずんと歩いていく。
そして家の玄関を開けると、
俺を無理やり引き入れ、素早くドアの鍵を閉めた。

「そこで待ってろ」
友人はそう言うと、なにやら奥から塩を持ってきて、
俺におもむろにぶっかけてきた。
「うわっ、なにするんだよ」
友人はそう言う俺を無視して、
自分の頭にも塩をかけている。

「ちょっと来い」
友人はまたもや俺の腕をつかんで、
部屋に引き入れると、俺をむりやり座らせた。
そして一言

「あのレンズのついていない双眼鏡で、一体何を見た?」

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