洒落怖超まとめ

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土の正体

   

822 sage 2010/01/26(火) 21:08:39 ID:wco/HPvl0

これが怖い話に分類できるのかどうなのか解らないが、俺にとっては人生最大の恐怖
体験だった事件を書こうと思う。

もう何年も前、中学1年の夏休みの出来事。
その日することも無く家でだれながらマンガを読んでいると、友人からメールがあり俺を
含む数人が呼び出された。
仮にメールをしてきた友人をA、呼び出された友人をB、Cとしておく。

全員がAの家に集合すると、Aは少し興奮気味に話し始めた。

Aの話はまとめるとこんな感じだった。
昨日Aは親戚の兄貴と一緒に山に釣りに行ったらしい。
その帰り道、山道の少し奥の方に横道があり、その先にコンクリート製のぼろい建物を
みつけた。
ただそれだけのことなのだが、A曰く「何か基地っぽくてかっこよかった」のだそうな。
要するにAは俺達を連れてそこへ探検に行きたいらしく、その相談に俺達を呼んだとの
事だった。

特にすることも無くひたすら暇だった俺とB、Cはその提案に二つ返事で賛成した。
その日は「探検」の準備をするために各自準備をする事になり解散となった。

翌朝8時頃、コンビニで買った弁当やら懐中電灯やらを持って集合場所のA宅に集まり、
俺達は目標の廃屋へと向かい、2時間ほどで目標の廃屋へと到着した。
場所は人気も殆ど無い山の中、もう日は高くなり暑くなる時間帯だが、森の中のせいなのか
何となく涼しく感じる場所で、建物は家や「基地」というより何かの事務所っぽい。
1階建てで大きさは10m×6~7mくらいの長方形を2つあわせたようなL字型だった。
しかし場所は渓流釣りが出来るほどの山奥で、そんな場所に店舗や事務所があるわけもなく、
一体何のための施設なのかはさっぱり解らない、ただ、周囲が明るい事となんとなく
場所はともかくどこにでもありそうな建物だったため、不思議と怖さは感じなかった。

823本当にあった怖い名無し sage 2010/01/26(火) 21:09:28 ID:wco/HPvl0

とりあえず周囲を散策してみたが、ドアや窓は板が打ち付けてありもう何十年も使用されていない
感じでなかなか入り込む場所がみつからない。
暫らく歩き回っていると、屋根の近くに通気口らしいものを発見したが、そこへ登るための手段が
なく、近くにあったブロックや木の板などを持ってきて色々試してみたのだが、結局登る事が
できなかった。
すると少し離れた場所で一人で入り口を探していたBが、俺達に「おーい、ここ入れそうだぞ」と
声をかけてきた。

俺とA,CがBの場所まで行くと、目立たない奥まった場所の窓ガラスが割れていて、そこだけ
日当たりが悪いせいか打ち付けてあったであろう板も腐って内側の床に散乱しており、十分人が
入れるスペースがあった。
確かにそこから入れそうだ。
一人ずつ中に入ってみると、窓などが打ち付けられていて、しかもブラインドが閉じているため
予想以上に暗い、それに入った部屋は日当たりそのものが悪いせいか、物は何も無いのに
壁中カビだらけだし、何より何か少し異臭というか変な臭いがした。

建物は、中に入ってみて解ったのだが、L字型の内側が通路、外側が5つの部屋に分かれて
いるようで、一つずつ部屋を探索していく事にした。
進入した部屋から廊下に出て次の倉庫っぽい部屋に入ろうとしたのだが、鍵は掛かっていないが
何かが引っかかっているらしくドアが2cmくらいしか動かない。

俺とBとCは諦めて次の部屋を探索する事にしたのだが、Aは開かないドアをどうしても開けたい
らしく、ドアに向かってけりを入れたりタックルしたりとやっている。
俺が「A、もういいから次行こうぜ」と言ったのだが、Aは「なんかもうちょっとで開きそうだw」とか
言っていて諦めそうに無い。

