洒落怖超まとめ

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取り憑かれる

   

189 名前: 1 2006/08/21(月) 20:52:34 ID:5Tv11Ecw0

私の、今までの人生で唯一の(って言っても20年いってないが)心霊体験。
微妙に洒落にならない。

3~4年前だったと思うが、その日私は、部屋で本を読んでいた。
家に家族はいるが、居間でくつろいでいたり自室でテレビを見ていたり。
私の部屋は自室同然に使ってはいるものの、厳密には家族3割、私7割という
使用状況で、入り口にはドアすらなく、他の部屋のテレビの音などが
うっすら聞こえる状態で、静かな状態で本に熱中していた。

私はとにかく本が好きで、面白いと思えばジャンルに関係なく無節操に読む。
自慢出来ることは、TV「トリビアの泉」で銀の脳を取ったことがあることと、
全国模試の国語で学年1位を3連続取ったことだったりする。
とにかく、一度本にのめりこむと、読み終わるまで手放そうとしない。

その日も私は、静かな部屋で本をずーっと読んでいたのだが、
急に、部屋の隅からカリカリカリカリ…と小さく壁をひっかくような音がする。
ネズミ?と思ったが、この団地の一角でネズミなんか一度も見たことはない。
でも聞こえてくる位置にはタンスやら物が置かれていて、
いたとしても実際小動物程度だろう。聞こえてくる音の距離感からして
壁の向こう(お隣さん)ではなく、確実にこの部屋の中ではあるようだし…。
気になるなあ、と思っていると、妙な事に気が付いた。

190 名前: 2 2006/08/21(月) 20:53:29 ID:5Tv11Ecw0
音のする方向、部屋の隅に目線を向けると、音がピタッ、と止むのだ。
立って覗き込みに行ったり、音を立てたりはしていない。顔を動かすだけ。
それだけで音が止まり、そして本に目を戻すと、また再びカリカリ音がする。
そんなことが繰り返し繰り返し起こるのだ。
動物ならこんな事はない。普通は人間の仕業だが、さっきも言ったように
そこにはタンスやらがあるだけで、人が入れるような隙間なんかない。
この部屋には私1人だし、壁の向こうはお隣さんなのに、
「目線」に反応する何かがいて、小さくカリカリと音を立て続けている…

私には霊感はまったくない(当て物が得意とか、ちょっと勝負強いくらい)が、
何かいるんだな、というのはその時点でわかった。
しかし霊なのか人間なのか半信半疑、試しに「うるさい!」と音に叱ってみた。
すると、ピタッと止んだ。本に目を戻しても、さっきまでのように再開しない。
…が、それは少しの間だけで、またすぐに音がしはじめた。
しかし人間のイタズラなら、今ので何かしら反応はするだろう。
怒った事でしばしひるんでいた様子だから、機械音や動物の類とは考えにくい。
という事は…やっぱり、いる。

191 名前: 2 2006/08/21(月) 20:54:08 ID:5Tv11Ecw0

ここで、確実にそういうモノがいる、と思ったのだから、
怖がるなりなんなり、他の部屋に逃げるとかすればよかったのだが。

その時の私は『…邪魔だなあ。本読めないじゃん』などと考えて、
椅子から腰を浮かそうとすらせずに、どうしたらいいか思案したのだ。

うるさいし気になるけど、霊現象の対処ってどうすべきだろう。
霊感もなければお祓いも出来ないけど、祟られるのは嫌だし…。
いらん知識の詰まった脳内の、オカルト関係の引き出しをあさった結果。
『こういう幽霊って、自分に気付いて欲しい、なんとかして欲しいって思って
何かしら現象を起こしたりするんだっけ…』と思い起こした。
祟られたくなければとにかく気迫で負けちゃダメだ、とも考えた。
そして、音の方向を気迫を込めてぐっと睨みながら、
「あのな。私には何もできないから。うっとうしいし邪魔だからどっか行け」
と声にドスをきかせて、一喝してみた。
すると、音はまたピタッと止み、それ以降全くしなくなった。
私は満足してそのまま本を読み続けた。その後に祟られたりもしなかった。

192 名前: 4 2006/08/21(月) 20:54:59 ID:5Tv11Ecw0
しかし、わからない。なんであんなことが出来たのだろう?
私は前述の通り面白いことが好きで、オカ板常連だったりはするが、
基本的には怖がりなのだ。「リング」を観て寝れなくなったりしたし、
ネットで呪いのページなんか開いてしまうと一日ガクブルしている馬鹿だ。
たいして怖くない現象だったとはいえ、心霊体験は初めてだったのに。

今思い返していても…そもそも幽霊に向かって叱るって。お前。
自分でもツッコミどころ満載すぎて、脱力せざるを得ない。

しかし、これだけはちゃんと覚えている。普段は全く腹を立てない私はその時、
本を読むことを邪魔されて、本気でウザがっていた。
軽く人格が変わっていた。
舌打ちしかねない勢いだった…幽霊に対して。

幽霊に取り憑かれるのと、本に取り憑かれるの、どっちがマシだろう。
そんな風に思った。

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