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失踪

   

504 名前:失踪 1/5 投稿日:03/04/30 01:35
寝れないので、再度登場。

師匠との話をまだいくつか書くつもりだが、俺が途中で飽きるかも
しれんし、叩かれてへこんで止めるかもしれないので先に一連の
出来事の落ちである、師匠の失踪について書いておく。

俺が3回生(単位27。プw)の時、師匠はその大学の図書館司書の
職についていた。
そのころ師匠はかなり精神的に参ってて、よく
「そこに女がいる!」とか言っては何も無い空間にビクビクしていた。
俺は何も感じないが、俺は師匠より霊感がないので師匠には見える
んだと思って一緒にビビっていた。

変だと思いはじめたのは、3回生の秋頃。
師匠とはめったに会わなくなっていたが、あるとき学食で一緒にな
って同じテーブルについたとき
「後ろの席、何人見える?」と言いだした。

505 名前:失踪 2/5 投稿日:03/04/30 01:35
夜九時前で学食はガラガラ。後ろのテーブルにも誰も座っていなかった。
「何かみえるんすか?」というと
「いるだろう? 何人いる?」とガタガタ震えだした。
耳鳴りもないし、出る時独特の悪寒もない。
俺はその時思った。
憑かれてると思いこんでるのでは・・・・・
俺は思いついて
「大丈夫ですよ。なにもいませんよ」
というと
「そうか。そうだよね」
と安心したような顔をしたのだ。
確信した。
霊はここにいない。
師匠の頭に住みついてるのだ。
『発狂』という言葉が浮んで俺は悲しくなり、無性に泣きたかった。

506 名前:失踪 3/5 投稿日:03/04/30 01:36
百話物語りもしたし、肝試しもしまくった。
バチ当たりなこともいっぱいしたし、降霊実験までした。
いいかげん取り憑かれてもおかしくない。
でも多分師匠の発狂の理由は違う。

食事をした3日後に師匠は失踪した。
探すなという置手紙があったので、動けなかった。
師匠の家庭は複雑だったらしく、大学から連絡がいって叔母
とかいう人がアパートを整理しに来た。
すごい感じ悪いババアで、親友だったと言ってもすぐ追い出された。
師匠の失踪前の様子くらい聞くだろうに。
結局それっきり。
しかし俺なりに思うところがある。

507 名前:失踪 4/5 投稿日:03/04/30 01:37
俺が大学に入った頃、まことしやかに流れていた噂。
「あいつは人殺してる」
冗談めかして先輩たちが言っていたが、あれは多分真実だ。

師匠はよく酔うと言っていたことがある。
「死体をどこに埋めるか。それがすべてだ」
この手のジョークは突っ込まないという暗黙のルールがあったが
そんな話をするときの目がやたら怖かった。
そして今にして思い、ぞっとするのだが
師匠の車でめぐった数々の心霊スポット。
中でもある山(皆殺しの家という名所)に行ったときこんなこと
を言っていた。
「不特定多数の人間が深夜、人を忍んで行動する。
そして怪奇な噂。
怨恨でなければ、個人は特定できない」

508 名前:失踪 5/5 投稿日:03/04/30 01:39
聞いた時はなにをいっているのか分らなかったが、多分
師匠は心霊スポットを巡りながら埋める場所を探していた
のではないだろうか。
俺がなによりぞっとするのは、俺が助手席に乗っているとき
あの車のトランクのなかにそれがあったなら・・・・・・

今思うとあの人についてはわからないことだらけだ。
ただ「見える」人間でも心の中に巣食う闇には勝てなかった。
性格が変わった、あのそうめん事件のころから師匠は
徐々に狂いはじめていたのではないだろうか。

師匠の忘れられない言葉がある。
俺がはじめて本格的な心霊スポットに連れて行かれ、ビビリ
きっているとき師匠がこういった。
「こんな暗闇のどこが怖いんだ。目をつぶってみろ。
それがこの世で最も深い闇だ」

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