824 sage 2010/01/26(火) 21:10:22 ID:wco/HPvl0

するとCが「こっちの部屋はいれるぞ~」と俺を呼んだため、俺はAをほっといてCとBがいる場所
に向かう事にした。
Cに呼ばれた場所に行ってみたが、やはりその部屋も壁がカビだらけなだけで中には何も無い。
他の部屋も同じような感じで、建物はどうやら完全にもぬけの殻のようだった。

しかし、最後の部屋を俺とB、Cが出た頃に事件が起きた。
突然「ガタン!」と大きな音がして、暫らくすると「ぎゃあああああああああああああ」というAの
悲鳴が聞こえてきた。
俺達3人が慌ててAの場所に向かうと、Aがてこずっていたドアが開いていて、廊下に何か
黒っぽい土のようなものが散乱しており、中からAがなんとも表現しようのない悲鳴をあげ
ながら飛び出してきた。

俺達はAの姿を見て絶句してしまった。
Aは何か黒っぽいというか茶色というか、変な色で異臭のする土のようなものまみれに
なっていて、部屋から飛び出してくるとそのまま床に倒れて叫びながらのた打ち回り始めた。
最初何を言っているのか解らなかったが、良く聞いてみると「服の中に!」とか「何か入って
動いてる!」とか言っている。

良くみてみると、土っぽいものに紛れて何か小さい物が蠢いている。
それは小さいゲジゲジや蛆っぽいいきものやゴキブリ、他にもなんだか良く解らない
虫がいっぱいくっ付いている。

それに気付いた俺は、Aを助けないといけないと解ってはいるのだが、一切動けずその場に
硬直してしまった。
Cも同じような感じで硬直していて、Bはその場にかがみこんで吐きはじめてしまった。

825 sage 2010/01/26(火) 21:11:11 ID:wco/HPvl0

硬直していた時間はたぶん数秒だと思う。
我に返った俺は、もう無我夢中で「A、とにかく服脱げ!全部脱げ!」といってCと一緒にAの服
を脱がすのを手伝った。
暫らくするとBも立ち直ったらしく脱がすのを手伝った。

服を脱がす時、手に虫が潰れる感触がいくつも伝わってきたが、俺はとにかくその事を考え
ないようにしながら脱がすのを手伝った。

幸いAは髪の毛が坊主に近いくらい短かったので、髪の毛に虫が紛れるという事もなく
服を脱がすだけでなんとかなった。
俺とA、B、Cはそれから暫らく呆然としていた。
少し落ち着いたところでAに事情を聞くと、何回目かのドアへのタックルをしたところ、引っかかって
いたものが外れてAはそのまま部屋の中にこけて入ってしまったらしい。
すると、上のほうからあの虫だらけの土が落ちてきたらしい。
どうやらあの土の塊のようなものが引っかかってドアが開かなかったようだ。
Aはトランクス1枚の姿で半泣きの状態で蹲っていて、普段ならかなり笑える状況なのだが、誰も笑う気には
なれなかった。

俺は寒気を感じながらふとある事に気がついた。
最初に入り込もうとした通気口らしき場所、どうもこの部屋の天井についているものらしく、
部屋の奥に外の光が見える。
なんとなく部屋の中を覗き込んで俺は絶句した。
天井に何かいる。
暗くてよく解らないが、天井辺りを黒っぽい物が多数蠢いていて、床は一面さっきの虫や土
だらけだった。
部屋の中は物凄い異臭がする。

826 sage 2010/01/26(火) 21:12:04 ID:wco/HPvl0

俺はBが懐中電灯を持ってきていたことを思い出し、Bから懐中電灯を借りて天井を照らして
みた。
天井には一面に100匹近いコウモリがいた。
恐らく、あの土のようなものは全部コウモリの糞で、虫はそれに群がっていたわけだ…

俺は3人にこの事は教えないようにしてそのまま建物を出る事にした。
Aに「土の正体」を教えるのは流石に気が引けたので…

終わり

俺は文章を書くのが下手なので上手く伝わったかどうか解りませんが、以上が俺の経験した
人生最大の恐怖体験です。

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