洒落怖超まとめ

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夢の老婆

   

気味の悪い体験。

今の住所に引っ越す前の、もう15年以上も前の話。
駅から当時のアパートまで、歩いて15分ぐらいの距離なんだけど、
仕事帰りとか結構薄暗くて、何だか嫌な通勤路だった。
ただ幸いにして、たいした霊感もない俺は、何事かを見ることもなく
日々日常を過ごしていた。

そんなある晩夢を見た。
深夜人気のないその道を、チャリで走っている俺。
一切の明かりも音もない、静寂の住宅街、辛うじて月明かりのせいか薄ぼんやりと道が見える程度。
そうして公園脇の十字路に差し掛かったとき、電信柱にこちらに背を向けて、
うずくまっている老婆のような影を見つけた。
恐る恐る近寄っていくところで目が覚めた。
まだ夜明け前で、部屋の中は真っ暗だった。
気味の悪い夢だなあと思いながらも、再び眠りについた。

翌日、会社で同僚に昨夜の夢の話を何気にしてみた。
最初は退屈そうに聞いていた彼だったが、見る見る顔が青ざめていく。
話し終えたときには、かすかに震えていた。
「そんなに怖かった?」
俺が尋ねると、彼曰く、
2年前に夜、霊感の強い友人と俺の夢と同じ場所で似たような体験をしたというのだ。
やはり電柱の下に何かがうずくまっていて、その霊感の強い友人が近づいていった。
離れたところで見ていた彼のところに戻ってきた友人は、一言
「人間じゃなかった…」。
二人は慌ててその場を立ち去ったそうだ。

その後、紙に地図なんぞを書きながら場所を確認すると、まさにピッタリの場所、
電信柱の位置まで完全に一致していた。
それ以来、あの道を未だに通れないでいる俺。

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