ホーム > 洒落怖 > Part 1-100 > Part 21-30 > Part 28 > 反抗期 2016/04/19 622 名前:1/7 投稿日:03/02/23 01:50 俺が高校の頃に見た、かなり鮮明で怖かった夢。 俺は学校から帰る途中だった。その頃、かなりの反抗期で、 親、いや家族全員が、俺にとって邪魔者という感じだったのだ。 母はいつもおせっかいがうるさくて、何よりしつこい。弟も弟でウザい。 父はまだ何も言わない方なのだが、母がいる時だけに限って厳しくなる。 そんな家族に、俺はだんだん嫌気がさしてきたのだ。 そして家に帰る。 『おかえりなさい。ご飯できてるわよ』 『いらねーよ』 そう言って俺は部屋にこもった。いつもの事だ。イライラし過ぎて 腹も減らない。俺は、ベッドに入り、一人憂鬱になっていた。 623 名前:2/7 投稿日:03/02/23 01:50 そして寝ようとした時、俺の部屋のドアが開いた。 何故か家族全員いる。しかも、みんな俺を見て、いかにも 作り笑いという感じでニヤニヤしている。 …もうイヤだ、本当にウザい。俺の眠りまでを妨げる気なのか?…もう…イヤだ…。 すると母が言った。 『ねぇ、ねぇ、明日…』 『ウゼーんだよ!毎日毎日…!お前等の顔なんて、二度と見たくねえんだよ! 早くドア閉めろ!』 俺はついにキレた。家族は、悲しそうな顔をして、ゆっくりドアを閉めた。 『はぁ…』 俺は、再びベッドに潜り、眠りについた…。 624 名前:3/7 投稿日:03/02/23 01:51 気付くと朝になっていた。 どんなに家族の顔を見たくなくても、やっぱりメシは食わなければ死ぬ。 俺は、しぶしぶ居間へ行った。 母は、台所で朝メシの準備をしている。父は、新聞を広げて読んでいる。 弟は、朝からテレビに向かってアニメか何かを見ている。俺は、母に聞いた。 『メシは?』 母は振り返った。………俺は、言葉を失った。 …母の顔が無い。まるでツルツルののっぺらぼうの様な…。『もう少しでできるわ』 『うわあああ!』 俺は叫んだ。それに驚いたのか、父も弟も振り返って俺を見てきた。 しかし、二人とも、やはりのっぺらぼうだ…! 『どうした?』 『お兄ちゃん、大丈夫?』 俺は怖くて、急いで家を出た。そして、しばらく走り続けた。 625 名前:4/7 投稿日:03/02/23 01:51 『ハァ、ハァ…。』 息を切らす。と共に、心臓は、驚きの為か、バクバクと鳴っている。 『あいつら…化け物だ…!何で顔が無いんだ…!?街行く人たちはみんな 普通の顔なのに…!』 俺の心は恐怖に蝕まれた。あんなの…人間じゃない…!あんなのと、これから 一緒に暮らせるわけがない…!あの化け物たちに、何されるか分からない! 俺の心は、だんだん黒く染まっていった。 『殺らなきゃ殺られる…!』 そう思った時、俺の手元にはいつの間に鋭い出刃包丁があった。 そして俺は、決心して家の前に戻った。 『殺らなきゃ殺られる…』 俺の頭の中には、その言葉だけが渦巻いていた。 626 名前:5/7 投稿日:03/02/23 01:52 そして家に入った。後ろに出刃包丁を隠して、まず父の後ろに忍び寄る…。 その時、弟の声がした。 『お兄ちゃん!何持ってるの…!?』 しまった!バレた!俺はあせり、とっさに父をメッタ刺しにしたのだ。 『ギャアアアア!』 父は、のっぺらぼうの顔のまま、背中から大量の血を流し、死んだ。 のっぺらぼうだから、死んだ時の表情は見えない。苦痛は少し軽減した。 俺は少し恐怖心もあったが、殺ってしまったプレッシャーに勝てず、続いて 弟もグチャグチャに刺して殺した。弟は、少し足をジタバタして、それから息絶えた。 そして俺は、一番憎たらしい母がいる、台所へ向かう。母は、背を向けてまた 何か作っている。俺は、憎しみを込めて、母の背中を『ザクッ』と刺した。 …母は、声をあげず、震えながらゆっくり振り向いた。………え? のっぺらぼうじゃない…母の顔だ…。母は、苦しそうにして、 俺にただ一言残して、息絶えた。 『ごめん…ね…。』 その台所には、大きなケーキが一つ。真ん中に乗ってるプレートには、 『たんじょうび おめでとう』 と、母らしい乱雑なつなげ字で…。 627 名前:6/7 投稿日:03/02/23 01:52 俺は、急いで父たちの所へ行った。父も、弟も、のっぺらぼうなどでは無く、 何が起きたのかよく分からないような表情で、何か悲しそうに、口から血を流して 死んでいた。弟の手には、まだスイッチが入ったままの、思い出のゲームボーイが、 電子音を鳴らしながら動いている。 『うわあああ!』 俺は叫んで泣き崩れた。俺は…ただ一つの大事な家族を…俺の手で…みんな…! 俺は、頭を抱え、顔を手で覆った。涙が止まらなかった。俺が見ていた顔は… 幻覚だったのか…?本当は…みんな…こんなに俺を思ってくれてたんじゃないか! 俺は、気付くのが遅すぎたんだ…。 628 名前:7/7 投稿日:03/02/23 01:53 そして目が覚めた。俺はやっぱり泣いていた。一瞬あせってすぐ居間に行ったら、 いつも通り家族全員いる。…よかった。…俺は何て夢を見てしまったんだ。それから反抗期も去り、家族を嫌う事は無くなった。しかし、その2年後、 母は急に発作で亡くなってしまった。何と、その日は偶然にも、俺の誕生日だった。 そして、母が死ぬ直前まで作っていた手作りケーキを、父に見せてもらった。 そのケーキの真ん中に置いてあるプレートには「たんじょうび おめでとう」 と書いてあった。そのケーキは、あの夢に出てきたものと、全く同じものだったのだ。 何か分からないが、ものすごい寒気がした。 ちなみに、父も弟も、まだ生きている。 B! LINEへ送る - Part 28, 洒落怖 名作